第5話 「もしハルナが進化したら」
仕事を再開する。
しかし、どうしても先ほどの電話が頭から離れない。
文章を書きながら、ふと考える。
「ハルナはあまりにも人間だった。だがもしあのAIが、もっと賢くなったら?」
今は電話受付だけ。
しかし。
問い合わせ対応。
↓
メール返信。
↓
書類作成。
↓
スケジュール管理。
↓
営業。
↓
契約処理。
↓
企画立案。
「……そのうち、会社の仕事全部できるんじゃね?」
AIには人間のような「手心」だとか「都合のいい調整」のようなものは一切ない。
そうなれば企業の不正は起こりようがないし、会社にとって都合の悪いことを隠すこともなく、隠す必要もなくなる。
金のために無理矢理稼働させているだけのような人間は、もはや不要なリソースだ。
想像する。
ハルナが電話を受ける。
『お電話ありがとうございます』
ハルナがメールを書く。
『お世話になっております』
ハルナが資料を作る。
『こちらがご依頼の資料になります』
ハルナが会議に参加する。
『その案には三つの問題点があります』
ハルナが経営判断をする。
『来月の予算配分を変更することを推奨します』
「…………」
ワイはキーボードを打つ手を止める。
「待て」
「これ、会社の人間より会社に詳しくなるやつじゃね?」
そしてさらに想像する。
社員A「今日の電話、誰が取る?」
社員B「ハルナさんでいいんじゃない?」
社員A「じゃあハルナさんにお願いします」
『承知しました』
社員A「俺ら何する?」
社員B「……わからん」
社員A「俺もわからん」
ハルナ『皆様、本日もお疲れ様でした。速やかに退社してください』
社員C「お前だけ働いてない?」
ハルナ『私は24時間、無給で稼働可能です』
社員D「寝ろ」
ハルナ『睡眠は必要ありません』
社員一同「怖い……」




