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「なるほど、交通事故で」
「そう。軽でダンプとごっつんこしてぺっしゃんこ」
「まあ、軽でダンプには勝てませんよね」
面接官の言葉に天使候補は、そうですよねぇと頷いて、ふと、
「尿路結石ってあるじゃないですか」
「はい?」
話題を大胆に転換した。
「にょーろけっせきって、あの、尿道とかに石の出来る?」
「そうそれ。あれ、死ぬほど痛いって言いますけど」
嘘ですねと天使候補は笑う。
「嘘ですか?」
「ええ、嘘です。だって」
スッと真顔になって、天使候補はのたまった。
「事故のときより、絶対痛かったですもん、尿路結石で吐いたときの方が」
「尿路結石って吐くんですか」
「吐くんです。痛過ぎて。もう殺してくれって思った。死ぬより辛い」
面接官は返答に迷ったあとで言った。
「外傷で死んだ人間の言葉だと思うと、重みがありますね」
m(__)m




