突撃
「いけぇ!!」
「そこだぁ!!」
「がんばれぇ!!」
地上部隊の隊員たちが未確認機を応援している。本当にどこの部隊なのか、わからないが今重要なのはあのパイロットがとてつもなく凄腕だと言うことだ。
航空部隊隊長であるザビーダが、唖然としている。
あのような曲芸飛行は、肉体に相当なダメージを負わせているとのことだ。
つまり、あのパイロットは自分自身の命を顧みずに我々を救おうとしている。
真の帝国臣民である。
彼が平民だったとしても…どんな生まれだったとしても…どんな手を使ったとしても必ずわが公爵家に迎え入れよう。
そのためにもかれにここで死んでもらっては困る。
「ザビーダ少尉。」
「はっ!」
「あのパイロットがもし不時着した場合に備えて、救助部隊を編成しろ。医療スタッフも同行させて構わん。」
「承知致しました。」
「直ぐ動け。」
「失礼致します!」
彼が兵舎へと走っていくのを見送ると、儂は指示を出す。
「あの味方機が敵を翻弄している今こそ…攻撃の好機!これを逃せば、我々は敗北する!不撓不屈の精神で突撃を敢行する!…かかれ!」
儂の指示により、前線に留まっていた兵士達が猛勢を始めた。帝国陸軍が帝国の陸軍などに負けることはありえん。
敵航空部隊の援護がない敵など烏合の衆も同然よ。
「ん!?なんと…」
あのパイロットが敵隊長機を撃墜した…
味方機は近くの荒原に急降下している。
「エンジントラブルか…無事だといいが。」
ただ、この事実は兵達を鼓舞させることができる!儂は声を張り上げた…
「味方機が、敵航空戦力を撃滅したぞ!今こそ我ら帝国陸軍の本領を発揮するときぞ!軟弱な敵など踏み潰せ!!」
「「オォ!!」」
兵達はどんどんと突き進み、大門に取り付いたと思えば、すぐに突き破り、首都へと突き進んでいく。
これて戦争は終わる。長かったこの戦争も…