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純白のギャンブラー~王都カジノの少女賭博録~  作者: レブラン
4章

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66話 隠されたカードと、ムエルニvsユエル・タニア

「じゃあまずは互いに1枚ずつ山札の上から1枚ずつ引いてくれ」


 ムエルニは♥K、対するユエルは♥J。

 互いに10枚ずつ引いていく。


「あんたさっきからどうしたのよ」


 やっぱりムエルニも気づいてたんだ。

 それでもムエルニの発言を無視してユエルは真剣な表情を決め込む。


「無視ねぇ……まあいいわ。さっさと引くわよ」


 ムエルニとユエルは互いに1枚ずつ引いた。

 ムエルニ♦9、ユエル♣J。

 ムエルニは♣2、♥3、♥8、♠5、♥6、♦5、♣6、♥9、♠7を捨てた。

 ユエルは♦4、♥2、♠2、♦3、♠3、♠8、♦8、♦J、♥Q、♥Kを捨てた。


「あんた運悪いわね。強制じゃなければフルハウス以上揃えられたかもしれないのに」

「仕方がないですよ。これも時の運、これが今の自分の勝負手ですムエルニ」


 睨みつけるユエルに対して、受けて立つムエルニ。


「じゃあお互い大丈夫と言う事で手札公開だ。ショーダウン!」


 ユエル:♣9、♣10、♠J、♠Q、♠A、♥A、♣A、♥7、♦7、♠7のAと7のフルハウス。

 ムエルニ:♣4、♠4、♥4、4(ジョーカー)、♥A、♦A、♥10、♠10、♦K、♠Kの4フォーカード、Aと10とKのツーペア。


「この勝負ムエルニの勝利!」


 ダリオさんの宣言と同時にムエルニは立ち上がるとユエルに向かい歩いていく。

 ユエルは動かなかった。硬い表情のまま、台に広げられたカードを見つめている。よほどショックだったのか、それとも、掴みかけた希望を失った絶望か。

 ユエルが欲しがっていたのは、地位ではなく、その先に待つ報酬。

 あたしは知っていた。ユエルは兄妹を養うため、どんな金にも手を出す。

「幹部」という席は、彼女にとって家族の生活を安定させる最後の砦だったのだろう。

 今の状況でも、やっぱり生活は苦しいのかな。

 あの真剣さは、運命を懸けた、切実なものだったんだ。


「ちょっとユエル。あんた――」


 皆が注目する最中、ムエルニが口にする。

 労いの言葉をかけるのかな?


「やるじゃないの。あれだけ真剣にするからどんな手を打つのかと思ったら」


 そのままムエルニはユエルに対して手を差し出した。

 握手とかするのかな?

 二人とも健闘してたもんね。

 そんなあたしの妄想は即座に打ち砕かれた。


「だけど、不注意ね。こっちかしら、いえこっちね」


 ムエルニはユエルのポケットをまさぐった後ユエルの腕というか、腕全体を触った。

 その表情は気づいていたんだと言わんばかりの諦めた表情。

 抵抗する様子がなく、ムエルニはユエルの袖口に手を差し込むと、隠されていた1枚のカードを鮮やかに抜き取った。


「まあ単純なこと。2枚か3枚重ねて取ったあと、確認して不要なカードは中に入れていたって感じかしらね。即興ゲームだから仕方がないとはいえダリオ。あんた雑すぎ」

「作った後、即座に気づいていたんだけど。このまま正々堂々とやると予想して、まあいいかなって思ってた」

「まあ実際したのはミランとフェルと私ぐらいね。結局運が悪かったから、手持ちの数増やしてもあんなのしか作れなかったんでしょうね」


 ユエルは顔をあげ呟いた。


「確かに小細工したところで勝ててない時点でダメっすね」


 ユエル……卑怯な手をしてまでして勝ちたかったんだ……。

 ユエルは椅子から立ち上がると、ふらふらと歩いた。

 あたしはなにか言わないといけなかったのに思い浮かばなかった。


「さて、色々あったが選定戦の最終試合だ」

「フェル早く来なさい」


 今はユエルを心配よりもあたしは目の前を見なくちゃ。

 ここまでとても長かった気がする……。

 ムエルニとの最終局面、あの時の約束を果たす!


「最終試合、ムエルニvsフェル・ラグンダルトを開始します」



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