転生者
「なんで知ってんの?」
アキは鋭い視線で俺を射抜いた。
軽口でも皮肉でもなくただ純粋に核心を突く言葉。
「なんで知ってんのって…何が…?」
圧力に負けて声が細くなる。
喉が乾いて胸がざわつく。
「もう立てるだろ?立て」
冷たくも何故か感情が含んだような声でアキは命令する。
その言葉が俺の中で無限に反復する。
ベッドから降り立ち上がる。
それと同時にアキも立ち上がった。
「なんだよ」
俺は少なくとも感じている恐怖を隠すために言葉を出す。
「なあ…俺の次の質問には絶対に嘘をつかないで答えてくれないか?」
アキは俺の言葉を無視して強く言った。
無音の室内で声だけが届く。
「わかった」
多分アキ相手には嘘をついてもすぐバレると思う。
嘘をついて信用を損ねるくらいだったら正直に話すほうが得策だな。
「お前も……」
アキは軽く息を吸って、無駄のない声で続ける。
「転生者…何じゃないか?」
自身のルーツを出会って数十分未満で気づかれるとは全く思っていなかった。
脳内でそんな考えが大量に流れてきて俺は重要な違和感に全く気づかない。
そして俺は声を出した瞬間にその違和感に気づいた。
「うん、そうだ…よ…って!
《《お前も》》?まさか?!」
俺の言葉を聞いたと同時にアキの口角がニヤリと上がった。
「あぁ俺は地球の日本で生まれて東京で育った
つまり…転生者だ」
アキの言葉そしてその意味に俺は驚愕よりも先に喜びが体中を駆け抜けていた。
「お前…それ本当なのか?」
声が自然と荒くなる。
しかしそこに怒気は含んでいない。
心の奥がグッと熱くなる感覚があった。
「うん、証拠は俺の名前だ
【山本健司】苗字と下の名前そして漢字だ」
アキはふざけず真面目にそう言う。
煙に巻く雰囲気も無い声。
「東京の学校に行って帰りにコンビニ行って友達と駄弁ってゲーセンに行く。」
一つ一つがやけに具体的だった。
そしてあっちの情報をサラッと言う。
言い慣れた言い方だ。
こいつ陽キャじゃねぇか。
「あぁ本当だってわかったよありがとう」
心が震える。
転生して知らない土地に放り出されて
もう二度とあっちの人に会うことができないんじゃないかって
心のどこかで思っていた。
「会えて良かった…」
心の中の言葉が漏れる。
それと同時に目頭が熱くなり視界が滲む。
アキは俺を見て一言言った。
「……俺もだ」
短い言葉にアキの思考が内包されている。
俺とアキは抱擁した。
涙が溢れ出して止まらない。
それはアキも一緒だった。
二人して赤ちゃんみたいにわんわん泣く。
どれくらい泣いていたのかは分からない。
しばらくしてようやく落ち着いた俺たちは
ベッドに腰を下ろしていた。
アキがポツリと言う。
「……でこれからどうする?」




