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純白のギャンブラー~王都カジノの少女賭博録~  作者: レブラン
4章

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67話 宿命の再戦と、選定戦の終幕

「ついにフェル・ラグンダルト、あなたと勝負することができるのね」

「うん、あたしも楽しみにしてた。確かサーティーンズ・デス以来だっけ」

「そうね。あのあとの屈辱を飲み干して、あなたにどうやってこれまでの恨みを返そうかと日々思ってたの」

「ムエルニ……それだけあたし恨まれてたんだ……」

「ちょ……本気で信じないでよ! 嘘よ嘘。あなたには感謝しているのよ?」

「感謝?」

「ええ、私はこれまで他人は自分よりも下だと思っていたわけだし。だけど、あなたに負けた悔しさがあったのは本当。フェルあなたを認め、そして勝ちたい気持ちも出てきたのも本当」


 ムエルニは大きく息を吸い込むと、鋭い視線であたしに指をさした。


「とにかく、私はあなたに宣戦布告をします。このギャンブルであなたに勝って私は返り咲きますの!」

「あたしだって負けないよ!」


 シャッシャッと軽快な音を響かせながら、シャッフルするダリオさんがそこにいた。


「さて、話は済んだかな? これから最終決戦に入るけど、二人とも準備はいい?」

「うん!」

「始めて構いませんの」


 カードをシャッフルするとダリオさんは上から1枚ずつ、あたし達の前に配った。


「今回はちょっとやり方を変えさせてもらうよ」

「問題ないですの。まあユエルと違って私たちは正々堂々とするだけ」


 カードをひっくり返すと、ムエルニは♦K、あたしは♣9。

 ダリオさんはテーブルにカードを横一列に広げた。

 1枚1枚重ならずに綺麗に並べられたカードの列。


「この中から1枚ずつ引っ張って取り出してくれ」


 あたしとムエルニはそれぞれ1枚ずつカードを取り出し、手札を見た。

 ♥3、♥4、♥6、♠6、♣7、♠9、♣J、♦Q、♠K


 手札が悪すぎる。

 可能性があるとすれば♥関連の役かな。

 ストレートフラッシュにフルハウスまたはフラッシュにも対応できるかもしれない。

 可能性を考えれば♥2と♥5が来てくれたら一番いいんだけど……。


「フェル、あなた珍しく長考してるわね。そこまで考えるなんて良い手揃ってるのかしら?」

「ううん、そんなことはないよ。ただもしかしたらストレートフラッシュも可能かもしれないかなって」

「へ、へぇ~。私も同じよ。ストレートフラッシュならいけるかもしれないわね」

「そうなんだ。ならもしかしたらお互い揃うかもしれないね!」

「ええ……」


 そうだよね。次の引く枚数によってはそうなる可能性だってあるわけだし。この手札でも、まだ勝負は終わっていない。よし、引こう!

「ブブッ」ダリオさんは思わず吹き出し笑った。

 その様子に、ムエルニは顔を真っ赤にして怒鳴りつける。


「なに噴出してるんですの!?」

「いや、だってムエルニお前、煽って考えを鈍らせようとしていたのに逆に煽られて失敗してるじゃないか」

「う、うるさいですの! 早くカード引かせなさい!」

「へいへい……んで、フェルも交換するか?」


 あたしもコクりと頷いた。

 ダリオさんは交換権利を決めるため、山札の上から1枚ずつカードを配った。あたし達はそれを開く。

 ムエルニが♦A、あたしも♠A。エースは『1』として扱うため、互いに1枚の交換権利を得た。

 そして、そのたった1枚の交換カードを山札から引く。


「これって……」


 ムエルニは思わず声に出した。

 あたしも同じく声に出しそうになっていた。

 なにせ手札にはジョーカーが来たのだから。

 ♥5にしてもストレートフラッシュには届かず、他に組めるとしたら5にしてストレートしか選択肢がない。


「これしかないか」あたしはそう呟くと、♠Kを捨てた。

 ムエルニも決めた様子で、♥Qを捨てた。


「両者出揃い後戻りはできないぞ。札公開してもらうおうか――ショーダウン!」


 あたし:♥3、♥4、5(ジョーカー)、♥6、♠6、♣7、♠9、♣J、♦Q。

 ムエルニ:5(ジョーカー)、♥5、♠5、♦5、♠2、♣2、♦2、♣6、♥7、♦J。


「フェル・ラグンダルトは3から7のストレート。ムエルニの5のフォーカード、2のスリーカードで、選定戦の最終勝者はムエルニ!」


 ダリオさんの宣言が響くと同時に、ムエルニは椅子を勢いよく弾き飛ばした。両手を天に突き上げ、声にならない叫びを上げながら全身で歓喜を爆発させる。その姿は、これまでの屈辱すべてを吐き出したかのようだった。

 ふと、テーブルの上のカードを改めて見た。あたしが狙っていた♥ストレートフラッシュに必要なもう一枚のジョーカーや♥7も、ムエルニの手中に収まっていた。あのジョーカーを使っても、どの道ムエルニに勝つことはできなかったようだ。納得の敗北だった。

 あたしはそんな彼女に、心からの拍手を送った。


「おめでとうムエルニ。とっても楽しかった」

「私もよフェル! ありがとう!」


 こうしてセブンズミラーの幹部を決めるという、選定戦の長い戦いはムエルニの勝利と言う幕引きで終わった。



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