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29/33

安心

一時間くらい更新遅れてしまいました。申し訳ありません。(´;ω;`)

でもまだ20時代だからギリ間に合ってますよね? 大丈夫ですよね?(´;ω;`)

 ベニスを消滅させる為に、小太陽か帯電のどちらかの魔術を使うべきか。


 これはそう難しい判断ではなく、小太陽以外にはありえないとの結論に、僕はすぐに至る。

 帯電は定めた範囲全てが塵になってしまうので、仮に逃げ遅れた人々がいたのなら、その人たちも丸ごと塵にしてしまうのだから使えない。


 小太陽を創る。

 ただ、今のベニスの体の大きさを考えると、このままでは小さすぎる。

 ゆえに僕は小太陽を更に大きくしていった。

 徐々に、徐々に、それはやがてベニスの体丸ごとを覆える程にまで至る。


な、なぼだごべば(なんだそれは)⁉ ダンバァァアアア(ジャンバァァァァ)‼」


 僕は一呼吸を置いてから、ゆっくりと小太陽――いや、太陽を放つ。

 圧倒的な熱量が、周囲の空気を揺らしながら、ベニスへと向かって進んでいった。

 ベニスが投げて来る瓦礫や棒きれは、全て太陽が飲み込んで溶かしていった。


「ぐ、ぐぞがああああ(くそがああああ)‼」


 ベニスは体が大きくなりすぎており、そして、動きも決して機敏ではない。

 これを避ける事は出来ない。


 やがて着弾し、黒煙が上がる。

 太陽はベニスを焼き、溶かし、そして完全に全てを飲み込んで行った。


「――っ⁉」


 ずしん、と太陽が地につくと同時に僕は魔術の行使を停止した。

 太陽が消える。

 そして、後に残ったのは、丸く抉られた地面と……ベニスであった存在の灰だけであった。


 僕は地に膝をつく。

 自分自身の意識が朦朧としているのが分かる。

 しかし、これで終わりなのではないのだと自分を奮い立たせた。

 これから僕は自分自身の傷を癒し、そして、”神”も追わなければいけないのだ。


「……っ」


 けれども、体は思うようには動いてくれない。

 血を流しすぎたのかも知れない。

 魔術を行使するには、体力も気力も、足りなくなり過ぎているようだ。


 体が冷えて行くのが分かる。

 意識を保つのも怪しくなり、僕はゆっくりと瞼を閉じた。

 すると、暖かい誰かの手が僕の体に触れ、何かの水滴が頬に落ちて来る感触もあった。


「……わたしのジャンバが」

 

 そこで僕の意識は途絶えた。



※※※※



「――っ⁉」


 がばり、と僕は起き上がると、慌てて周囲を見た。

 そこは見慣れた弐番寮の自室であった。


「……あ、起きた?」


 ひょこり、と赤ずきんちゃんが、目の前に現れる。


「えっと……」

「……やっぱり少し心配になって、人混みはまだ慣れないけれど、それでもジャンバの様子を見にいったのよ。そしたら、倒れていて……。それで、ここまで連れて来たの」


 ふんす、と赤ずきんちゃんが鼻で息をした。


「怪我も治したんだから」


 言われて、僕は自分自身のお腹をさする。空いていた大穴はすっかり塞がっており、いつも通りの体であった。


「……ありがとう」


 僕は赤ずきんちゃんに礼を言った。あのままだと、死んでいたかも知れない。自分で魔術を創る余裕など無かったからだ。


「別に。ただ、気をつけてね。……転生は何度も出来ないから。仮に死んだら、もう一度転生は無理」

「……もう一度転生は考えていないよ」


 次にまた転生しよう、なんてことは僕は考えていない。

 今の人生にそれなりに満足しているからだ。

 だから、この人生で命が終わる時が来るのであれば、それがどのような形であれ僕は受け入れるつもりだ。


「……ところで、赤ずきんちゃん、僕はどれぐらいの間寝ていたの?」

「……三日くらい、かな」

「そっか……」


 僕は俯いた。”神”を追うつもりをしていたけれど、それだけの日数が空いてしまっては、もう逃げられてしまっているだろう。

 悔しいし……残念だ。

 けれども、過ぎてしまった事はしようがない。

 溜め息混じりに首を横に振る――と、急に、赤ずきんちゃんが僕に抱き着いてきた。


「……勝手に死んだら駄目よ」


 良くみると、目の周りにクマが出来ていた。

 どうやら、赤ずきんちゃんは最近までずっと泣いていたらしい。


「……大丈夫だよ」

「そう言うのなら、わたしを安心させて」

「僕病み上がりなんだけれど」

「……良いから、安心させて」


 怪我を治してくれて、そのうえここまで泣いてくれて……そんな相手から強く望まれたら、僕も拒否することは出来ない。

 だから、僕は、赤ずきんの腰を掴むとそのままベッドに引きずりこんだ。

 安心させてあげないとね……。

赤ずきんちゃん『……ジャンバとの間に確かな愛の証明や証拠が欲しいな』

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