安心
一時間くらい更新遅れてしまいました。申し訳ありません。(´;ω;`)
でもまだ20時代だからギリ間に合ってますよね? 大丈夫ですよね?(´;ω;`)
ベニスを消滅させる為に、小太陽か帯電のどちらかの魔術を使うべきか。
これはそう難しい判断ではなく、小太陽以外にはありえないとの結論に、僕はすぐに至る。
帯電は定めた範囲全てが塵になってしまうので、仮に逃げ遅れた人々がいたのなら、その人たちも丸ごと塵にしてしまうのだから使えない。
小太陽を創る。
ただ、今のベニスの体の大きさを考えると、このままでは小さすぎる。
ゆえに僕は小太陽を更に大きくしていった。
徐々に、徐々に、それはやがてベニスの体丸ごとを覆える程にまで至る。
「な、なぼだごべば⁉ ダンバァァアアア‼」
僕は一呼吸を置いてから、ゆっくりと小太陽――いや、太陽を放つ。
圧倒的な熱量が、周囲の空気を揺らしながら、ベニスへと向かって進んでいった。
ベニスが投げて来る瓦礫や棒きれは、全て太陽が飲み込んで溶かしていった。
「ぐ、ぐぞがああああ‼」
ベニスは体が大きくなりすぎており、そして、動きも決して機敏ではない。
これを避ける事は出来ない。
やがて着弾し、黒煙が上がる。
太陽はベニスを焼き、溶かし、そして完全に全てを飲み込んで行った。
「――っ⁉」
ずしん、と太陽が地につくと同時に僕は魔術の行使を停止した。
太陽が消える。
そして、後に残ったのは、丸く抉られた地面と……ベニスであった存在の灰だけであった。
僕は地に膝をつく。
自分自身の意識が朦朧としているのが分かる。
しかし、これで終わりなのではないのだと自分を奮い立たせた。
これから僕は自分自身の傷を癒し、そして、”神”も追わなければいけないのだ。
「……っ」
けれども、体は思うようには動いてくれない。
血を流しすぎたのかも知れない。
魔術を行使するには、体力も気力も、足りなくなり過ぎているようだ。
体が冷えて行くのが分かる。
意識を保つのも怪しくなり、僕はゆっくりと瞼を閉じた。
すると、暖かい誰かの手が僕の体に触れ、何かの水滴が頬に落ちて来る感触もあった。
「……わたしのジャンバが」
そこで僕の意識は途絶えた。
※※※※
「――っ⁉」
がばり、と僕は起き上がると、慌てて周囲を見た。
そこは見慣れた弐番寮の自室であった。
「……あ、起きた?」
ひょこり、と赤ずきんちゃんが、目の前に現れる。
「えっと……」
「……やっぱり少し心配になって、人混みはまだ慣れないけれど、それでもジャンバの様子を見にいったのよ。そしたら、倒れていて……。それで、ここまで連れて来たの」
ふんす、と赤ずきんちゃんが鼻で息をした。
「怪我も治したんだから」
言われて、僕は自分自身のお腹をさする。空いていた大穴はすっかり塞がっており、いつも通りの体であった。
「……ありがとう」
僕は赤ずきんちゃんに礼を言った。あのままだと、死んでいたかも知れない。自分で魔術を創る余裕など無かったからだ。
「別に。ただ、気をつけてね。……転生は何度も出来ないから。仮に死んだら、もう一度転生は無理」
「……もう一度転生は考えていないよ」
次にまた転生しよう、なんてことは僕は考えていない。
今の人生にそれなりに満足しているからだ。
だから、この人生で命が終わる時が来るのであれば、それがどのような形であれ僕は受け入れるつもりだ。
「……ところで、赤ずきんちゃん、僕はどれぐらいの間寝ていたの?」
「……三日くらい、かな」
「そっか……」
僕は俯いた。”神”を追うつもりをしていたけれど、それだけの日数が空いてしまっては、もう逃げられてしまっているだろう。
悔しいし……残念だ。
けれども、過ぎてしまった事はしようがない。
溜め息混じりに首を横に振る――と、急に、赤ずきんちゃんが僕に抱き着いてきた。
「……勝手に死んだら駄目よ」
良くみると、目の周りにクマが出来ていた。
どうやら、赤ずきんちゃんは最近までずっと泣いていたらしい。
「……大丈夫だよ」
「そう言うのなら、わたしを安心させて」
「僕病み上がりなんだけれど」
「……良いから、安心させて」
怪我を治してくれて、そのうえここまで泣いてくれて……そんな相手から強く望まれたら、僕も拒否することは出来ない。
だから、僕は、赤ずきんの腰を掴むとそのままベッドに引きずりこんだ。
安心させてあげないとね……。
赤ずきんちゃん『……ジャンバとの間に確かな愛の証明や証拠が欲しいな』




