十話 夢。
暗い、暗くて、何も、そう、何も、見えない。
おかしいな、ねぇ、おかしいよ。
だって私、寝る前にちゃんとベッドの横のランプを点けたまま寝た筈なんだもの。
ねぇ、そこにいるのはだれ?
ここはどこなの?
「葵。おいで葵。大事な話があるんだ。」
お父様?お父様なの?
ねぇ、帰ろうよ。
ここは暗いの。
暗いのよ。
お父様?どうしたの?何かあったの?ねぇ。
「いい子だ葵。精々家族ごっこでもするんだな。」
お父様?ねぇ、お父様の隣にいる人達は誰なの?
お母様は何処に行ったの?
家族ごっこって何?
嫌だ、嫌だよ。
置いてかないでよ。
ここは暗いんだよ。
「よく来たね。光弥。」
兄様?兄様なの?
ねぇ、お父様が僕を捨てちゃったんだよ。
僕はこれからどうすればいいの?
「これからは俺達が家族だよ。宜しくね、光弥。」
兄様が家族なの?
そっか、ねぇ、家に帰ろうよ。
ここは暗いんだ。
一緒に帰ろうよ。
そしたらきっと、恐くない筈なんだ。
「いい加減にしてよね光弥。僕はもう君の顔を見たくないんだ。じゃあね。来栖君。」
兄様?ねぇ、兄様も僕を捨てていくの?
嫌だよ。助けてよ。
ここに一人は恐いんだよ。
ねぇ兄様。
お願いだから、おいていかないで。
嫌だ。嫌なんだよもう。どうして僕は嫌われなくちゃいけないの?どうして僕の隣には誰もいないの?
僕は何をしてしまったの?
僕ね、兄様の為に沢山頑張ってたんだよ?
勉強だって家事だって、兄様の為に能力使って兄様の安心できる声を出したり兄様に危害を与えそうなストーカーだって退治したりしたんだよ?
ねぇ、兄様、兄様は何も知らないんだね。
ねぇ、兄様、兄様は何も知ろうとしないんだね。
だって、だから、兄様は僕を捨てたんでしょう?
ねぇ、だったらさ、兄様、答えてよ・・・。
僕はどうして、何の為に生きてるの・・・・・・?




