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朝思暮想
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宇宙を走る汽車にはレールがない。
行き先を失った人を探しながら、星の闇をさまようように漂ってゆく。
終着駅を同じくする旅人を求めて――だからレールはいらない。
夜のホームに立つ女性の前を、汽車は影のように通り過ぎる。
音も光も残さず、ただ“誰か”の気配だけが、冷たい風となって頬を撫でてゆく。
彼女はひとり。
凍えた手のひらには、もう戻らない温もりの記憶だけが残っている。
呼びかける声は届かず、呼ぶ声に耳を澄ませても、返ってくるのは沈黙だけ。
汽車は止まらない。
彼女を知る者が降り立つこともない――それでも彼女は待つ。
二度と戻らぬ影の足音を、奇跡のようにもう一度だけ聞けると信じて。
横顔に宿る祈りは、触れれば崩れてしまいそうなほど脆く、それでも消えずに揺れ続けている。
その祈りが誰へ向けられたものなのか、旅猫にはわからない。
ただ、胸の奥がひどく痛んだ。
女性は今日も、想いを乗せた汽車が訪れるのを待ち続ける。
待つことだけが彼女の最後の灯火であるかのように。
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気にかけてくださり、本当にありがとうございます
※挿絵は Gemini Nano Banana Pro による生成画像です※




