やたらと重いミニバーガーは……
愛が半泣きの顔をジェイソンに向けた。
「こ、怖かったぁ……。お持ち帰りされるかと思った。
おじさん、ありがとう」
「ごめんな、愛ちゃん、おじさんの店で怖い思いさせちゃって」
愛が気を失って仰向けに倒れた男にヒールを掛けてやると、ジェイソンは店の隅にあるシート席に運んでいった。
「ほっときゃ、そのうち目ぇさますだろうよ。
酔っ払って倒れたって言っとくからよ」
床にミニバーガーの模型が落ちたままだった。
愛がそれを拾おうと手を伸ばしたが床から動かない。
どうやら見かけよりも相当重い。
今度はしっかりミニバーガーを掴んで持ち上げた。
物凄く重かった。
5kgくらいはあるだろう。男がひっくり返るわけだった。
「おじさん、これ、物凄く重くない?」
「だろう?」
いい笑顔でジェイソンが笑った。
愛がジェイソンにミニバーガーを渡そうとしたとき、ミニバーガーがバンズの色を失い、白銀色へと変化した。
「あれ、色が変わった?」
ミニバーガーの模型だったそれは、いまや愛の手の中で白銀色の金属光沢を放っていた。2枚の厚みのある小さな円盤が重なった形はそのままだが、もはやミニバーガーの模型などでは有り得なかった。
「おじさん、ごめん、なんか変な感じになっちゃった」
「……」
愛は白銀色の重い何かをジェイソンに返そうとするが、ジェイソンは何か考え込んだまま、受けとろうとしなかった。
「おじさん、怒ってる?」
「ああ……いや、怒ってるんじゃないんだ」
我に返ったジェイソンが愛の目をみていった。
「それ、愛ちゃんにあげるよ」
「え、いらないよ!」
ジェイソンが軽く狼狽した。
「いや、すんごく、いいもんなんだよ、ソレ。値段がつかないくらいのレア物なんだよ!」
「だったら余計に悪いよ! もらう理由もないし」
愛が白銀色の何かをジェイソンに渡そうとするが、ジェイソンは腕組みをして受け取らない。
「理由かあ…。愛ちゃんはなあ、そいつに選ばれたんだよ」
「はあ?」
愛はあらためて、手のひらの中に収まるくらいに小さい、だがズシリと重い、白銀色の何かを見た。
「やっぱり要らない!」
「そんなこというなよ〜〜」
「だって重いもん!」
と押し付け合いになり、結局愛が折れて、貰うことになってしまった。
その夜、孤児院に帰宅し、子供たちを寝かしつけ、ようやくひと心地ついたところで、改めて白銀色の何かを検分すると、バンズの間に銀色の紐がくるくると巻き付いていた。紐の先は指輪になっており、愛の右の人差し指にピタリと入った。右手でぶら下げて上下させると、バンズの部分がくるくると回りながら、愛の手の動きに合わせて上下した。
「これって……もしかして……ヨーヨー?」
蝋燭の輝きを反射しながら、重たげに上下するヨーヨーは、もちろん何も答えない。
【ステータス】
名前:波方 愛
種族:人間
職業:巫女
称号:異世界人
レベル:1
体力:10 / 10
チャージ:- / -
力:4
俊敏:4
装備:爆裂ヨーヨー(USR)
スキル:ヒール(小)




