第1章1話「目覚めた先で広がる未知の世界1」
学校終わりのチャイムが鳴り響いた。
解放されたように周りの生徒たちは一斉に伸びをしたり、あくびを漏らす。
俺も例外ではない。大きく背筋を伸ばし佐藤俊介は思わず豪快に声を漏らした。
「そんな疲れたのか?俊介」
隣の席の岡部隆が軽く笑いながら声をかけてくる。
岡部はこの高校に入ってから気の合う親友になった奴だ。
「だって今日は数学が二時間もあったんだぜ?そりゃ疲れるって。
あんたこそ、部活サボったりしてないよな?」
軽口を叩きながら、俺は帰り支度を始める。
「野球でサボったら顧問にぶっ殺されるわw」
岡部はそう言ってリュックを背負い「じゃ、また明日なー」と教室を後にした。
(俺も帰るか……)
そう心の中で呟き廊下へと足を向ける。
階段を降りる途中、楽しそうに笑う声が耳に入った。
視線を向けると、その中心にいたのは山本健司だった。
(あいつ、確か勉強もスポーツもできる万能型だったよな。ほんとすげぇや)
中学でバレーを少しやってただけの俺なんかとは大違いだ。
そんなことをぼんやり思いながら歩いていると気づけば家の前に着いていた。
リュックから鍵を取り出し玄関の扉を開ける。
「ただいまー」
声をかけるが返事はない。
父さんが入院してから母さんは父さんの分まで働くことが増えた。
有給も尽きて今は病気休職扱いになってるらしい。
二階の自分の部屋に戻りベッドに倒れ込む。
スマホを取り出しSNSをだらだらと眺め始めた暇つぶしには最高だ。
スワイプしていると、ある記事が目に飛び込んできた。
「瞬間消失事件……?なんだそれ」
興味を引かれタップして詳細を読む。
記事によるとここ最近男女問わず人が急に姿を消す事件が相次いでいるらしい。
ある人は遊んでいる最中に消えたり、別の人は目の前から急に消えたり。
都市伝説のように思えたが、アカウントは本物の公式ニュースだった。
「……まじかよ、こっわ…神隠しみたいなもんか?対策なんかできるわけねーし」
半信半疑でため息を吐きサイトを閉じ他のつぶやきを見る。
そうしているうちに眠気がじわじわと押し寄せてきた。
瞼が重くなりスマホを握ったまま意識が沈んでいく。
……目を開けると、一面の草原だった。
「……え?」




