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帝国新英雄物語  作者: 黒騎士
第一章 門出
31/51

実力差

「な…なんだよ。なんなんだよ!彼奴の機体の軌道…。人間業じゃねぇ!」


「シミュレーションだけ強いやつじゃなかったのかよ…」


ふん!口先ばかりのアホどもが吠えよるわ。お前達はエドワード伍長の爪の垢を煎じて毎日飲むが良い!!


こいつらのように実力が伴っていないくせに吠える奴らが大勢いるから南部方面軍では航空軍が下に見られるのだ。


「どうせ、機体性能がいいのさ!奴隷出身のくせに帝国軍士官学校を好成績で卒業した俺達に勝てるわけがないんだよ!」


「それもそうか!」


「それは違う。」


おっと…つい口出してしまったわい。


「何が違うっていうんですか?」


こやつらは以前から気に食わなかったからな。1度くらい挫折すりゃいい。


「伍長の機体は、お前達が使っている機体よりも何世代も前の機体だ。兵装はお前達と同様なものだが、機体制御は全てマニュアル。勿論、パイロット補助兼機体整備ドロイドも搭載できん。」


「え…それじゃあ」


「お前らもほんとは気づいておるじゃろ?あの動きは全て伍長が、独自で行っておる。天性の戦闘機乗りじゃな。」


「「「…」」」


ついに黙りおったわ。ここで言い返してくる気概でもあるならまだマシじゃったのがな。


「惨めなもんだな。お前ら。」


「ルーク中隊長…」


「お前たちの中で彼のシュミレーション映像を何度も見返して研究しようとした奴がいるか?彼がどうやってあのような軌道ができるのか、質問しようとしたものはいるか?」


「…」


「何を黙ってる?いるのか、いないのか!」


「…」


「酷いものじゃな。これが我が南部方面軍の航空部隊の現状なのじゃな?ルーク先任曹長、ザビーダ少尉。」


「「総司令閣下。失礼を…」」


「よいよい。先程、敵軍から降伏勧告に対して受諾すると申し出があった。既に護衛艦が奴等の逮捕に向かっておる。」


「左様でしたか。」


「それでは、何用でこちらに?」


「当然、帰投した後のエドワード伍長を労うためよ。儂もあのシュミレーション映像を何度も見返しておった。"赤い彗星"じゃったか?最初聞いたときは笑ってしまったが、今回の働きをみてしまうとな…」


「それでは…まさか。」


「南部方面軍総司令である…このエルドラド=アルカディア=ガルガンティアの名において、彼に"赤い彗星"の二つ名を名乗ることを認める!」

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