城下の飲み屋街 ②
シュエレント王国の中心部
首都エリルは昼夜問わず賑わいをみせる街
メインストリートから少し外れた飲み屋の一角に"俺達は"入った
カラン
扉の鈴が来客を知らせる
「いらっしゃいって、あらー暫くだね」
店の女将らしき風貌の女性がカウンターから明るく話しかけてきた
「ええ、お久しぶりです。リエンさん」
店の中はほぼ満席状態だったにも関わらず席を快く席を用意してくれた
「武闘会が開催されるせいか、近頃は騎士団の方々もあまりうちに来てくれないからみんな寂しがっていたんだよ」
「すいません、訓練や仕事で中々忙しくて
武闘会が終わって落ち着いたらまたみんなで来させてください」
「あたりまえじゃないか、ぜひ来ておくれよ。張り切って酒や料理も振る舞うさ」
女将はある程度話して仕事に戻った
そのやりとりをクロは不思議そうに見ていた
「随分、街の方々と親しいんですね」
「まぁ、たまに城下に降りて警護をする機会もあるし
ここの女将さんもその時に仲良くなったんだよ」
「へー、変装している今の格好で?そりゃまた不思議ですね」
あ、、、、
そうだ、城下に降りるのにシルスの姿では目立ってしまうため変装して来ていた
俺の失言に面白そうな目で見てくるクロは酒を一口飲んだ
「まぁ、いいですよ。イスラの旦那やカイル総長には黙っておきます。今日はしこたま訓練場で言われていましたしね」
「あ、、ありがとう」
心底ホッとした。あー心臓に悪い
「だがあなたは少々自覚した方がいい、周りがあなたに抱いている気持ちを」
「ああ、そうだな」
俺はキョトンとした
「なんすか?そんな顔して」
「いや、悪い。クロからは言われた事がなかったから
ちょっと驚いたんだ」
城の中では日常的な会話もするが
仕事柄かいまいち読めない性格のクロ
だからだろうな、、
「なんか嬉しいなと思って」
俺の言葉に今度はクロがキョトンとした
「、、、なにいってんですか、あんたは」
賑わう店の隅に乾杯の音が響いた
程なくして料理も運ばれ、俺たちはうまい飯を食いながら談笑していた
「そういえば今日総長の部屋にイスラさんと行ってたけど他国絡みで何かあったのか?」
クロはやや言葉を選びながら呟く
「まだ確証がないです、、、が2日後に開かれる武闘会に招かれる貴族の中に要注意人物がいます」
「要注意人物?」
「貴族商人のルーエン男爵、表向きは土地や貴金属をメインに商業を展開しています。だが裏は黒いようにみえる」
クロの言葉に声が低くなる
「というのは?」
「希少な獣の売買」
「希少な獣、、?」
「ええ、我がシュエレント王国では取引自体禁止されているユニコーンや精霊の類、ドラゴンなどですかね」
「ドラゴンも?」
「ええ、他国では希少価値が高くドラゴンの産卵期に密猟者が多くでる場合もあります。コレクター欲の高い貴族はどの国にも多く存在する。またあいつらはしつこい、厄介な存在だ」
「そうなのか」
「問題はここから
彼らは2日後の武闘会に合わせて来賓してきます。ただ目的は武闘会ではない」
「売買か」
「ええ、おそらく、ただどこで誰にというのは検討がつかない」
「確証もなければ捕まえる事も難しいか」
「現行犯でなければまぁ、無理でしょうね」
「現場か、、」
「、、、?どう「おや?これは奇遇ですね」」
クロの言葉を遮る声にびくりっと肩がなる
話に夢中で気配を読むのが遅れた
昼間聞いた声、振り返るとそこには黒龍騎士団のハイムとアスランが立っていた




