「ふんおんなおんせんのたびびびび」その●
優しく喉を断つとノア先輩は眠った。
私は別れを告げた後、そのままユイさんと合流すると協力者が一緒にいた。
「おや?予定より早く戻って来ましたね?」
私が使ったあの魔法は肉体を産まれる前に戻す。だから何も覚えてないし何も考えられない、落ちる前に私の手で葬る。
この魔法は好きな人に使えるんだ、私だけの特別な魔法。
「皆に謝ってたら時間無いから・・・一言添えたの、グーさんは良かったの?」
仮にも五星の人、私とユイさんが二人で歩いてる時にたまたま通り掛かって尾行してきたけどユイさんは計画通りに行こうと野放しにしたままが今になる。
「私は構いません、寧ろ面白いと思いますよ?」
あまりにも平然と装う彼に私は羨ましく思えた。
「私、未だに何でこんなことになったんだろうって悩んでる、ただの出来の悪い人間がちょっとした出来事で冒険者初めて皆ともっと仲良くなれるって信じてたのに・・・謎とか未知の場所での冒険とか、危険だけど楽しい日常が送れるようになる・・・そう思ってたのに・・・」
二人で語りながら足を進めていると風星の村の入り口にユイさんが剣を携えて休んでいた。
「それが例の?」
私達の気配に気付くとユイさんは見せてもらえた。
月の光と言うより光を帯びた煌びやかな川のような色をした限りなく碧に近い刀身で美しさを感じる。
柄の部分は黒くまるで淀んだ水のように少し汚れているがもしかしたら手入れがあまり施されていないのかも。
「ユカリちゃん、神を殺した時、次にこの刃で貴女を殺す・・・この剣で死んだ人間はその魂を月に送り私達が目指す幸せの星界に解き放たれる、後は覚えてるわね?」
コクリと頷きユイさんは私の顔を両手で包む。
「もう少しで終わるから、辛いモノは全部忘れようね・・・」
「でもそれ・・・逃げてるだけじゃないの?」
ユイさんは顔を振った。
「時には逃げる選択肢も大切なの、ユカリちゃんはこのまま女神が用意した最低最悪の物語の中で生きたいの?」
「それは嫌だよ、でも・・・ここが現実じゃないなら・・・本物の私の身体は何処にあるんだろう?」
ユイさんは答えてくれなかった。
「全て終われば話す、先ずは殺さないといけない権化を消しましょう」
「・・・・」
ユイさんの反応を怪訝に思いながらも私はグーさんを連れて光星に戻った。
「本物ですか・・・」
帰り際に放ったグーさんの一言が凄くて凄く耳に残った。




