表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メイちゃんが大魔王になるまで  作者: 畑田
2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/155

28話 泣きそうです

 

 カーラに聞きたかった、賢者になる方法は無事に聞け、これから私達は今後に関わる大事な事を決めなければなりません。


「カーラ、部屋割りを決めましょう」


 サクラさんが加わり、4人になりましたからね。流石に、1つのベッドでは狭く感じます。


「え?なんで?ボクはメイともサクラとも一緒が良いよ。もちろんキャルシィも」


「カーラ、このベッドに4人で寝るのは狭いと思いませんか?」


 結構大きいので、寝れなくはありませんが、カーラの寝相が少々悪い時もあるので、ゆとりがほしいですからね。


「大丈夫だよ。メイもキャルシィも小さいからね!」


「…え。…では、私達はベッドで寝るので、カーラは床で寝てください」


 キャルシィはともかく、私まで小さいと言うのは失礼すぎますよ。カーラが少し大きいだけで、別に私が極端に小さい訳ではありませんからね。そんな事を言うカーラは、床で十分です。寧ろ、廊下でも良いですね。


「…メイ、ここボクの部屋なんだけど」


「そうですね。床で寝るのが嫌であれば、部屋を分けましょう」


 流石に私も、本気で床で寝させようだなんて、少ししか思っていませんからね。


「でも、他に部屋無いよ?」


「え?」


 私が住み始める時も言っていましたが、本当に無いのでしょうか?


「ルナールさんに聞いたら、隣の部屋を使える様にしてくれるって言ってたわよ」


「…だそうですよ、カーラ」


 流石サクラさんです。そこまで見通していたのですね。こんなに広い屋敷なのですから、私は部屋が使い放題だと思っていましたよ。いくら貴族の家でも、使ってない部屋まで常に使える状態にはしておきませんもんね。時間もお金ももったいないですし。


「では、部屋割りを決めましょう。皆さん誰が良いか、せーので言いましょう」


 そして私は、カーラがこれ以上うだうだ言う前に、話を無理やり進めます。


「せーの!」


「キャルシィ」

「メイちゃん」

「サクラさんです」

「メイ!」


 おやおや。私に2票も入ってしまいましたね。少し嬉しいです。まぁ、カーラはカウントしないので、実質1票ですけどね。


 私はカーラ以外ならどちらでも良いですが、今回はキャルシィを選びました。なぜなら、私がサクラさんと一緒になると、キャルシィがカーラと一緒になってしまうからです。それは絶対にダメですからね。


 サクラさんには悪いですが、キャルシィと私は、お互いを選ぶので、カーラの相手をしてもらう事になります。ここまで完璧に考えている私、凄いです。


 そしてキャルシィはもちろん私を………ん?そういえば、『メイお姉ちゃん』と聞こえなかった気がしますね。いやいや、そんな事…。あり得ませんよね?


「キャルシィ…。ど、どうして私では無いのですか⁈」


 きっと、言い間違えたのでしょう。キャルシィが私を選ばない訳ありませんからね。そうですよね?


「ごめんなさい。サクラさんなら仕事の事とか聞けると思ったので。それに、カーラさんの相手が出来るのは、メイお姉ちゃんだけですから」


「そ、そんな…」


 そんなにしっかりとした理由を言われたら、文句が言えません。


 キャルシィは慣れない場所で、受付嬢としての仕事を始めたばかりです。だから、長年勤めていたサクラさんが頼りになるのは当たり前です。仕事熱心で偉いとしか言いようがありません。


「…では、サクラさんはどうして私なのですか?サクラさんが私と一緒になれば、キャルシィがカーラと一緒になってしまうのですよ?」


「寝る前と起きた後にメイちゃんの回復魔法掛けてもらいたいのよ。それに、カーラには常にデバフを掛けてれば大丈夫かなって」


 回復魔法を掛ければ、お肌が少し綺麗になります。私は、それの為だけに選ばれたのですね。サクラさんはキャルシィを犠牲にしてでも、その特権を得たかったのですね。ですが…。


「回復魔法くらい、部屋が違っても掛けてあげますよ」


「あら。メイちゃんがそうしてくれるなら、それでも良いけど。そうなると私とキャルシィが同じ部屋になるわね」


「…え?」


 …そういえば、キャルシィはサクラさんを選んでいましたね。お互いを選んでいるのであれば、そうなってしまいますね。何だか、私の完璧だと思っていた作戦が崩壊している気がします。


「じゃあ、メイはボクとだね!」


「ちょっと待ってください!」


 考えるのです、私!このままでは、私がカーラと同じ部屋になります。別に嫌ではありませんが、より良い選択肢があるのに、カーラと同じ部屋になってしまうのは、ほんの少しだけ納得出来ません。


「…メイちゃん、カーラが泣きそうよ」


「え?」


 あぁぁぁあ!!ダメです。これはダメです。私は、なんて酷い事を考えていたのでしょう。これでは、カーラを仲間外れにして虐めているのと変わりありません。人としてやってはいけない事です。


「ごめんなさい、カーラ。違うのですよ。そうです!この部屋にベッドをもう1つ用意して、みんな一緒に過ごしましょうよ!」


「…メイ。…うん、ボクもそれが良い。みんなと一緒に居たいよ」


 そうですよ。カーラは最初から、みんな一緒が良いと言っていたではありませんか。私は、それが叶う方法を模索せず、一方的に決めようとしていました。私はなんて酷い人間なのでしょうか。


「サクラさんとキャルシィも良いですよね!」


「はぁ。もちろん良いわよ」


「はい」


 サクラさんもキャルシィも文句を言わないのでありがたいです。いや、この状況では言えませんよね。ごめんなさい。


「ほら、カーラ。これからは4人一緒の部屋ですよ!」


「うん!嬉しいよ!」


 ふぅ。一件落着なのかは分かりませんが、取り敢えずは大丈夫そうです。自分の意見を通す事も大事ですが、時には他人の意見をしっかりと聞く事も大切という事ですね。勉強になりました。女性を泣かせるなんて、そんな悪魔みたいな事してはいけませんものね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ