街への進出2
「あぁ、今回の件は本当にありがとうございます
今お金無いんですけど…いつか返します!」
ベッドの上で思い切り頭を下げた。
もはや土下座どころか、ベッドに額を擦りつけん勢いだ。
もしこの後で“じゃあ腎臓売って返せ”とか言われたらどうしよう
そんな最悪の想像までしてしまう。
だが、返ってきたのは呆れ混じりの声だった。
「別に返さなくていいよ、まあ借りにはするけどね
それよりさ、体は大丈夫か?」
「体はうん…ちょっと痛むけどだいぶマシになったよ」
包帯を巻かれた腕や腹を見る。
ここまで丁寧に処置されるとは思わなかった。
ていうか、この治療費どうしようと胸がぎゅっとなる。
そんな俺の不安を見透かしたように、男は静かに言った。
「…金は俺が払っといたから安心しろ
俺はアキ・オスロー、よろしくな
あんた名前は?」
「ありがとう、名前か…」
俺は頭を抱える、こっちで名乗れる名前が無い。
佐藤俊介って一応名前はあるけどこっちじゃ浮きすぎるよな~
アキはそんな俺を見てため息をついて言った。
「あんたさ、もしかして名前無いの?」
「ッ……なんでわかるんだよ」
心の内を当てられ一瞬警戒してしまう。
「少し下を向いて深く考え込んだ
名が無いか名乗れないかのどっちかだ」
「そんな俺わかりやすい?」
「まあな」
アキはほんの一瞬遠くを見たような雰囲気を出したがすぐ戻った。
金も名前も無いなんて、普通は分からないはずなのに。
この男は、考えを覗き込むみたいに当ててくる。
生まれつきの勘とか、そういう軽い話じゃない気がした。
「名無しって多いのか?
まあ文化の違いか」
アキは軽く肩をすくめてため息をついた。
「傷だらけで名前が無くて、金も無いってどんな生活してたんだ?」
「うーん、ていうかマジでなんでそんなすぐ考えてることが分かるの?
生活か…うまく説明できないね」
まあ転生前のことを言っても理解できないだろうし。
アキはぼそりと呟く。
「俺が助けなかったら子然一身だったな、まあ俺も一人だけどな」
ベッドに腰掛けて独り言のように言った。
「なんか四字熟語みたいだね、日本の」
俺は無心で言ってしまった。
何いってんだ?みたいな反応が返ってくると思ってたが
一瞬空気が止まった。
しかしアキの表情が変わる、驚いた様子で一言呟いた。
その一言で俺は固まってしまった。
「なんで知ってんの?」




