プロローグ
スミマセンスミマセン、乙女ゲームの知識皆無のクセに乙女ゲーム舞台にしてスミマセンスミマセン!
私が今生きているこの世界がとあるゲームの世界だと気づいたのは、この世界で‘‘2回目の’’高校1年生を迎えたときだった。
もう一度いおう、この世界で2回目の高校一年生になったときだった。
DQNやらキチガイだといってくれるな、私だって信じられないわ。信じられる信じられないじゃない、信じろ!なんてコトを前世の熱血教師が言っていた気がする。いや知らんけども。
下方ではキャラメル色をした髪の毛をツインテールにしている女の子が金髪イケメンに話しかけている。ちなみにここ、校舎裏である。盗み聞き?盗み見?知らないわそんなの、先にいたのは私だ文句あるか。ここでは私がルールだアッハッハ!・・・ごめんなさいちょっとした出来心なんですそんな冷たい目で見ないで!
「好き、なの・・・春本君」
話を戻そう。たった今告白されたサラサラな茶髪の少年・・・‘‘春本大河’’はニッコリと微笑み、こういった
「・・・そっか、そっか。やっぱりアミちゃんも俺の取りまきと同じだったんだね、残念だ。アミちゃんには悪いけどその気持ちには答えられないよ。でもアミちゃんは今までで一番の女友達だったからこれからも普通に友達として関わってくれると嬉しいな」
そう、この発言で分かるとは思うがかなりのナルシストである、この男。
葉っぱが鬱蒼と茂っていて下からでは気づかれないであろう木の枝に座り込む私は、小さな声で「game over」とつぶやいた。
あぁ、まただめだった。これで何回目だろうか?少なくとももう2桁後半はいっている気がする。よくうつ病にならなかったな自分、偉い。
さてと、遅くなったけど私のことを紹介しようと思う。私は元々この世界の住人ではなかった。はいそこ、はぁ?とか言わないの。これマジだから、本気と書いてマジと読んでるから。あれこれってマンガかなんかのネタだっけ?まあいいか。ともかく私は生前、普通にJK生活を謳歌していた。家庭科研究部員と言う名の幽霊部員になってバイトして某アニメグッズショップに行ったりゲーセンに行ったり某機械音の緑髪ツインテの歌姫のライブに行ったりとJKライフ及びオタライフを満喫していたのだが・・・はい、猫を助けてTHE ENDですね!まさか自分がこんな死に方するとは思わなかったね!マジ自分親不孝もの過ぎて悲しいね!
まあそんな感じなのだけれども、オタライフ謳歌途中でとあるゲームを見つけたわけで?それが乙女ゲームなわけで?はい、ここまで言えばわかるよね?せーのっ!
この世界がその乙女ゲームの世界だよチクショウ!
あのとき乙女ゲームを手にしてなければ未来は変わったのかもねー・・・っていうか私どっちかと言うと乙ゲーよりも音ゲー派なのよOK?
さっきから話それまくりだな自分。でも気にしない!その乙女ゲームは性格に若干の難がある5人のうち誰かをオトしてhappy endを迎えようZE☆っていうゲームなんだけど、これ本当クソゲーっていうか無理ゲー。今まで沢山のヒロインを見てきたけど誰も成功した試しがないから。で、ここまでで察しのいい人は大体理解してくれたと思う。私はこのゲームがある世界にいて、死んで、ゲームの世界に生まれ変わって、世界の流れに逆らっている。
グニャリ、と視界がゆがみ始めた。何回経験してもこの感覚だけは慣れない、無理、生理的に無理、気持ち悪い。頭を抑えながら小さく呻く。あぁ、またやり直しだ。いい加減にしてくれないかな・・・。
そしてまた、高校一年生の春が始まるのだ