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無人島生活53話 闇の対局

 エリーは・・・・・・思考を整理してから、もう一度訊ねた。


「どうして潤弥があんなに苦しんでるの。苦しみ方が尋常じゃないんだけど……?」


「闇のゲームやからや!」


 ・・・・・・あ・・・・・・そ。


「じゃねえよ! なにその闇のデュエル的なゲームって! なんで本当に痛みを感じるのよ!」


「やらか闇のゲームゆうてるやん。大将は自分の分身。大将が受けた攻撃は自分に跳ね返ってくるんや。〇タンド理論やで」


「おかしいだろ!!! どんな力が働いているんだよ!」


 誰も答えなかった。

 潤弥はまだ悶絶して動けずにいた。

 ランスで胸を貫かれた痛みはどれほどの激痛なのだろう……?

 考えるだけで全身から血の気が引く……。


「あたしは降りる! やるんだったら、あんた達だけでやって」


「降りられへんで」


「何でよ! こんなゲームだって知ってたら、はじめから参加しなかったわよ!」


 肩を怒らせて今にも突っかかりそうな戦闘態勢でエリーは怒鳴った。


「このゲームを終わらせる方法は勝者を決めることや。それまでこの洞窟から出られへん」


 そんな馬鹿な……。

 エリーは慌てて洞窟の出口に駆け寄って、外に出ようとしたが見えない結界が張られて外に出られなかった。


 どうなっているの……何この結界……。

 バンバンバンバン。

 力の限り結界を叩いたがトランポリンを叩いている感覚で衝撃が跳ね返って来た。


「な、言ったやろ。この闇のゲームを終わらせる方法は、勝者を決めるしかないんや」


「そんなの……あんまりよ……。〇ュマンジじゃあるまいし……」


 結界にもたれかかりズルズルと、エリーは泣きながら崩れ落ちた。

 

「次はエリーっちの番やで」


 モーリアンはエリーの肩に手を置いた。


「嫌だ! 嫌だ! まだ死にたくない……! やりたいこと沢山あるの! まだ夢のなかばなの!」


 注射を嫌がる子供のようにエリーは地面にしがみついて動かなかった。


「エリーっち、みんなのためにやるんや! このデスゲームを終わらしたいんやろ! みんなの命はエリーっちに掛かってるんやで!」


「終わらせたい……。こんなデスゲーム終わらせたい……! こんなデスゲーム終わらせたい」


「そうや、やから早く負けてこい!」


「何でやねん!」


 こうなったら、勝ち上がるしか生き残る道はない……。

 こうしてエリーはこのデスゲームを攻略することになったのであった。

 ド素人といってもいいエリーが勝ちあがるなど不可能だと誰もが思った。


 隊長との対局がはじまった。

 エリーと隊長は淡々とゲームを進めていった。

 どちらも互角。隊長が弱いわけではない。

 エリーがこの短時間でとてつもない成長を遂げているのだ。

 痛い目に遭いたくない一心でエリーは成長を続ける。


「あたしは、右翼の騎馬を竜騎士にクラスアップ。竜騎士の効果発動。プレッシャー。周辺のマスにいる敵駒の攻撃力を一ダウン!」


 竜騎士の周辺にいた足軽と左翼の騎馬の攻撃力が一ダウンした。


「竜騎士で左翼の騎馬を攻撃」


 左翼の騎馬の体力は3だが、竜騎士の効果は一撃必殺の攻撃。

 どれだけ体力があろうと意味はない。

 討ち取った駒を召喚するには呪い師が必要なのだ。


 つまり、このゲームで大将と並んで重要になる駒が呪い師といっても過言ではない。

 二体いる呪い師が討ち取られてしまえば、その時点で絶対的な不利となる。


 呪い師は相手ターンでも英霊召喚をおこなうことができる。

 つまり奪った駒を盾として召喚できるのだ。

 めちゃくちゃでくだらないゲームだと思っていたが、ルールがわかってくると奥が深い。


 隊長は大将と同じくらい重要な駒を、エリーの陣地に前進させた。

 エリーは痛いのは嫌なので防御に極振りしていた。

 つまり大将を徹底的に囲んだ穴熊。


 攻撃に使っている駒は竜騎士と左翼の騎馬。

 ならず者や戦車だ。

 隊長は対照的に、攻撃に特化したフォーメーション。

 

 穴熊戦法は時間を要する戦い方だった。

 籠城戦に近い。

 体力の削り合い。


 機動力の高い竜騎士と左翼の騎馬を大きく動かし翻弄した。

 長期戦に入り、隊長とエリーの闘いは一時間以上にも及んでいた。

 穴熊は崩され、隊長は詰めに入っている。

 

「エリー君。もう悪あがきはよしなさい」


 勝ち誇ったドヤ顔で隊長は言った。


「この私に勝てると思っているのか。私はグリンベレーで将棋負けなしだ。三段の実力がある」


 この将棋もどきに階級なんてあんの?

 てか、何でグリンベレーで将棋もどきが行われてんの?

 ツッコんで頭の中の棋譜を飛ばすわけにはいかない……我慢我慢。

 喉まで出かかっていたツッコミをエリーは飲み込んだ。

 エリーのターン。


「もうあきらめるんだ。穴熊が崩れた今では、もうエリー君に勝ち目はない。――ん? 何だその笑みは……?」


「ふふふハハハ、隊長、あなたは忘れているんじゃないか。三十手前にあたしがとった行動を」


 隊長は頭の中で三十手巻き戻して、そのイメージを想い出した。

 

「まさか!」


「そう、9二殺し屋召喚ッ!」


 イメージが具現化され、黒ずくめの服を着たエリー(殺し屋)が、大将である隊長の背後に現れた。


「これで、詰みよ! 終われッ! 狂気一閃(狂った殺し屋の閃き)ッ!」


「なににににににににににィ―――――――……!」


 大将の首に白い尾を引きながら、ナイフが突き刺さった。


「ぎゃああああああああああああぁあああああ」


 隊長とエリーの対局はエリーの勝利に終わった――。

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