無人島生活21話 見えるぞ、あたしにもス〇ンドが見えるッ!★
無人島生活も、もうすぐ半月になる。
この半月、色々なことがあった。
乗っていた飛行機が墜落したり、色々なものにスパーキングしたり、ラ〇ュタに行ったり、サメとゴリラが闘ったり、中二病が中二病ったり、ボケがボケたり、ボケたり、ボケたり、悪〇の実を集めたり、リアル〇イクラして洞窟を整備したり、濃い半月だった。
てか、濃い過ぎる半月だった。
この半月の間の試練で、みなは圧倒的にッ! 成長していた。
エリーも修行編を乗り越えて、(やりたくなかったのに、無理やり修行をさせられた)格段に成長しているのだった(たぶん?)。
隊長はバカが成長し、中二病は中二病が成長し、ゴリラはラ〇ボーのように成長し、ホストは野性味あるれるホストへと成長し、紅はたまに繰り出される、言葉の毒が強くなり、ボケはボケ神へと成長した。
「この半月色々なことがあったな」
ボケ神に進化したモーリアンの背後に、笑いの神様が具現化して見えていた。エリーは我が目をこするが、やはり、ボケの背後に何かが見える……。
まさか……これが……噂の……ス〇ンドッ!
みなは成長を遂げて、スタンドを有するようになったのか?
「とうとう、おまえにも見えるようになったか。ス〇ンドがッ!」
バーンッ! という擬音を具現化させて、中二病は変なポーズを決めた。
「ス〇ンド……。ボケマシーンの背後に浮かんでいる、あれが……ス〇ンドだって言うの……」
「そうだ。この半月でス〇ンドが見えるまでに成長するとはな」
この半月色々な修行を乗り越えてきた(無理やり)。
「そして、スタンドに目覚めたのだッ!」
中二病はポーズを変えて、オーバーリアクションで言い放った。
「あたしがス〇ンド使いに……」
「エリーっち、とうとうス〇ンド使いになったんやな」
※ ボケです!
モーリアンは体をのけぞらせ、右手の人差し指でエリーを指さし、左手を自身の背中に回すという変なポーズをとって言った。
「修行の成果が出たんや。今のエリーっちには見えるはずやッ! うちのコメディアンズ・トークの姿がッ!」
キラキラ光るオーラが、モーリアンの背中にクッキリと具現化していた。見えるぞ、あたしにもス〇ンドが見えるッ!
エリーはモーリアンの背後に浮かび上がる、黄金の輝きを見た!
その姿はビリケンの神々しさと、くいだおれ太郎の顔と、道頓堀のグリコの看板のランナーが合わさったような姿をしていた! 何ちゅう姿じゃ!
「見えたかッ これがうちのコメディアンズ・トークの姿やッ! コメディアンズ・トークにオラオラされたもんは、笑い過ぎて、腹筋がいたあなるゆう恐ろしい能力をもってんねん」
モーリアンがこのようなス〇ンドを有していたなど、知らなかった……(知る必要もない)。
「うちと龍之介ッちの他に、ゴリッチと、紅っち、カバーッチ、潤弥っちもス〇ンドを持っとんやで」
「つまりみんなじゃないッ! 誰も、そんなこと言ってなかったわよッ」
※ ボケです!
「聞かれんかったもんな」
モーリアンが言うと、背後にいるス〇ンドはうんうんとうなずいた。
「そう……わかった……」
ス〇ンドの話で盛り上がっているそこに、「今日は何をすればいい?」とゴリッチが洞窟から出てきた。
腰を葉っぱで隠しているだけの、野生児姿だ。
はじめは抵抗があったが、エリーももうなれた。
だって、着ている服も洗わなければならのだから、多少のことは目をつむらなければやっていけん。
無人島漂流をテーマにしたアニメや漫画なんかは、着替えをどうしているのだろう? と疑問に思う。
エリーが見たことある、無人島漂流ものなど、着替えをしているシーンがなかったからだ。まあ、創作物なのだから、その辺は大目に見なければな、なんて思う。
「あれ? カバー隊長は?」
辺りを見回し、ゴリッチはクエスチョンマークを浮かべる。
「知らんで、そこらへん、ほっつき歩いとるんちゃうん?」
「そうか、今日することを聞こうと思ったんだけど」
参ったな~と頭を掻くゴリッチの背後に……とてつもない筋肉をもつ、リアルゴリラのような化け物がいた。
これもス〇ンドか……。
エリーの態度がおかしいことに気付き、ゴリッチは、「どうしたの?」と訊ねた。
エリーはゴリッチの背後を指さした。
ゴリッチは振り返るが、誰もいない。
「その背後霊。やっぱりゴリッチもそのス〇ンドが見えるの?」
※ ボケです!
「もしかして、エリーちゃんも覚醒したのか。いや~、早かったね。そう、こいつはアトラス・ザ・ハンドレッドッ!」
「へ~」
続けざまに現れる新手のス〇ンド使いッ!
「みんな~。チキンたちが沢山卵産んだよ~」
この声は紅ッ!
チキンとは、この島にいた鶏たちのことだった。
島に散らばる鶏を集めて、今では十羽飼っている。
その他にも羊や山羊の飼育もはじめた。
羊からはウールを取って冬支度をしている真っ最中だった。
「ほら~。見てみて~」
紅は嬉しそうに編み籠を皆に見せた。
夜のたんぱく質はこれで、補えるだろう。
エリーも心をときめかせながら、編み籠を見下ろして、「本当。十個もある」と改めて紅の顔を見上げたとき、ス〇ンドを見た。
白と黒のテディーベアみたいな小さなぬいぐるみが、紅の両肩に座っているのだ。目はボタンで、モフモフの毛皮を持っている。
エリーが紅の方に視線をやっていると、「エリーちゃ~ん。どうやら、あなたも目覚めてしまったようね~」とおかしなポーズを決めた。
「まだ何も聞いてないんですけど」
※ ボケです!
「教えてあげる~。これがわたしのス〇ンド。ベア~ズ・モノクロームだよ~」
バーン! と卵の入った籠を頭の上に載せて、両手の指でコルナを作った。
ご都合的に新手のス〇ンド使いが現れるッ。
どこかに姿を消していた、カバー隊長がそこに戻って来たのだ。
「おお、みんな。いいものを発見したぞ」
森の中から嬉しそうに満面の笑みを浮かべて、走ってくる(着ている服は、龍之介が作った葉っぱの服)姿は変質者にしか見えなかった。
「良い物って何?」
「ドラム缶だ。ドラム缶が砂浜に流れ着いていた」
「ドラム缶? それのどこがいいものなのよ?」
カバー隊長はわかってないな、といいたげに人差し指を振って、「ドラム缶は色々な用途で活用できるのだよ。エリー君」と言った。
「ドラム缶なんて、ただの粗大ごみじゃないの?」
「それは、ドラム缶のありがたさを知らない文明人の考えだ。まず、ドラム缶があれば燻製装置だって作れし、かまどになっだなるんだぞ。インテリアにだってなるしな」
ほうほう、確かにかまどが使えれば、食べられる料理の幅も増えるか。
「何よりだ」
隊長はエリーに顔を近づけて、小さな声で囁いた。
「ドラムでお風呂が作れちゃうのだよ」
エリーはお風呂という単語を聞き逃さなかった。
猫のように目をまん丸にして、「お風呂――入れるの?」と問うた。
カバー隊長は我が意を得たり、というドヤ顔でうなずいた。
「そうでげす。奥さん。お風呂ですぜ。ドラム缶の下で火を熾して、お湯を沸かせば、無人島でお風呂に入れますでげすよ」
隊長のキャラが何故か、小汚い金貸しみたく変わっているのに、エリーはつっこみを入れなかった。エリーは今、それどころではないのだ。
なんたって、エリーは大の風呂好きなのだから――。




