ナカの選択肢
「皆さんおはようございます。
それでは今日はナカさんについての宿題を発表して貰います。順番はノブさん、ユキくん最後にナカさんで行きましょうか。」
引田は挨拶を済ませて今日の流れを説明した。
「じゃあ俺からだな。
宿題は『ナカさんはどうすれば良かったのか』だ。
正直に言うと結婚もしてないし恋愛とかもあんまりしてないから夫婦の問題に対して俺が偉そうに言える事は何もない。
その上で考えたのがナカさんは結局のとこどうしようもないって事だ。
ナカさんは家族が幸せになるには夫が一生懸命に働いてお金を稼がないといけないと子供の頃から教わってた。
その通りに生きたのに時代が変わったとか共働きが増えたから父親も子育てしろとかに急に言われても無理だと思う。
だから、何かしないといけなかったのはナカさんじゃなくて奥さんだったんじゃないかと思う。
確かに古い考えのままで生きてたナカさんが悪くなかったなんて事はないけど、一番そばで考えを変えるチャンスがあったのも奥さんじゃないかと思う。
離婚の選択をした奥さんが何をどう考えていたのかはわからないし、耐えられない何かがあったのだとしたらナカさんにはどうしようもなかったように俺は思った。」
「なるほど、ノブさんは奥さんの気持ち次第だったからナカさんは何もできないとそういうことですね。
まぁ、ナカさんご本人が離婚されるほどの理由を理解できてないなら奥さんの側の理由を考えるしかありませんもんね。
では、ユキくんどうぞ。」
「あの…僕は……」
ユキが言いよどんだ。引田が
「難しいですよね。
でも正解のある話ではありませんから何でも言ってみて下さい。」
「……はい。
僕はそもそもナカさんが離婚をしなければ良かったのではないかと思いました。
ナカさんの話では急に離婚を切り出されて少し理由を聞いたらすぐに離婚したみたいに聞こえました。
ナカさんは離婚したくないと奥さんに言いましたか?」
「えっ!?そういわれると理由を聞いて諦めてしまったかもしれません。」
ナカが答えた。ユキが
「もしかしたら奥さんも本気ではなかったのではないかと思うんです。ナカさんが定年後にどう過ごしたいのかとかを聞き出したかっただけだったのかもしれないし、反対されたら諦めようと思ってたかもしれない。
ナカさんは離婚に反対するべきだったのではないかと僕は思います。」
「なるほどね。
ノブさんもユキくんも悪くないですね。
奥さんが絶対に離婚すると決めてたならもう何をしても意味がなかったととらえたノブさん。
離婚する事自体を止められたのではないかと考えたユキくん。
奥さんがどう思っていたのかは私も知りませんが、奥さんの気持ちを尊重して何もしない事にしたノブさんも離婚に対して反対して関係の改善を図るべきだったと考えるユキくんも良いですね。
それではナカさん、あなたはどう思いましたか?」
引田がナカに向き直って聞いた。




