怪我と街
それから数時間後、俺は目を覚ました。
「うん?え?あれ?何してたんだっけ」
なんだか色々吹っ飛んだ気がするんだけど。
「うーむ思い出せないなー」
思い出そうと頭をぶんぶんしていた時、頭に異様な痛みが走った。
一瞬顔をしかめて下を見ると俺の体も血だらけになっていた。
「なにこれ~!?ていうか痛い!痛痛痛!」
体の怪我に気づいた瞬間強烈な痛みが俺を襲った。
痛みでのたうち回る。
その結果草が傷口に押し当てられて余計に痛みが増す。
「いつつ…病院に行かないと…ていうか病院あるのか?
ていうかまだ街も見つかってないのに
このままいても何にもならないしどうしよう…」
しばらくして急ぎながらも歩いて街を探すことにした。
歩くたびに体がズキズキと痛む。
痛む体に鞭を打ちながらもただ歩く。
一歩歩くたびに涙が溢れそうになる。
「痛い…痛い…こちとらただの一般高校生だったんだ。
そんな急にこんな痛みに耐えれるわけないだろ…」
立ち止まれば軽く休まる、楽になる。
だが一度止まればもう動けないことを直感的に理解する。
持久走と似た感じだ。
街に着く確証もないし人に会えるかも分からない。
だけど”生きろ”と脳が全身に信号を出している。
「あぁ…ファンタジーなんだしポーションとかないのか?
というか本当に文明が見当たらないんだけど。」
空は広くて土地も果てしない、それなのに街どころか人の気配すらない。
激痛が走り続け痛みに慣れるかと思ったのに全くそんなことはなくて
軽い痙攣に吐き気までしてきた。
足がもつれ倒れそうになる。
どれだけ歩いたのか分からない、数分なのか数時間なのか。
気が付けば視界の遠くに人が映っていた。
「あ…人だ…やった…」
見つけたらテンションが上がると思っていたが、体がヤバすぎてそれどころじゃない。
だけどさっきより体は格段にやる気が出ている。
走れなかったはずが駆け出した、人に向かって。
「すみません…街無いですか?
それか何か集落でも……」
何も考えずに話しかけたため変な言い方になってしまう。
勢いよく走ったせいで息切れも合わさっていた。
その人は一瞬目を丸くした後、街の方向を指さして言った。
「あっちに【フィンブリア】って街がある!
っておい!そんな状態で走るな!介抱してやるから!!おい!」
男の助言を聞くと同時に俺は駆けだしていた。
制止も聞かず俺は無我夢中で走る。
希望が見えた、その希望が死にかけの俺に火を灯した。
そして石の壁と大きな扉が見えた。
(あった!街だ!)
出したはずの声はもうかすれて出ていない。
途端に力の抜ける体を起こしながら、俺はひたすら走った。




