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「ユイの嘘」その4

「残るはアンタだけ・・・っ!?」


 これで後は女神様の魔法と俺の力があれば終わりなき英雄譚(この世界)をまた再構築出来ると思った矢先、ユイが居ないことに気付き、女神様がいる寝室に大急ぎに向かった。


「あ、あぁぁぁぁ」


 扉は恐らく拳で吹き飛ばしただろう凹み方で想像出来るが化け物なのは間違いないっぽいな。


「ちっ、させるかよ!!」


 女神は既に斬られていて大量の黄金と赤色が混じった血液を流しながら必死に壁を背にして死にかけてる。


「女神の加護もこの程度なんだ」


 ユイは彼女血液を手で掬い更に怒りが増していく。


「許さない・・・!許せない!私の家族を・・・!私の大切な家族を奪っておもちゃのように扱って何度も何度も何度も殺して!!アンタ達が畜生なのは判った、ユカリちゃんを返してよ・・・私の大切な家族を返せ!!返せ返せ返せ返せ!!!お前達がユカリちゃんの死を誘ったんでしょ!?私が欲しいから!?私を好きになったから!?ふざけんなよ!!!私はあの子と一緒に生きる筈だった!!!!!性格悪いし何も出来ない無能と罵られても、親から愛されなくても虐められてもユカリちゃんは生きてくれた、私が守りたかった、でも無能の私はクズでユカリちゃんを後回しにして!!私が死ねば良かった!」


 憎悪に満ちた殺意の気配に彼女は混乱してる、それは恐らく・・・現実のユイが反映してるのだろう。


「私も自害したかった、でもアンタ達は一時の気持ちだけで私を閉じ込め、亡くなったユカリちゃんを主人公に仕立てた、アリアちゃんはユカリちゃんを嫌いだから何度も殺して私を嫁にしようとした、十万回目の世界で漸く気付いた・・・記憶が消えても想いがあれば蘇る可能性もある、私はそうやってずっとずっと最愛の家族の遺体を抱きながら誓った」


 いつか、貴女が幸せになる世界が来る・・・私が取り返してみせる、この世界で幸せになろう・・・誰も傷付かない幸せな世界の為に。


「アリアちゃん、死んでよ・・・貴女が死ねば権能を奪える・・・後少しでユカリちゃんとの楽園が実現出来る」


 俺達はとんでもない奴を本の中に閉じ込めちまったようだな。


「ユイ、現実に帰りたくないのか?」


 俺の質問にユイはにっこり笑う。


「全然?だって何度でも生き返るんでしょ?しかも性格が良いユカリちゃんもいるし現実に帰っても救いは無い、あるのは喪失感だけ」


 月送りの剣は女神の腹に抜き刺して躊躇無く内臓を掻き出す。


「た、助けてぇぇ!!」


「ははは、血あるんだ・・・神も血が出る・・・無いのは人間性だけね」


 下半身を斬り落としてユイはとても幸せそうに高笑い、最早狂気だ。


「ユイ、女神を殺して権能を奪ったとしてもユカリは帰ってこない・・・居るのは“自分の都合の良いユカリ”だろ?」


 俺の言葉にユイは一瞬だけ苦痛の表情を浮かべた、俺は一瞬にしてユイの首根っこを押さえ、投げ飛ばす。


「アリアンロッド様、今だ!!」


 ユイは先程の言葉がかなり効いてるみたいで動揺して動きがおかしい。


「特性能力解放:銀の歯車!!」


「No.268」


 ユイは我に戻り全速力で獣如く突っ走って来たがもう遅い、銀の歯車は時を戻し、俺の終わりなき英雄譚に新しく追加される。


 今回はユカリを殺さずに済んだ、ユカリの死は救済なんだ。


 だから何度でも助けた、ユカリはユイに殺されると二度と返ってこれない、それがこの本の厄介な所だ。


 俺がアリアンロッド様の命を叶える為に俺は創られた、だから何度でもユカリを殺す、自分勝手のハッピーエンドを迎える為に。

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