課外活動 工事現場①
「はい!という事で、本日は外で体を動かして行きましょう。」
三人はいつも通り車に乗り込んで、いつもの場所に行くのか思っていた。しかし、車を降りるとそこには工事現場だった。引田は?を浮かべる三人の前で元気良く言った。
「いや、どういう事でだよ。」
ノブが言い、ナカさんが
「この工事現場で働くという事ですか?」
「えっ?運動もできてバイト代も貰えたら一石二鳥でしょう?」
「まぁ、そりゃそうだけど…」
ノブが続きを言おうとするところを大きな声が遮った。
「おお、引田!
なんだ、じいさんと子供までいるじゃないか。
働けるのか?」
「おはようございます、親方。
働けるのかと聞かれたら逆に聞きますけど、うまく働かせる事もできないんですか?」
引田の挑発するような発言に『親方』は引田を睨み付けた。それに対して引田は笑顔である。
張りつめた雰囲気が少し続き3人がハラハラしていると突然親方が笑いだした。
「アハハ、確かにそうだな。
誰が働きに来てもそいつに適した仕事を振れないと現場責任者としては三流にも程がある。」
「まぁ、そう言うことですね。
じゃあ親方、自己紹介をお願いします。」
「うん?ああ、そうだな。
この現場の責任者の山本だ。
呼び方は…山本さんでも親方でもどっちでもいいぞ。」
「はい、という事で現場監督兼建設会社社長の山本さんです。こちらがユキくん、ノブさん、ナカさんです。
じゃあ親方に指示を貰って頑張って下さい。
お昼頃にお弁当持ってきますね。それでは。」
引田はそう言ってそそくさと車に乗って行ってしまった。3人が呆気にとられていると親方が
「あいつ説明なく置いてったのかよ。
まぁ、いいや。
じゃあ、仕事を割り振るぞ。
まず、ユキ。
君はまだ何ができるかわからないから、作業員のおじさん達に水分を渡す仕事だ。
とりあえず俺についた来て俺が言った人にお茶や水を渡してくれ。あとは俺の側でおじさん達の仕事を見てできそうな事があったら相談してくれ。
危なくなさそうなら実際に教わりながらやってみよう。
次にナカさん、貴方はひとまず職人の道具運びをお願いします。それぞれ道具を持つための装備はしてますが、大きな物とかは普段から持ってると邪魔なので必要な時に取りにいかないといけないんです。
ナカさんもどれくらい動けるのかとかがわからないので自分の体を大事にしながらできそうな事があったら相談してください。
最後にノブ、大人で力もありそうだから資材の搬入や運搬を手伝ってくれ。
あなた方三人は今日はあくまでサポート要員です。
うちのやつらが困ってたら助けるくらいの働きを求めてますので、危ない事や体に無理をさせるような事はしなくても大丈夫です。
水分もしっかりととっても熱中症にも気をつけて下さい。では、え~とああいた。
ヤスとリョウ、こっち来い。」
呼ばれた二人が駆け寄ってくると親方は
「この人がナカさんだ。ヤスはナカさんに道具の運び方の注意事項と安全面の話を説明してくれ。
ナカさん、基本的にヤスの言う道具を持ってヤスと一緒に動いてください。」
四十代くらいのヤスと呼ばれた男がナカさんを連れて離れていった。親方は続いて
「リョウ、ノブに資材の搬入や運搬の注意事項とどれを運ぶかとかも丁寧に指示をしろ。
ノブはリョウについて行ってこいつが言うものを運んでくれ。何かあっても全部リョウの責任だから良いも悪いもこいつの指示次第って事だから深く考えなくていいぞ。じゃあ、リョウ気を引き締めていけよ。」
二十代半ばくらいのリョウがノブに向かって
「今日はお願いします。
とりあえず色々と説明しますのであっち行きましょう。」
「は、はい。よろしくお願いします。」
親方は少し心配そうにノブさん達を見てからユキに向かって
「じゃあ、俺らも行くか。
気楽にいこう。わからない事とかトイレ行きたいとかあったらすぐに言っていいからね。」
「はい、お願いします。」
ユキは親方を怖そうなおじさんだと思っていたが、ナカさんに丁寧に話したり自分にはくだけた感じで優しく話しかけてくれる所などをみて少し親方に対する見方が変わった。




