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彷徨逡巡
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山頂へと続く道は、静かに二つへ割れていた。
薄明の気配に濡れた立札は、下車した旅人だけにそっと行き先を示す。
左は、安らぎへと緩やかに降りてゆく安路。
右は、影と風を連れて険しく伸びる難路。
どちらを選んでも、辿り着く先は変わらぬ『安住の地』。
旅人は、立札を前に足を止める。
安路にて耳を澄ます者となるべきか――
難路にて物語を紡ぐ者となるべきか――
どちらも正しく、どちらも誤りではない。
ゆえに、選ぶことは重く静かに胸を揺らす。
旅猫の汽車は止まらない。
だから今は次の駅へと運ばれてゆく。
終着駅の訪れを胸の奥でそっと待ちながら。
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気にかけてくださり、本当にありがとうございます
※挿絵は Gemini Nano Banana Pro による生成画像です※




