欠落
「光!?光!!目を開けて!!」
光は目を閉じて動かない。
血だまりは大きくなるばかり。
「お願い!!死なないで!!」
だが彼は少しも動かない。
そうだ、救急車を呼ばなきゃ。
そこでやっと救急車を呼ぶことを思いつく。
だが……
「あれ……」
手が震えてうまく操作ができない。
「どうして………」
完全にいうことを聞いてくれていなかった。
「ふざけんな!!」
私は自分の手を地面に強く打ち付ける。
何度も何度も。
「はあ、はあ」
それでも手は震えていた。
私ははただ彼が死ぬのを見るしかできないの?
「光!……光!私、私……」
もはや言葉ですら制御が利かない。
すると遠くから救急車のサイレンが聞こえる。
それはどんどん近づく。
すると倉庫の中に救急隊員が入ってくる。
「いたぞ!」
「え?どうして……」
「あなたも手を怪我をしてますね。一緒に来てください」
そうして私も救急車に乗り病院に行くことになった。
私は動転していた。
いったい誰が……
「いったい誰が救急車を?」
「ああ、それなら堂本という少年が通報してくれたんだよ」
喜一君?
どうして?
「その子から伝言で「もう心配いらないみんながいる」だそうだよ」
みんな……
私は確かに暖かくなる気持ち持ちながらただ祈る。
光が死なないようにと。
数週間後。
「うん?ここは……」
俺は確か昨日は……
だめだ思い出せない。
「うん?光!?」
近くで寝ていた少女が起きて俺の名前を呼ぶ。
「よかった……よかった」
少女は俺に抱き着き涙を流していた。
「君は……誰?」
「え?」
少女は固まり目が見開く。
「な、何言ってるの?冗談だよね?」
「??」
俺は質問の意味が分からず困惑する。
「私、先生呼んでくる!!」
少女は慌てた感じで病室を出て言っていく。
しばらくして母さんと先生が来た。
「母さん、俺一体……」
「よかった……光」
母さんは優しく抱きしめる。
とても暖かく手少し照れ臭い。
「うむ。お母さまは忘れていないと……」
先生は不審なことを言う。
「どういう意味ですか?」
「うむ。君はねそこの少女、沢渡桃花さんを知っているのだよ」
「え?」
俺がこの少女のことを知っている?
初対面じゃないのか?
「母さん、ほんと?」
「ええ、桃花ちゃんはあなたの幼馴染よ」
「??」
やはり考えても思い出せない。
「これは一部的な記憶障害が発生していますな」
先生が言うには俺はおなかをナイフで刺されたらしい。
そのショックで記憶に欠落が起こっているらしい。
「おそらく何かきっかけがあれば戻るとは思いますが……なんとも」
「それじゃあ、私のことを一生思い出さないこともあるんですか!?」
「ないとも言えません」
「そんな……」
少女は落胆していた。
何かその姿はほっとけなくて俺は何してあげられないかと思った。
そうしたら手は勝手に彼女の頭に手を置いていた。
「ごめん」
「ひ、光……」
彼女はただ泣いていた。
その涙は深く長く続いた。
その姿を見ているだけの俺はもどかしくて仕方なかった。
だけど、俺はそれがどうしてなのかわからなかった。
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