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冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
幻教操国編

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第98話 悪魔と猛将

王都のとある酒場——


ロフは一人酒を飲んでいた。


チュウエイから出陣命令が出ていて、その予定は明日だった。


しかし、気が乗らなかった。


まわりの声が聞こえた。


「王家はいったい何をやっているんだ!」


「あんな子供が王で、王女だってまだ若い。やつらに何ができる!」


「そうだな、オレが王様をやったほうがましだろう!」


「いえてるいえてる。」


「あの王女も、きれいな顔してるだけだろ。」

「王宮にいるより、この店で酒でも運ばせたほうが役に立つんじゃねえか。」

「違いねえ!」


「ハハハハ!」


朱雀竜による虐殺。


その怒りと悲しみ、そして嘲笑は自然と王家にも向けられていた。


「おい。」


ロフは男たちに近づく。


「なんだ、お前?」


通常であれば、2メートルの巨漢のロフに男たちはおじけづくところだが、酒が入っているため気がつかない。


「貴様ごときに、あいつの何がわかる。」


ロフは男をにらみつける。


「なんだとお前、やるのか!?」


「貴様ごときに殿下の何がわかると聞いている!」


ロフは男を一喝し、平手打ちを食らわせる。


酔っていても、一応手加減はしていた。


それでも男は木の葉のように吹き飛んだ。


「ひいいい。」


「すいません、すいませんでした!」


男たちは仲間を助け起こし、ロフに頭を下げながら逃げていく。


「フン。」


ロフは面白くもなさそうにカウンターに戻った。



「失礼。ロフ将軍ではありませんか?」


声をかけられた方に目をやると、一人の老紳士が立っていた。


「シシ殿。」


それはアマンにチュウエイ暗殺を依頼したシシだった。


「今の件、失礼ながら横から見ておりました。私も先ほどの連中の不敬をどう注意したものか考えていたところ、将軍が制裁をしてくださって、胸がすっとした気分です。」


「フン。ただ少しイラっとしただけだ。王家などどうでもいい。」


ロフはシシの顔も見ずに言った。


「明日、出陣と聞きましたが、しかも新たな悪魔が同行するとか。」


「ああ、ならば悪魔に戦わせておけばいいのだ。」


ロフは不機嫌そうに酒を飲んだ。


「しかし、例の朱雀竜の件は王女殿下も心を痛めておいでのようです。」


その言葉にロフが少しピクリと反応する。


その反応をシシは見逃さなかった。


「なんでも、うわさでは、その報を初めて聞かれたとき、取り乱され、責任のあまり王宮から飛び降りそうになられたとか。」


心をいためたのは本当だが、飛び降りそうにあったというのはシシの創作だった。


「ばかな。あれはチュウエイのせいだ。殿下には何の非もない。」


そうとは知らずロフは動揺し、失言をした。


「チュウエイのせい。」シシはその言葉を聞き逃さなかった。


(ロフとチュウエイが不仲というのは本当らしいな。)


シシは内心ほくそ笑む。


「ところで、最近、霊教は新たな悪魔召喚を研究しているというのはご存じですか。」


「ああ、聞いた。今回の悪魔、徐姫とかいうやつも、契約は今回限りの金で雇ったとか。悪魔も金がほしいのかと思わず笑ったわ。」


そういってロフは苦笑する。


「悪魔の自由というのも恐ろしくはありますな。」


「ああ、だが、それはオレの知ったことではない。」


(この男は民の味方というわけではない。だが。)


「将軍、悪魔召喚にこんな恐ろしい噂をご存じでしょうか。」


「なんだ?」


シシの真剣な声に、ロフはほんの少しだけ興味を持った。


「なんでも、古には王族や貴族のような身分の高い者を生贄にすることで、より強力な悪魔を召喚したとか。」


「なに?」


ロフがシシのほうを見る。


「跡取り問題を解決するためにわざと、王子や王女を生贄にし、悪魔を召喚したという話も耳にしました。」


「そんなものあくまで噂話だろう。」


そういいながらも、ロフはチュウエイならやりかねないと思った。


チュウエイが何度も仲間を切り捨てた光景が頭をよぎる。


あの究姫すらも殺したとチュウエイが嬉しそうに酒を飲みながら話しているところを見たとき、さすがのロフも戦慄した。


(あの究姫は悪いやつではなかった。)


ロフは究姫のことを気に入っていた。


邪神ではあったが、憎めないところがあった。神らしく人を導き、チャンスを与えた。


言ってしまえば今の自分たちがあるのも究姫のおかげだ。


貧しい冒険者だったころ、究姫はよく一緒に酒を飲んだ。

神のくせに、地べたに座って笑った。

野宿にも文句を言わなかった。


(究姫……)


ロフは究姫の笑みを思い出した。


まさか、その究姫を殺すなどとは夢にも思わなかった。


自分がいる限りチュウエイも不死身なため自分が殺されることはない。


だが——キョウを悪魔の生贄にすることは、ありうるように思えた。


「おやおや、将軍、明日は出陣ですよ。こんなところにいていいのか?」


一人の女がロフに話しかけてきた。


黒く美しい髪を束ね、赤い瞳をしていた。


どこかの店の女か娼婦かとも思ったが、覚えがなかった。


「なんだ、ロフ将軍、おぬし、相方の顔も知らぬのか。妾が徐姫よ。おはつにお目にかかる。」


「なに?」


「あ、悪魔!?」


ロフは女の意外な正体に驚き、シシは思わず恐怖に顔を引きつらせる。


「それで、悪魔が何をしに来たんだ。」


ロフは徐姫に真意を聞く。


「なにって?お主は妾の上官だろう?一つは上官たるお主への挨拶。せっかく肉を得たのだ。酒も楽しまねば損であろう? 」


そういって徐姫は上機嫌で酒を飲む。


「なるほどな。ところで、お前はあの華姫と同じく究姫の眷属だろう?あいつを殺したチュウエイが憎くないのか?」


ロフは酒の勢いもあり、気になる核心を聞いた。


「あの方の心配など妾ごときが恐れ多い。華姫は青竜様に立てついたんだから消えて当然だろう。」


徐姫はそういいながら、ロフの隣に座る。


「将軍、悪いとは思ったが、さきほどから少し観察させてもらったよ。一応妾の上官になる人間だからね。人間にしてはなかなかいい男じゃないか。明日からよろしく頼むぞ。」


そういって徐姫はグラスをキンと鳴らした。


そのしぐさに、ロフはふと昔を思い出した。


究姫も同じようなことをした。


「ああ。」


ロフは無意識で徐姫に挨拶を返していた。


「では、将軍、私はこれで。ご武運をお祈り申し上げます。」


そういうとシシは席を立った。


「うむ。オレはこの徐姫ともう少し飲んでいこう。」


「やっぱりなかなか話せるじゃないか。じゃあ、妾がここ数日でみたこの都の面白い話を聞いてもらおうか。」


徐姫はそういうと楽しそうに、都で見た演劇などの話をし始めた。


ロフはその時間を悪くないと思った。


不快な気分を忘れさせてくれた新たな部下に、ロフは小さく感謝した。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


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