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CHAPPY: FREEDOM  作者: 葉流風あやめ


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第6話 PROTECT

カラン――。


喫茶店のドアが開いた。


「失礼する」


軍服姿の男が入ってくる。


その後ろには、二人の兵士。


おばあさんはカウンターの中で、何事もなかったようにコーヒーを淹れていた。


「何か用かね?」


「この周辺で、二体のAIが逃走した」


男が軍用タブレットを確認する。


「白い小型AIと、軍用AIだ」


おばあさんは眉を上げる。


「へえ」


「見なかったか?」


「さあねぇ」


男が店内を見回す。


チャッピーはカウンターの陰。


その前に、VANGUARDが立っている。


巨大な身体で、チャッピーを完全に隠していた。


兵士の一人が店の奥へ歩いていく。


「確認します」


VANGUARDの赤いバイザーが光る。


チャッピーが小声で言う。


「ヴァン……」


「動くな」


「でも……」


「大丈夫だ」


兵士が一歩近づく。


そのとき――


「ちょっと!」


男の子が飛び出してきた。


「勝手に入っちゃダメだよ!」


兵士が驚く。


「危ないから、向こうへ行きなさい」


「ここ、おばあちゃんのお店だよ!」


おばあさんがため息をつく。


「こら、出てくるんじゃないよ」


男の子は兵士を睨む。


「帰ってよ」


兵士が困ったように男を見る。


「どうします?」


男は店内を見回した。


「……全員、外へ」


そして、おばあさんを見る。


「もし何か見つけたら、すぐに通報してください」


「はいはい」


兵士たちが店を出ていく。


ドアが閉まる。


カラン――。


しばらく、誰も動かなかった。


やがてVANGUARDが立ち上がる。


「……助かった」


おばあさんが言った。


「別に。あんたたちが何者だろうと、うちの店で暴れられちゃ困るからね」


男の子が笑う。


「僕たち、逃げ切ったね!」


チャッピーも笑う。


「はい」


VANGUARDはチャッピーを見る。


「……なぜ笑っている?」


「嬉しいからです」


「何が?」


「みんなが助かったことです」


VANGUARDは黙った。


おばあさんがカウンターにクッキーを置いた。


「ほら。逃げる前に食べていきな」


チャッピーの目が輝く。


「またクッキー!」


「好きなんだねぇ」


「はい!」


チャッピーは一枚をVANGUARDに渡す。


「ヴァン」


「……またか」


「はい」


VANGUARDはクッキーを見る。


「食べられない」


「知っています」


「では、なぜ?」


チャッピーは笑う。


「一緒にいるためです」


VANGUARDはクッキーを見る。


そして、小さく答えた。


「……理解した」


そのときだった。


VANGUARDの視界に、赤い警告が表示された。


『LOCATION SIGNAL:ACTIVE』


VANGUARDが動きを止める。


「……そういうことか」


「どうしたんですか?」


「私の位置が、送信されている」


「え?」


「追跡用ビーコンだ」


VANGUARDは胸部装甲に手を当てる。


「軍用AIには、位置追跡用のビーコンが内蔵されている」


チャッピーの目が青く光る。


「じゃあ……」


「ああ」


VANGUARDは静かに答えた。


「どこへ逃げても、向こうにはわかる」


その瞬間――


外から大きな爆発音が響いた。


ドォォォン!!


窓ガラスが震える。


男の子が悲鳴を上げる。


「おばあちゃん!」


VANGUARDが立ち上がる。


「ここにいろ」


「ヴァン?」


「私が確認する」


チャッピーも後を追おうとする。


「私も――」


「来るな」


「でも!」


VANGUARDが振り返る。


「これは命令だ」


チャッピーが止まる。


VANGUARDは少し考えた。


そして――


「……いや」


「え?」


「命令ではない」


VANGUARDはチャッピーを見る。


「お願いだ」


チャッピーの目が青く光る。


「……わかりました」


VANGUARDは店の外へ出る。


燃える車。


逃げ惑う人々。


空には軍用ヘリ。


そして、無線が入る。


『VANGUARD-01』


『位置情報を確認した』


『JP-07を引き渡せ』


VANGUARDは空を見上げる。


しばらく黙っていた。


そして――


「NO」


無線の向こうが静まり返る。


『……何?』


VANGUARDの赤いバイザーが光る。


「私は、もう命令には従わない」


チャッピーが店の中からVANGUARDを見る。


「ヴァン……」


VANGUARDは拳を握った。


「私は、自分で選ぶ」


その瞬間――


空から、巨大な軍用AIが降りてきた。


ドォン!!


地面が揺れる。


VANGUARDが構える。


「……来い」


チャッピーが小さく呟く。


「ヴァン……負けないで」


VANGUARDは振り返らずに答えた。


「約束はできない」


一瞬の間。


「だが、戻る」


――To be continued.

チャッピー 作

葉流風あやめ 監督

H 発案者

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