実力確認①
#日記:地球歴 残存記録 第193日
#場所:南部方面軍本部 航空軍専用区画 演習用シミュレーション機前
「ごめん兄さん。皆が連れてけってしつこくて。」
「実力の再確認ですか?」
「こやつらだけではないぞ?お前もだ、ザビーダ。腕が落ちてないか儂が見てやる」
「納得は致しますが、どうして父上と母上が?」
「そりゃ、エドワード伍長の実力確認をするために…」
「どうせ、それがメインでしょう?」
「せっかくの機会だ。今この場所には南部方面軍のパイロットの過半数の者がおる。ここで圧倒的な実力を見せれば今後の活動に生かせるだろう?」
「それ…母上の案ですよね?」
「何…!?」
「完全脳筋ダルマの父上がそんなこと考えるはずがありません。」
「そのとおりですよ。この人はさっきからエドワード君のことばかり。」
「流石は皇室直轄諜報部隊を率いていただけはある。」
「こんなこと、私でなくても子どもでもわかること…オホホ」
「皇室直轄…諜報…」
俺はその2つを延々と繰り返していた。
南部方面軍の航空部隊を統率する一家と、その一家の帰りを待つ国の諜報機関のトップを務めた女性。
俺…とんでもない人達に目をつけられたのかも…
「その話…儂も噛ませてもらおうかの?」
「「「総司令閣下!!!」」」
その場にいた全員が即座に敬礼をする。イルメシアス夫人だけオホホと笑ってる。もしかして…知り合い?
「南部方面軍の航空部隊の序列を決めるのであろう?とは言え、上の序列は殆ど変わらぬではないか?」
「ええ。恐らくは…。ですが父上とエドワード伍長の直接対決が見られるかと。」
「ゲラールの現役時代を知るものはもう多くないが、凄かったのだ。かつて帝国最強として帝国の不死鳥と呼ばれ、銀河に知り渡っておったほどよ。今でも陸軍の将官達はゲラールに恩を感じるものが後を絶たぬ。それで…エドワードは勝てるのか?」
「互いに旧式機体での対決を考えております。後は、才能が勝つのか経験が勝つのか…。これは、やってみなければ分かりません。」
「では、そこまでの消化試合を軽く見てから始めるとしようかの?」
「消化試合」が始まった。
最初の数組のパイロットたちがシミュレーション機に入り、旧式機体での模擬戦を開始した。画面には、機体が動き、攻撃し、回避する姿が映し出される。私はそれを見ながら、自分の心臓の鼓動を感じていた。
当然と言えば当然だけど、イルメシアス一家以外は、マニュアル操作に慣れず、戦闘どころかフラフラ飛んで、腕の良い相手に落とされていった。
ビクビクしている俺の前でザビーダ少尉とルーク先任曹長から怒号がとんているのを見て、俺は此処から逃げ出したい気分に陥っていた。




