自身の正体
それから数時間、俺は何度も寒さで目を覚ましていた。
「あぁ寒っ……ダメだ、寝れねぇ」
手先が感覚を失っていく。
冷たいというより針で内側から刺されているような痛みだった。
体は勝手に震えカタカタと歯が震える。
このまま寝続けたら本当に死ぬ。
そんな直感だけが妙に冴えていた。
「なぁ……アキ、起きてくれ」
隣で横になっているアキの肩を揺する。
少しあとにアキの体がピクッと動く。
「……んだよ、ゾイ…」
アキが身じろぎし、こちらを向いた瞬間、眉をひそめた。
「……寒っ?!」
「起こしてごめん…でもさ、流石に無理だ」
声が震えて、うまく力が入らない。
「まあそうだな…仮眠ぐらいはできたか?」
アキは一度、空を見上げてから小さく息を吐いた。
真っ暗な空をに星が光っている。
少しだけ間を置いて続ける。
「一回、街に戻ろう」
その一言で決まった。
――
街へ戻る道は来た時よりもやけに長く感じた。
夜明け前の街は静かで、ところどころに灯る明かりだけがやけに眩しい。
だが少し違和感を感じた。
深夜だと言うのに人が多すぎる。
一人二人ぐらいだと思ったのに見たところ数十人は居る。
通りに入った瞬間、空気が変わったのが分かった。
話し声が止まる。
視線が刺さる。
俺たちは特別汚れているわけでも、異様な格好をしているわけでもない。
それなのに、すれ違う人間の表情が一瞬で硬くなる。
「……なんかおかしくねぇか?」
アキは小声で呟いた。
「夜明け前に、若いのが二人」
背後から、ひそひそと声が漏れる。
別の声が重なる。
「……ラグナさんが言ってた情報と似てないか?」
「金髪の少年に白髪の少年」
その言葉に、空気が一段冷えた。
「なんかやばくない? なんか俺たち嫌われてる?」
俺はなんだか異様な雰囲気に耐えきれなくて声を漏らす。
そんな中アキはとある被害について話した
「最近な…魔人による被害が増えてんだって」
「魔人だって? そんなのが居るのか?」
アキと小声で会話をして居た時。
後ろから声が聞こえた。
「おい…この《《クソ魔人共》》が」
低くて威圧的な声が響いた。
振り返ると冷たい目をした、無愛想で刺々しい男が立っていた。
「お前らみたいな雑魚魔人がのうのうとやってきて…調子に乗るなよ?」
その一言に俺は疑問を浮かべた。
「なぁアキ…? 俺たちって魔人なのか?」
「しらばっくれんじゃねぇ!! この餓鬼共が!!
お前らがどんだけ誤魔化そうとしたって
魔人特有の魔力の性質がある限り誤魔化しきれねぇよ」
見たことも無い怒気が俺の体を震え上がらせる。




