↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポンコツ王太子のモブ姉王女らしいけど、悪役令嬢が可哀想なので助けようと思います〜王女ルートがない!?なら作ればいいのよ!〜【WEB版】  作者: 諏訪ぺこ
第四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

269/311

269.信用と信頼と 2




「正直に申しますと、薬なら……輸出品目に加えるのは有り、だと思います。ただ問題は――――」


「病気に有用な薬、ね?」

「はい。どのような病なのか、それが問題です。ポーションが我が国で広まったことで薬師は今、ポーション作成に注力してますからね」

「どんな症状があるかはシュルツ卿から聞いたわ。ロイ兄様なら、知ってるんじゃないかと思って今リーナに聞きに行ってもらっているところなの」

「そうでしたか。そうなるとあとは薬草をどこで作るかですね。それに薬が本当に効くかは、ロビン君のいうように実験といわれても仕方ないかたちになるかと」

「それはまあ、助かれば儲けもの……と思うでしょうから」


 ロックウェル魔術師団長の言葉にシュルツ卿は肩を竦める。


 ハスラ草とカテラの実が有用だとわかっていても、実際にどうなのかは病人に薬を飲ませてみないとわからない。アリシアの話すゲームの中では有用だったかもしれないけど、病気に関しての細かな描写を聞いていないのよね。


 それに今、ファティシア王国にはポーションという万能薬がある。ポーションがあれば大半の病は快癒するもの。トラット帝国が疫病の元となってるって知らなかったから、これはもう仕方がない。


「ロックウェル魔術師団長、ラステア国にも話を通す必要があると思うの。トラット帝国に薬を輸出するわけだし。それと同時に、ポーションを届けてもらうのを手伝ってもらえないかなって」

「ラステア国に、ですか? ポーションは……フォルテから話を聞いたのですね?」

「ええ。フィルタード派の領地で疫病が流行っていて、ポーションが足りないって」

「そうなんです。ポーションは国策としているにも関わらず、彼らはその役目を放棄していました。本来なら国策を無視したのですから、彼らを助ける必要はないのですけど……」

「それで困るのは領民だもの……お父様も無視できないわね」

「はい……ですが、彼らが本当に領民のためにポーションを使うかもあやしいので。その点でどうポーションを届けるかが問題だったんです」


 私はロックウェル魔術師団長に、飛龍を使って各領地にポーションを届ける手伝いをお願いできないかと提案した。本来ならファティシア王国内で起こった不祥事に、ラステア国を巻き込むのは間違っていると思う。だけど領民の安全には変えられない。


 フィルタード派の貴族たちが病気になったとしても、彼らは神殿にいる神官たちを無理矢理自分たちの治療に当たらせるだろう。だけど領民は別だ。彼らが領民のために動くとはちょっと考えづらい。その辺をお父様も危惧しているはず。


「お父様は、ラステア国にお願いしてくれると思う? 一応、私もコンラッド様に相談してみるつもりではあるのだけど」

「コンラッド殿下なら一も二もなく頷かれるでしょうね」

「そうかしら? 疫病が流行し始めていることを考えれば、とても危険なことを頼んでいるわけだし……そう簡単な話ではないと思うのだけど」

「ポーションがありますから、トラット帝国よりはまだ大丈夫かと」

「トラット帝国に持っていくには、一番近いのはファーマン侯爵領よね。ファーマン侯爵が了承してくれるかしら? もちろん私の畑も使うけど……」

「そうですね。今は、領地に戻ってらっしゃいますよね?」

「ええ。今、別件でファーマン侯爵に連絡を入れているからその返事が返ってきたら、この件も聞いてみるわ」


 そういうと、ロックウェル魔術師団長は小さく頷いた。そしてポーションを大量に作るために、薬草を大量に育てる必要がある。と、げんなりした表情で私に告げる。

 フィルタード派の貴族たちの領地はそこそこあるものね。広がり始めている場所を調べて、そこから届けられるようにしなければいけない。そうなるとあまり時間はないかも?


 そんなことを考えていると、リーナが小離宮から戻ってきた。


「お待たせいたしました。ロイ様から、有益な薬の材料のメモを頂いてまいりました」

「ありがとう。リーナ!」

「ロイ様はどうやら、トラット帝国で疫病が流行っているのをご存じだったようです。ですので、王城の薬師と検討をしていたようで……」

「そうなの!?」


 リーナの言葉にビックリしてロビンを見る。するとロビンはにっこりといい笑顔を見せた。あ、これは知っていたな!? 知ってたなら教えてくれればいいのに!! そう思ったが、たぶん知らせないことで私の反応をシュルツ卿に見せたのだ。


「風土病、とのことです。トラット帝国が吸収した小国の一つでは度々この疫病が人々を襲ったと。ただ一度罹ると、二度罹ることはあまりないようで……初期段階で治療できれば快癒したそうです」

「風土病、ですか……色々な国を征服し続けた弊害ですねぇ。手を出さなければ、治療法もその国に残っていたでしょうに」

「はい。有益な薬がその国では多く作られていたそうです。ハスラ草とカテラの実を二対一で混ぜ合わせたものだそうです」

「あら、ハスラ草とカテラの実ならポーションの材料ね」


 カーバニル先生の言葉に私は何度も頷く。ロイ兄様はちゃんと薬の比率までちゃんと調べていてくれたのだ。これなら薬だけをトラット帝国に輸出することが出来る。


「それじゃあ、ハスラ草とカテラの実をその割合で作ったやつを試しに飲ませてみればいいんじゃないっすか?」

「飲ませるって、誰に?」

「フィルタード派貴族の領地で流行ってる疫病に罹ってる領民に」

「え?」

「もしも同じ病なら、フィルタード派がわざわざトラット帝国から病気の人間を引き入れたことになりません? だって同じ時期に流行るなんておかしいでしょう?? もちろんポーションは別で用意しておく必要はありますけど。軽症の段階なら薬で間に合うんじゃないですかね。そうすればポーションの量も抑えられる」


 ロビンの言葉にハッとした。そうか。シュルツ卿の情報をそのままお父様にはなすわけにはいかない。それは両国間の対立になるからだ。

 これがラステア国とだったら、元々敵対しているのだし「そんなこともあるでしょうね」と受け入れてくれるだろうけど……ファティシア王国は、一応友好国。そんなことがお父様の耳に入ったら、薬を輸出するどころではない。


 でも、フィルタード派の貴族がトラット帝国の人間を勝手に引き入れて、疫病を流行らせたのならフィルタード派の貴族たちの責任になる。しかも聖なる乙女の予言を叶えるために、疫病を流行らせているのだから……言い逃れしようもない。きっとお父様だって疫病の原因を調べるはずだし。


「ねえ、そうなると……ポーションを欲しがってるのは領民のためでなく横領してトラット帝国に渡すため、ってことになるんじゃないかしら?」

「そうなるでしょうね。そうでなきゃ、ここでわざわざ大騒ぎしないでしょう?」

「それもそうね。たとえ彼らが真面目に国策に取り組まなかったとしても、神殿や商業ギルドが他領より少ないとはいえ作っているはずですし……もしも疫病が彼らの意思とは反して広まっているなら自分たち用は奪えばいいもの。それなのに大騒ぎしたのであれば、別の思惑があって然るべきだわ」

「そういうことです」

「イヤだわ。いつもの癇癪かと思っていた。そうなってくると、景色がガラッと変わってくるわね」


 ロックウェル魔術師団長は顎に手を添えて考え込む。頭のいい人って一つ聞いて、十くらい思いつくものなのだな。私じゃきっと無理だ。そんな風に考えていると、シュルツ卿が興味深そうにロビンを見ている。私が首を傾げると、彼はにこりと微笑んだ。


 なんとも意味深長な笑み。何か企んでいるのではなかろうか?

 だが私ではきっと太刀打ちできないのだろうな。適材適所って、あるもの。私に出来るのはポーションを作ることぐらいだ。


「……その、ロックウェル魔術師団長。ポーションはどのくらい必要かしら?」

「いえ、これは魔術式研究機関の仕事ですし……」

「カーバニル先生たちだけじゃ、人手が足りないでしょう? それなら今テスト休み中だし、ライルにも手伝ってもらって作ろうと思うの。どうせ私の畑の薬草も使うでしょう?」

「それは助かりますが……」

「そうですね。姫さんにお願いして作ってもらったら良いと思いますよ? なにせ普段、姫さんを馬鹿にしてる連中です。姫さんが手ずから作り、ラステア国の飛龍隊が届ける。ほーらイヤな感じでしょう?」


 ロビンの言葉にカーバニル先生は吹き出した。まあ、たしかに彼らが私に感謝することはないのだろうけど。それでも領民たちのためなら吝かではない。

 ロックウェル魔術師団長は苦笑いを浮かべ、シャンテたちにも声をかけますねといってくれた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。