子役の父親 芸人の目指すもの
カイトが芸能界で活動するのは無理ではないかと雄一郎は考えた。
知り合いから教えられた動画、YouTubeのドラマを観て、感じたのだ。
それは驚きというより衝撃だ。
自分の息子と同い年だとは信じられなかった。
あまりにも違いすぎると思った。
それだけではない、気になるのは知り合いの言葉だ。
台本を読み、覚え、言われた通りに演技する。
使いやすいと言われたのだ。
演技がうまい、ヘタという意味ではない。
それをカイトに伝えたら?多分、反発するだろうと思った。
妻に伝えたら、どうなるか、目に見えている。
俳優の相川英二がのショートドラマの第二弾を撮影していた。
スマホの簡単なものではない、即売会に参加していた映像サークルに相川が直接、声をかけたのだ。
「俳優の相川二郎さん、ノーパソで流していた映像を見て声をかけてくれました」
「ドラマを作りたいと声をかけられたときは信じられなかったです」
「自分はフリー、事務所や契約は関係ない、声をかけたのは自分だと言われて驚きです」
動画サイトにUPされたショートドラマ。
現役の俳優、共演しの全盲の彼女と腕を組んで現れた。
「撮影料金の代わりに、皆でファミレスに行きました」
コメントを読んだ視聴者は驚いた。
「イベント後、他の役者さんもいたからです」
「芸人の矢吹さん、俳優の丸川さん、同人作家の東條愛理さん、あと名前は出せませんが……楽しかったです」
現役の俳優、芸人、明らかに一般人らしき同人作家。
事務所の注意されることを配慮して若い俳優は顔を隠している。
だが、相川、丸川、矢吹、映像サークル、同人作家、おもちゃのようなサングラスをかけている。
口元が緩んでいる、笑っているのだと分かる。
その写真にファンは驚いた。
【朗報】相川英二、イベント帰りに野外でショートドラマ撮って即UPwww【丸川・矢吹も参戦】
1 名無しのエンタメ好き
動画サイトに上がってる謎のショートドラマ見た奴おる?
説明文読んだんだけどマジで意味が分からんwww
相川英二が即売会会場の横でアマチュアサークル捕まえて撮らせたってマ?
1
まじっぽいぞ。
即売会のスペースでノーパソで作品流してたら、本物の相川英二がふらっと現れて「一緒にドラマ作りません?」って声かけてきたらしいwww
サークル側も「は???」ってなっただろこれ
3 名無しのエンタメ好き
しかも撮影ギャラが「ファミレス奢り」なの草
相川、全盲の彼女さんと腕組んでそのままファミレス行ったとか目撃情報上がってて和んだわ
4 名無しのエンタメ好き
集合写真見たけどカオスすぎるだろ
・相川英二(フリー俳優)
・丸川(フリー俳優)
・矢吹恒一(大手所属の売れてない芸人)
・東條愛理(同人作家)
・映像サークルの若手たち
全員でおもちゃのダサいサングラスかけて笑ってんの何なんだよwww
5 名無しのエンタメ好き
顔隠してる若手俳優もいるな。
さすがに大手事務所所属のやつは怒られるから配慮したんかww
矢吹は大手だけど「事前報告すれば好きにしていい」枠だからサングラスだけで参加してて草
6 名無しのエンタメ好き
相川「自分はフリーだし事務所も関係ない。責任は全部俺にある」
かっこよすぎるだろ……
でも、笑い話にしてるけど、既存の芸能界に対する皮肉でもあるよな。
深すぎる……だがサングラスはダサいwww
その日、矢吹は動画サークルの若者たちとマックで話をしていた。
「実はうちの事務所から提案があって」
提案?三人の若者たちは驚いた、今日、来れないメンバーはスマホ、タブレットでリモート参戦している。
「協力するって申し出ている」
メンバーの顔色が変わった、協力?ず区には意味がわからなかったのだう。
自分たちのような自主サークルに業界の事務所が資金などだすわ家がない。
「型落ちのカメラ、機材、撮影場所、金は出せないけど」
「本当ですか」
「事務所が、そんなことを本当に」
信じられないという顔だ。
「実は、お笑い、コントを動画でライブ配信にしたらどうかって意見がてでいるんです」
お笑いをライブ配信?予想もしない言葉に矢吹は驚いた。
矢吹は驚いた、その時だ。
「おい、なんだ、それは」
背後から声がかかる。
振り返った矢吹は驚いた。
上司の桐山だ。
「お前がマックで会うって言ってたからな。ライブ配信って、どういうことだ」
桐山は若者たちに声をかけた。
「芸人さん全員が生の舞台に立てるわけではないと思います。それに劇場、TVのスタジオにお客さんが入っている番組もあります。でも全員が入れるんですか」
桐山の顔か曇った。
芸人の生舞台、劇場のキャパは狭い。
「劇場が遠方で来れない人だっています。体が不自由な車椅子の人、それにお笑いの公演って舞台より回数が多いんじゃないですか」
「ライブ配信でなくても撮りためたやつを動画サイトで流す。料金は反応を見てから変えていく。舞台に出るって大
「あと、ライブ配信も、ただ普通に流すだけでは面白くないと思うんです。小道具や台詞をソフトで作る、合成してUPするのはどうでしょう」
意味が分からないと桐山の顔が曇った。
「芸人さんのやりとり、ツッコミ、ハンマー、たらいを頭に落とす、それをアニメで作る。台詞や叫び声にして動画にする。芸人が遠方の舞台に出る時、小道具とか、持って行く必要がなくなります」
「芸人のかつらとか、ありえないだろうって感じのやつです。実物では無理でも映像の中でならできます。海外でも実写とアニメの合作があるでしょう」
タブレットで青年がペンタブを取り出し、何かを描く、それが形になり画面の中で形になる。
「実物で作るって大変です、時間もかかります。『ありえないコント用のカツラ』や『巨大化する顔』みたいな表現も、映像の中ならCGやアニメーションでいくらでもリアルかつ面白く作れます。昔から海外の映画やドラマでも、実写の俳優とアニメーションキャラクターが共演する合作ってたくさんあったじゃないですか。あれをお笑いのコントでやるんです」
「実写と、アニメの合成……!?」
矢吹は目を丸くし、桐山も絶句した。
(舞台演出を物理的な『モノ』から『データ』に置き換える……? しかも、それがコメディとしての表現の幅を爆発的に広げる……?)
劇場の舞台という「物理的な空間の制約」だけでなく、小道具やセットという「物理的な物質の制約」すらもテクノロジーとアマチュアのアイデアで突破しようとしている。
「持ち運びのコストゼロで、表現は無限大……」
矢吹が呆然と呟く横で、桐山は目の前の若者たちが提示する案をじっと聞いていた。




