第29話:格付け
・ポチ:犬神 ♂ レベル24 タイプ:獣・霊体・守護者
:烏丸 翔子の飼い犬。
世界改変の際に、魔物に転じた動物。
元より好奇心旺盛で人懐こい性格だったために、飼い主だった烏丸翔子の守護者になることを自主的に選んだ。テイムされているわけではない。
物理にも霊的にも高い攻撃力と防御力を持つ文字通りの守護者。
構ってくれる人が大好き。大人も子どもも男性も女性も初対面の人でも大丈夫。乱暴にワシワシなでるのも大丈夫。ただし、敵にかける情けは持たない。
闇属性/闇耐性10、光属性耐性8、物理半減、物理耐性8、状態異常無効、呪い反射、霊体斬り、霊体化、不死特効6、悪魔特効6、呪い攻撃6、咆哮4(麻痺、恐怖)、爪牙3、空歩3、浮遊。
ドロップ:ー
・タマ:猫又 ♀ レベル22 タイプ:獣・霊体・守護者
:烏丸 翔子の飼い猫。
世界改変の際に、魔物に転じた動物。
元より警戒心と責任感が強い性格だったために、飼い主だった烏丸翔子の守護者になることを自主的に選んだ。テイムされているわけではない。
状態異常攻撃や分身・影移動からの奇襲、幻覚を利用した妨害が得意な守護者。
人は好きだが、うるさい人や急に寄ってくる人は苦手。男より女の方が好き。子どもより大人の方が好き。でも泣いてる子どもはあやしてあげたい。
闇属性/闇耐性6、光属性耐性4、火属性耐性4、状態異常半減、呪い無効、霊体斬り、霊体化、呪い攻撃4、幻覚攻撃4、混乱攻撃4、麻痺の魔眼3、混乱の魔眼3、恐怖の魔眼3、奇襲3、分身3、身代わり2、影移動2、空歩2。
ドロップ:ー
強い! そして守護者って何!?
何気なくポチとタマを《鑑定》スキルで見てみると、相当に強い事が判明。
しかも、テイマーである烏丸さんにテイムされているわけではなく、自主的に守護しているとあって、烏丸さんはずっと良きご主人様だったということがよく分かる。
2匹に愛情をたっぷり注いで育ててきたから、おれみたいに動物に嫌がられる人間に対しても忌避感なく近寄ってきてくれるのだろうと思うと、烏丸さんの凄さが分かる気がする。
……気がするだけだけど。
「ポチさんとタマさんは、強いのですね」
「平坂先輩、なんでわんこに敬語なんです?」
「尊敬に値する相手に敬意を払っているんだぞ?」
鑑定スキルで知り得たことに打ち震え、ポチさんに敬意を持って声をかけると、なぜか三樹が首をかしげた。
あれ? なんか、伝わってない?
「動物好きなのに、動物からは嫌われやすいやつに自分から近寄ってきてくれるんだぞ。本人たちの性格もあるかもしれないが、人間はみんな優しくて構ってくれると知っているから、おれみたいなやつにも触らせてくれるって、ほんと、すごいことなんだぞ?」
「武先輩が動物好きだってことはよく分かりました」
佳奈美がクスクスと笑う。
烏丸さんはニコニコしている。
おれはポチさんを抱っこして力説している。
「じゃあ、烏丸翔子さんはここに受け入れるってことでいいですね」
三樹だけが冷静に、当初の話を持ち出した。
……あ、うん。そうだった。
表情からは見えづらいものの、烏丸さんは結構疲れがたまっていたようなので、部屋割りを決めたら一旦休むそうだ。
その護衛にタマさんが着くそうで、ポチさんは女子たちと一緒に拠点内の散歩をするそうだ。で、ポチさんが散歩したいということなので、烏丸さんは一通り回ってから休むことにするという。
同じというかなんというか、魔物同士のスノウウルフ一家やレイブンたちとは、出会った瞬間格付けが完了したようだ。
尻尾を丸めてお腹にくっつけているスノウウルフの夫婦にてくてく歩み寄り、ころんところがっておなかを見せたスノウウルフの上に乗っかって、顔をこすりつけていた。
あとはお尻のにおいを嗅いだら挨拶終了なようで、においを嗅がれたスノウウルフは体を起こしてポチさんから少し距離をとっていた。
レイブンたちはみんな逃げたがっていたが、ポチさん的に体の何処かを相手にこすりつけるにおいつけは必要なことなようで、ビクビクしているレイブンには悪いが我慢してもらうようスキルで伝えることになった。
意外といえば意外だが、スノウウルフの子どもたちは体格が近いポチさんとはすぐにうちとけたようで、一緒になって元気に走り回っていた。
で、タマさんはというと、またころがっておなかを見せているスノウウルフ夫婦を前足でふみっとふみつけていた。
舌なめずりするタマさんを見て、レイブンたちは全力で逃げ出した。
「たくさんいるね」
烏丸さんはスノウウルフがおなか見せながらガタガタ震え、レイブンたちが安全な場所を求めて四方に飛び立ちぶつかりそうになりながら飛び回るという、パニックを起こしかけている状況を見て、そんなことを言っていた。
のんきだなあ。
烏丸さんの訪問と拠点の案内が終わり、部屋へ休みにいったあと、E-フォンが震える。
どうやらメールが来たようで、内容を確認しようとしたところでもう一度E-フォンが震えた。
1件目は眷属の屍鬼から。魔物の掃討及び生存者の捜索と救助を行なっていた先で、名字が東の少年を発見・保護したという内容。
これは、家族関係等含み鑑定スキルで確認したから間違いないとこのと。
2件目は市役所避難所の沢村さんから。仕事の取引先への文章のように小難しいあいさつから始まっている堅苦しい文章ではあったものの、要するに昨日時点での避難者の名簿ができあがったので、届けるか、受け取りに来るかの返事がほしいとのこと。
今日これからの行動が決まった瞬間でもあった。
朝の時点では休みにしたものの、東舞さんの、舞の弟を保護したというのなら、最優先で確保しに行くべき。名簿はその後でいい。
メインとなる人たちを呼び出すために、今回は《要塞化》した拠点内設備を利用してみる。
『こちら、平坂武だ。戦闘は含まないものの、緊急で出動する要件が発生した。メインメンバーは昇降口に集合してほしい。これは強制ではない』
E-フォンを操作して、通話の要領で施設内全域に声を届ける設備。要するに、校内放送だ。
数分後、御剣一華さん、双葉さん、三樹の三姉妹、東舞さん、西園美麗さんの高校生組、思井佳奈美、田力瑠衣、相沢蘭、篠原歩の中学生生徒会メンバーと西園美鈴、佐藤鈴先生、ポンコツもとい乙骨優と先輩の弓削奈月さんの大人組、あとちょっと遅れて高校2年の原田裕子先輩が同行すると宣言した。
来たばかりの烏丸さんは休ませておくとして、同行はしないがとりあえず状況を知りたいと中学生組・高校生組合わせたほとんどの女子が駆けつけてきていた。
集まってくれた彼女らに、眷属の屍鬼が生存者を救出したから保護しに行くという点と、市役所避難所に避難している人たちの名簿ができたから受け取りに来る行くことなどを軽く説明。
特に、家族や知り合いなどが避難しているかもしれないので、安否確認ができるかもしれないこと。ただし、こんな状況だから期待はしないでと言い含めてから、車を運転できる眷属を召喚してアイテムボックスから3列シートの9人乗り車両を3台取り出す。
おれ含めて15人+運転手の屍鬼3人で18人という大所帯になった。
……いやまあ、みんなで行く必要はないんだけど、みんなが一緒に行くといって引かないので。
そうこうしてたら昼の時間になって、昼食担当が校内放送で『昼ごはん食べてから行ってください』と呼びかけられた。
なんだか締まらないけれど、腹が減っては戦はできぬの精神で、全員昼食食べてから行動開始ということになった。




