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「自分の書いた小説に転生したのに、設定が崩壊してるので“書き換え”ながら生き残ります」―作者なのにヒロインに殺されかけてます―  作者: 百花繚乱


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第十七話「境界は薄くなる」

第十六話の夜が明けたあとも、アリアの言葉は頭の奥に残り続けていた。


**外に届く文と、ここに残す文は、同じではない。**


それはただの忠告ではなく、これまでの十一話から十六話までをまとめて言い直したような言葉だった。真理へ届いた最初の断片。家族へ辿り着いた青いノート。未送信の手紙の箱が引きずり出した、私の中の未整理な想い。そして、アリアがはっきり「外側を嫌う」と口にしたこと。


全部つながっている。


私はこれまで、「異世界にいる私が、現世へ痕跡を返す」という感覚で動いていた。けれど今はもう、それだけじゃ済まない。返すたびに向こうがこちらへ近づき、こちらもまた向こうへ引かれていく。片道じゃない。細かった糸が、少しずつ撚られて太くなっている。その実感がある。


それが、嬉しいだけの現象じゃないことも。


午前中、セオドアに呼ばれて私は魔導局の仮設観測室へ向かった。北棟書庫の裏手、もともとは記録魔法の精度調整に使われていた部屋らしい。広さはそこそこあるが、居心地はあまり良くない。壁一面に金属板と紙の記録が貼られ、机の上には魔力計測用の結晶柱と、昨日まで見ていたのと同型の結界板、それから見慣れない透明な薄板がいくつも並んでいる。窓は高い位置に細く一つだけ。差し込む光も硬い。


要するに、実験室だ。


ノエルがすでに来ていて、透明な薄板の位置を何度も微調整していた。リゼットは部屋の隅で腕を組み、セオドアは中央の机に向かって何かを書き込んでいる。アリアはいない。いてもおかしくないのに、今日はまだ姿がない。その不在が、少しだけ気になった。


「おはようございます」とノエルが言ったあと、すぐに言い直した。「いや、おはようございますって空気でもないですね」


「どういう空気なの」


「嫌な予感がする空気です」


「やめて」


でも、その感想はたぶん正しかった。部屋に入った瞬間から、妙な違和感があったのだ。目で見える何かではない。空気の密度が少しずれている感じ。高熱があるときに世界の輪郭がわずかに薄くなる、あの不快さに似ている。


セオドアが顔を上げた。


「来たか。ちょうどいい」


「ちょうどよくない顔してるけど」


「事実はだいたい、都合よくない顔をしている」


いつものようでいて、少しだけ緊張が混じっている。私は椅子を引き、机の前に立った。


「何があったの」


セオドアは机上の薄板を一枚持ち上げた。透明なそれは、ガラスにも似ているが、もう少し柔らかい光を持っている。表面にはごく薄い線が走っていて、何かを映した記録媒体のようだった。


「昨日、未送信の手紙の箱を使ったあと、境界観測値が大きく揺れた」


「それは想定内じゃないの?」


「揺れること自体はな。問題は“揺れ方”だ」


彼は薄板を机の中央へ置いた。そこへ魔力を流すと、表面に淡い映像が浮かび上がる。線の集まりだ。波形グラフのようにも、地図のようにも見える。


「これが十四話のあと。青いノートの最後から三枚目へ誘導した時点の記録」


細い線が、こちらから向こうへ一本だけ伸びている。たしかに接続だ。でも、まだ細い。危ういが制御可能に見える。


「こっちが十五話のあと。真理へ最初の断片を意図して送った時点」


線が二本になっている。一つはやはり細く、もう一つは途中で何度も揺れながら、少しだけ広がっている。


「そして、これが昨夜」


次に映ったものを見て、私は思わず眉を寄せた。


線ではなかった。


薄く広がった膜のようなものが、こちらと向こうの間に一瞬だけ張りつき、すぐに裂けたような跡を残している。一本の道ではなく、接続面そのものが広がりかけた痕跡。


「……何これ」


「境界の薄化だ」とセオドアは言った。「君たちは昨日、特定の一文を通しただけのつもりだったろう。だが実際には、その前後で“向こうがこちらを読む力”そのものが増している」


私は黙った。読む力。その言い方は、妙にこの物語らしかった。


リゼットが低い声で補足する。


「昨日、現世側で真理さんが青いノートを開いた。それに対応してこちらでも、青いノートに関わる記述が濃くなった。つまり今は、こちらが向こうへ届けるだけではなく、向こうが“読んだこと”そのものがこちらに影響している可能性がある」


「それって……」


「双方向です」とノエルが言った。いつもより少し真面目な顔だった。「しかも、思ったより早い段階で」


私は喉の奥にざらつきを覚えた。


双方向。わかっていたつもりだった。真理からの断片も来たし、家族の動きも見えた。けれど、こうして“向こうが読むことで、こちらが変わる”と明確に言われると話が違う。現世はもう、ただの帰る場所ではない。こちらを揺らす側にもなり始めている。


「悪いことばかりじゃない」とセオドアは続ける。「向こうの観測が安定すれば、こちらとの接続も太くなる。だが同時に、境界そのものが薄くなる。薄くなれば、文字通り“混ざる”」


その言葉と同時に、部屋の隅で小さな音がした。


全員がそちらを見る。


壁に貼ってあった記録紙の一枚、その端に、見慣れない文字が浮かんでいた。いや、文字というより単語だ。


**既読**


一瞬、誰も動かなかった。


私は目を疑った。既読。現世のメッセージアプリでしか見ないはずの、あの無機質な二文字が、異世界の記録紙の端に墨のように滲んでいる。次の瞬間、それはすうっと薄れて消えた。


「……今の」


「見たな」とセオドア。


「見たけど、何で」


ノエルが青ざめた顔で記録紙を押さえる。


「現代語です。こっちの共通語じゃない。意味を持ったまま混ざってます」


「向こうの生活圏の記述が、こっちへ漏れ始めてる」とリゼットが言う。「しかも、ユイさんに近い言葉から」


私は無意識に一歩後ろへ下がっていた。


既読。


あまりにも日常的すぎる。大事件の言葉じゃない。現世で何度も見て、何度も気にして、時には腹を立てた、どうでもよくてどうでもよくない二文字。その“どうでもよさ”が、逆に気味悪かった。現世と異世界が繋がるというと、もっと劇的な光景を想像していたのだ。家族の映像とか、真理の声とか、そういうものを。でも実際には、こうして生活の断片の方が先に漏れてくる。境界が薄くなるというのは、たぶんそういうことだ。世界観に合ったものだけが来るわけじゃない。雑多で、生っぽくて、意味だけが強いものが混ざる。


「他にもあるの?」


私が聞くと、セオドアは別の薄板を見せた。


そこには、昨日の夜から今朝にかけて記録された“混入語”が並んでいた。


**締切**

**通知**

**ログイン**

**圏外**


どれも短い。どれも、現世では何気なく使う語だ。けれどこちらでは異物でしかない。


「全部、ユイさんの生活圏と関係が深い単語です」とノエルが言う。「家族や真理さんが今見てるもの、触ってるもの、考えてるものが、向こう側からこちらに染みてきてるのかもしれません」


「逆もあるんでしょうね」とリゼットが続ける。「向こうでも、こちらの言葉や風景が混ざり始めている可能性が高い」


私は眉を寄せたまま、机の縁に指を置いた。


「それ、かなりまずくない?」


「かなりまずい」とセオドアは即答した。「ただし、有益でもある」


「どっちなの」


「両方だ。境界が薄くなるほど危険は増す。だが、現世との接続精度は上がる。君が向こうに届く可能性も、向こうが君を理解する可能性も高くなる」


それはつまり、今の状況そのものだった。嬉しい。危険。進みたい。止まるべき。全部が同時に成立している。


「だから制限が必要です」とリゼットが言った。


彼女はいつもより一段低い声だった。


「今後、接続実験は毎日行わない。未送信の手紙の箱の使用頻度も落とす。現世へ送る断片は、必要最低限に絞る」


私は反射的に言い返しかけたが、その前にセオドアが補足した。


「禁止ではない。管理する。今のまま感情で押し切ると、向こうの日常語がこちらへ混ざるだけでなく、こちらの構造語も向こうへ漏れる。そうなれば、現世での異常の説明がつかなくなる」


「構造語?」


「例えば、“ヒロイン”“正史”“没案”“記述災害”といった、この世界の成立そのものに関わる言葉だ。それが向こうで意味を持ち始めたら、真理や家族がただの観測者ではいられなくなる」


その想像は、思った以上にぞっとした。真理はまだいい。いや、よくはないけれど、彼女はたぶん異常を異常として受け止める。けれど母や弟まで巻き込まれたらどうなる。現世の日常の中へ、こちらの“物語の構造”が入り込む。夢や違和感や不可解な画面表示として済めばいい。でも、それが現実の選択や感情にまで影響し始めたら。


「……わかった」


私が言うと、リゼットがほんの少しだけ表情を緩めた。


「素直ですね」


「素直じゃないけど、今のはさすがにわかる」


「それならいいです」


そこまで会話が進んだところで、窓の高い位置から光が揺れた。


遅れて、アリアが入ってきた。


いつも通り、何の前触れもなく。銀の髪が白い光を拾い、細い影が床へ落ちる。彼女は部屋の空気を一瞬で変えた。ノエルは少しだけ背筋を伸ばし、セオドアは露骨に嫌そうな顔になり、リゼットは無言のまま様子を窺う。私はというと、姿を見た瞬間に、少しだけほっとした自分に気づいてしまった。


「いいタイミング」とセオドアが言った。嫌味半分だ。


「呼ばれてないのに来るのが、わたしの良いところです」


「そこを良いと言える神経がすごい」


アリアは私の横まで来ると、机の上の薄板と記録紙を見下ろした。そこに残っていた混入語の記録――締切、通知、圏外――を目にして、彼女はごくわずかに眉を寄せる。


「……始まりましたね」


その言い方に、私は反応した。


「やっぱり知ってたの」


「だいたい予想はしてました」


「何を」


「外側が“言葉”として入ってくる段階です。次は風景、それから感覚、そのあとに……」


アリアはそこで一度言葉を切る。


「役割が混ざります」


部屋が静まった。


役割が混ざる。


その意味を私はすぐには理解できなかった。ノエルも同じらしく、目をぱちぱちさせている。リゼットが先に問う。


「具体的には?」


アリアは机の端に指を触れながら、淡々と答えた。


「向こうで“姉”として見られているあなたと、こっちで“作者”として見られているあなたが、境界の薄化で一度に強くなる。そうすると、どちらの役割でもない動きができなくなることがある」


私は息を呑んだ。


「……何それ」


「簡単に言えば、“外では家族の期待に引っ張られ、内では物語の責任に引っ張られる”ってことです」とアリアは言った。「どっちも本物だから、余計に厄介なんです」


その説明は、痛いほどわかりやすかった。現世の私は娘で、姉で、友人で、失踪者だ。こちらの私は作者で、改変者で、危険物で、書庫の中心に近づきつつある異物だ。今はまだ両方を意識的に行き来しているつもりでいる。でも境界が薄くなれば、その“つもり”が通用しなくなるかもしれない。状況に応じて役割が勝手にせり上がり、私自身の判断より先に行動を縛るようになる。


「それ、私だけ?」と私は聞いた。


アリアはすぐに首を振った。


「いいえ。わたしもです」


「アリアも?」


「向こうで“ヒロイン”として読まれ始めたら、こっちのわたしはもっとヒロインっぽくなるでしょうね」


冗談みたいな話なのに、彼女の声は冗談ではなかった。


「それが嫌なの?」


私がそう聞くと、アリアは少しだけ笑った。


「嫌ですよ。だって、読まれるほど強くなる代わりに、読まれた通りの自分に寄っていくんですから」


その一言で、第十六話の続きを私はようやく実感した。


アリアは“外側を嫌う”。それは、私を取られたくないからだけじゃない。外側の観測が強まるほど、自分がまた“ヒロイン像”へ回収される危険を知っているからだ。役割が混ざる。物語に必要とされる形へ、勝手に近づいてしまう。その恐怖は、たぶんこの子にとってかなり本質的だ。


「だったら余計に、接続は慎重にやるべきですね」とリゼットが言う。


アリアは珍しく即答しなかった。少しだけ考えてから、静かに頷く。


「ええ。でも止めるべきじゃない」


「意外」と私は言った。


アリアは私を見た。


「止めたら、あなたは止まったまま壊れるでしょう」


その言い方があまりに正確で、私は言葉を失った。


そうだ。止めれば安全になるわけじゃない。家族や真理と繋がりかけたところで、全部を切れば、それはそれで壊れる。向こうを捨てることになるし、こちらで生き延びる理由の一部も失う。だから必要なのは停止ではなく管理だ。細く、意識的に、意味を選んで進めること。


セオドアが机の上の記録をまとめ始める。


「結論は出た。今後、境界の薄化は前提として扱う。その上で、現世語の混入記録を取り続ける。ユイの断片送信は継続するが、頻度と内容を制限。アリア、お前にも観測の偏りが出始めたら報告しろ」


「命令口調が気に入りません」


「気に入らなくていい」


「でも従います」


その応答に、私は少しだけ首を傾げた。アリアはこういうとき、思った以上に協力的だ。もちろん完全な味方ではない。でも、世界が壊れることそのものを望んでいるわけでもない。そのバランスが、この子をただの敵にしない。


「ユイ様」とノエルが控えめに声をかけてきた。


「何」


「真理さんとかご家族の方に、今の混入語のことは……」


そこで言葉が止まる。伝えるべきか、伝えないべきか。たぶんノエル自身も迷っているのだろう。


私は少し考えた。


「まだ言わない方がいいと思う」


「どうしてです?」


「真理はたぶん飲み込む。でも母と弟には早すぎる。向こうが“変な言葉が混ざる”段階にいるとしても、それを“そういうもの”として受け入れる準備はまだない」


言いながら、自分の中でその判断が定まっていくのがわかった。現世と繋ぎたい。でも、繋ぐことと巻き込むことは違う。そこを間違えたら駄目だ。


アリアが、ほんの少しだけ満足そうに目を細めた。


「ちゃんと選べるじゃないですか」


「誰目線」


「ヒロイン目線です」


「便利な言葉だな、それ」


「便利じゃないですよ。すごく不自由です」


そう返したあとのアリアの横顔は、どこか本気だった。


そのとき、部屋の隅の透明な薄板にまた光が走った。全員がそちらを見る。今度は短い単語ではなかった。薄く、かすかに、何かの映像が浮かぶ。ノイズ交じりで、すぐに消えそうな輪郭。でも私はその一瞬でわかった。


現世のコンビニだ。


真理がよく私を連行していた、駅前の、いつも妙にエアコンが強いコンビニ。レジ横の棚。雑誌の並び。コピー機の位置。見間違えるはずがない。


「……また来た」


私が呟くと、セオドアが即座に薄板へ手をかざした。映像は一秒にも満たず消えたが、記録は残ったらしい。


「風景混入だ」と彼は言う。「単語の次の段階に入ってる」


ノエルが青ざめる。「早くないですか」


「早い」とリゼットが答えた。「想定より」


私はじっと薄板を見ていた。コンビニ。そんな、どうでもよさそうな風景が混ざる。けれど、そこには強い意味がある。真理との夜。締切前の逃避。凍らせたプリン。言葉にならない愚痴。つまり、風景もまた断片なのだ。単語より少し広く、でもまだ具体的で、私と真理の接点になりやすい。


「使えるかも」と私は言った。


リゼットがすぐに反応する。「何に」


「風景。言葉じゃなくて、場所の断片を使えば、もっと自然に向こうを導けるかもしれない」


セオドアが頷く。「理論上は可能だ。だが危険も増す。風景は単語より情報量が多い。送りやすいが、漏れやすい」


「でも、今のコンビニは真理なら絶対わかる」


私がそう言うと、アリアが静かに口を挟む。


「だからこそ危ないんです」


私は振り向く。


「風景って、言葉より“その人らしさ”が強いでしょう。向こうへ場所を渡すってことは、そこにいたあなたの感覚も一緒に渡すことになる」


その指摘は鋭かった。コンビニという場所だけじゃない。そこで感じた寒さや、真理の声や、レジ前の白い光まで、まとめて持っていかれるかもしれない。


「……でも、進むなら次はそこだ」


そう言ったのは、私自身だった。


皆がこちらを見る。少しだけ怖かった。でも、言わなきゃいけない気がした。


「十一話から十六話までは、言葉の断片で繋いできた。次に必要なのは、向こうが“私のいた現実”をもっと具体的に掴めることだと思う。青いノートも大事。でも、真理はたぶん場所で記憶を拾うタイプでもある」


「それはそうですね」とノエルが素直に頷く。リゼットは渋い顔をしているが、完全には否定しない。セオドアも即答はしなかったものの、反対もしなかった。


アリアだけが、少し長く黙っていた。


やがて彼女は、窓の方へ視線をやりながら言う。


「本当に、どんどん外へ行きますね」


責めているようでもあり、諦めているようでもあった。


私は少し考えてから答える。


「行くよ。でも、だからってこっちを消すつもりはない」


アリアは返事をしない。代わりに、少しだけ寂しそうに笑った。


「その両立が、一番難しいって知ってるくせに」


知っている。だからこそ、進めるところまで進むしかない。


第十七話で明らかになったのは、接続がもはや“言葉の交換”だけではないということだった。

単語が混ざる。風景が漏れる。役割が引き寄せられる。


現世は向こうのままではいられず、異世界もこちらのままではいられない。

境界はたしかに薄くなっている。


そしてその薄さの中で、私はこれからもっと慎重に、もっと具体的に選ばなければならない。


何を送るのか。

何を残すのか。

誰を巻き込むのか。

どこまでアリアを外側へ近づけるのか。


部屋を出るころには、空はすっかり夕方になっていた。高窓から差す光が長く伸び、石床を橙色に染めている。ノエルは記録板を抱えて小走りに先へ行き、リゼットはその後ろから「走るな」と低く言い、セオドアはすでに次の実験式をぶつぶつ組み始めていた。


アリアは少し遅れて、私の隣に並ぶ。


「ねえ」と私は言った。


「何ですか」


「さっきの“役割が混ざる”って話、あんたも怖いんでしょ」


少しだけ間が空いた。


それからアリアは、前を向いたまま小さく答えた。


「怖いですよ」


その率直さに、私は少しだけ驚く。


「でも」と彼女は続けた。


「怖いからって、見ないままではいられないでしょう。あなたも、わたしも」


私は頷くしかなかった。


見ないままではいられない。

それが、この物語にいる人間の業なのだと思う。


第十七話の終わりに、私ははっきり理解していた。

次は、言葉ではなく風景が鍵になる。

真理と私を繋ぐ場所。

生活の中の、何気ないのに忘れられない場所。


境界が薄くなるほど危険は増す。

でも、その危険の先にしか辿り着けないページもある。


そしてそのページには、たぶんまたアリアが関わってくる。

外側を嫌うヒロインは、それでも外側を見てしまうから。


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