目覚めた先で広がる未知の世界2
「……は?」
目の前に広がっていたのは見渡す限りの平原だった。
空も雲も風も草も……全部が鮮やかすぎて現実味がない。
けどきっと夢なはずだ…。
頬をつねると痛みが走り余計に混乱した。
これが夢じゃないと直感的に理解してしまう。
「な…なんだよこれ!? 俺、ベッドで……寝て……」
混乱で声が裏返り情けない叫びを漏らす。
心臓は暴れ馬みたいに跳ねて息が吸えない。
パニックに飲み込まれそうになりながらも必死に思考を繋ぎとめる。
(いや、落ち着け……!まず状況確認だ!)
そう自分に言い聞かせるが冷静になれるわけがない。
学校じゃない。
家でもない。
知らない大地。
一面の緑がまるで異世界ファンタジーの風景画みたいに広がっていた。
本能が告げた、ここは俺の知ってる“地球”じゃない。
「……っ、まず……水!水探そう……」
喉が渇いている訳ではない。
ただ何か現実的な行動をしないと頭がおかしくなりそうだった。
水を探すそれが拠り所になる気がしたから。
ひたすら走る、日照りが俺を刺してくる。
背後を振り返っても同じ景色。
ただただ平原が続く。
風が吹くたびに草が波のように揺れざわめきが耳にまとわりつく。
それは心を落ち着けるどころか逆に孤独感を煽った。
(あれ……俺、一人……?)
どれだけ走ったのか分からない。
太陽は高く影だけが付き従ってくる。
足は重く喉がギュッと締め付けられる感覚だった。
そのときだった。
きらめき。
遠くに水面らしき光が揺れて見えた。
「……水だ!」
俺は本気で駆け出した。
息が切れる。
でも止まれなかった。
小川にたどり着いた瞬間膝をついて両手で水をすくい上げる。
すくった水を勢いよく飲むたびに冷たい清涼が喉を潤していく。
その味や冷たさ、喉に通る感覚が少し心を落ち着かせてくれた。
「……っはぁ……はぁ……」
ほっとした、その時だった。
ふと、川面に“顔”が映った。
本来気にもしない普通の反射、だがその普通により息が止まった。
一瞬別の人の顔が反射したのかと思った。
「……え?」
そこに映っていたのは、見慣れた自分じゃなかった。
黒髪だったはずの髪は白く、以前の俺とは全く違う顔立ちをしていた。
「な、なに……これ……誰……?」
指先で髪を掴む。
それに連動して反射の俺も動く。
腕を見れば、前の俺と違う。
爪の形も変わって、手にあったホクロも消えていた。
「誰…俺か…?……本当に俺か?」
声が震える。
頭が真っ白になる。
「なんなんだよこれぇぇぇ!!!」
絶叫が平原に響き渡った。
けれど答える声は、どこにもなかった。




