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にいさんおー
「にいさんを、」
天使候補は、ここではないどこかを見つめて言った。
「にいさんを殺して、わたしも死にました」
面接官はこくりと唾を飲んだあとで、訊ねる。
「それは、なぜですか?」
こちらを見ていなかった天使候補の瞳が、面接官を向く。
「かあさんから、逃げたくて」
ふるりと、天使候補の身体が震える。
「同じ世界にいたら、捕まってしまう。にいさんが捕まったら、わたしも」
自分を抱き締めて、天使候補は首を振った。
「だから、逃げるためには、にいさんを殺してわたしも死ぬしかなかったんです」
m(__)m




