過去に問いかける
「おはよう、光!」
「お、おう」
俺は慣れないながらも挨拶を返す。
「光、愛してるよ」
彼女はまっすぐに俺に好意を告げる。
「そ、そうか」
俺はそれがなんだか照れくさくて顔を背ける。
「ふふ、照れてる」
彼女は嬉しそうに笑う。
「あの、沢渡さん……」
「桃花でいいよ」
「えっと、桃花さんはなんで俺のこと好きなの?」
「??」
彼女は首をかしげる。
「光だからだよ?」
何、そのそれ以外に理由がいるかと言わんばかりの可愛い返事は!?
「そう……」
いまだに信じられない。
こんなかわいい子が俺の幼馴染で俺のことが好きなんて……
「ほら!行こ?」
「あ、ああ」
そうして学校に登校すると俺はクラスメイトに取り囲まれる。
「西木、大丈夫だったか!?」
「どんな感じだった!」
クラスメイト達は興味心から俺に質問してくる。
「ちょっと待った!」
桃花さんが大きな声で告げる。
「光は病み上がりなんだからそんなに質問しない!」
その言葉にクラスメイト達はとぼとぼ去っていく。
「大丈夫だった?」
「ああ……ありがとう」
俺は少し笑みを浮かべながらお礼を言う。
「キュン……」
「うん?どうした?桃花さん?」
「か、可愛すぎて胸キュンしてたの」
「可愛い?」
誰が?
「その笑顔素敵!やっぱり光は世界一!」
俺に抱き着いてくる桃花さん。
「え、え?」
「ふふふ」
彼女は嬉しそうに抱き着き笑っている。
「朝から熱いね?二人とも?」
「あ!京子!」
「ああ、京子。おはよう」
「あれ、私のことは覚えてるんだ?」
「ああ、そうみたいだ」
不思議なことに桃花さん以外の人のことは覚えているのだ。
なぜ桃花さんだけが欠落しているのか……
「なら、よかった。改めてペットに!」
「ノーセンキュー!!」
俺は彼女にデコピンをする。
「ふひひひ」
「……」
彼女は頭を押さえて通常運転だった。
「あのね、喜一君や牧田さん、そして京子は今回の騒ぎの裏で噂を消していてくれたの」
「ああ、たしか桃花さんのひどい噂だったか?」
「うん……でもほんとのこともあるから仕方ないの……」
「うーん」
俺は聞きかじっただけだが、俺と桃花さんはいい感じの仲だったらしい。
だけど、それを裏切って京子の紹介でチャラビーと恋人になったって話だったかな。
だが、思う。そもそも付き合ってたわけではないし。そもそも京子のせいだし。
つまり桃花さんに多少の非があっても悪いことはないのではないのだろうか?
「というわけで京子が悪い」
「わ、私!?」
「ああ、お前が悪い」
「ふふふふ」
責められて笑ってやがる。
狂人め。
「光、それに甘えるつもりはないよ」
「桃花さん?」
「どんなことがあっても光なら裏切らなかった。なら私だって同じなはずだった。だから私が悪い。これからも背負っていく」
どうも彼女なりに覚悟は決めていたらしい。余計なおせっかいだった。
「ごめん。余計だったな?」
「いいの。光君は優しいくて私のことが好きだから仕方ないの」
そう言って笑う。
その笑顔にはどこか見覚えがあって懐かしい。
「そうか……」
彼女は俺にとって何だったんだ?
俺は記憶がなくなる前の俺に聞く。
だが、答えは返ってこない。
読んでいただき、ありがとうございます。
気に入っていただけたら、ブックマークや評価で応援してもらえると嬉しいです。




