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冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
幻教操国編

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第94話 アカとクロ

ハオと暁喬、コウキと宵喬の電撃的な婚約発表は、民も配下も等しく衝撃を与えた。


「はあ?魔物と結婚?」


「頭がおかしいんじゃねえか?」


「オーガの姫だってよ、どんなゴリラみたいなやつか見てやろうぜ!」


罵声は、最初だけだった。


ハオと暁喬の美少女二人が手をつないで歩いているのをみると、民の声は180度かわった。


「尊い……」


「ハオ様、女性がお好きだったんだ。じゃあ、側室のチャンスはまだあるかも」


「あれがオーガの姫だって?天使の間違いでは?」


みな手のひらを返して祝福した。


コウキと宵喬の美男美女のカップルも、ぎこちなくもお互いを尊重する姿が共感を呼んだ。


配下の兵たちも、周鬼をはじめとするオーガの戦士たちの強さを目の当たりにして、敬意こそあれ、反感を持つものはいなかった。


「これからは、性別や種族を気にしてたらだめかもしれねえな。」


「オレもエルフのあの子に告白してみるぜ。」


そんな声まで聞こえるようになった。


そんなときだった。


中央より10万もの兵がコウロ討伐に向かっている。


祝福の空気を叩き潰すような報が入った。



ハオ軍、軍議——


ハオの家臣の他、暁喬、宵喬、それに周鬼も魔物チームの代表として軍議に加わっていた。


「まずはコウロ殿に救援を求めましょう!」


イフが切り出した。


「いや、コウロ殿はむしろこちらを攻撃してくるかもしれん。」


「しかし、10万だぞ。どうにもならん。」


そんな声が飛び交う。


「とりあえず、出陣するか。」


「却下です。」


ハオが例によって脳筋案を出すが、魔物チームも含めて全会一致で即座に却下された。


「ハオ。」


心配そうに暁喬がハオの横顔を見つめる。


「大丈夫だよ。何とかなる。私たちが勝つ!」


ハオは心配させまいと答える。


しかし実のところ、ハオにはこれほどの大軍をどうにかする策がなかった。


「一つだけ策がある。というか、これしかないと思う。」


コウキが声をあげた。


「どんな策だ?」


イフが眉間にしわを寄せて確認する。


「すでに手を打ってある。時間もなく反対される可能性もあったので、事後報告になるが。」


「なんだ、それは?」


群臣たちがコウキに注目する。


「神の力を利用する。」


「神の力だと?」


皆、真意を測りかねてコウキの顔を見つめた。


沈黙が、会議室を支配した。



歓楽都市オアシス——


そこで、こんな噂が流れ始めた。


官軍が10万、南方に向かっているが、それはおとりでこのオアシスに攻めるつもりだと。


それはウルファーの耳にも届いていた。


ギャングの幹部会。


「ウルファーさん、最近こんな噂があるのですが、聞かれていますか?官軍がここに攻めてくるとか。」


ギャングたちといえども10万の兵相手ではどうしようもない。


みな顔色を変えて、幹事のウルファーの表情をうかがっていた。


ウルファーの横には狼が黙って座っている。


この狼こそウルファーの供、フェンリルのフェンリスであることは、ごく一部のものしか知らなかった。


「噂が広まるのが早すぎるな。」


ウルファーはぽつりと答えた。


「どういうことで?」


ギャングの一人が真意を測りかねて問う。


「王都から軍が出たのは確かなようだ。だが、私ですら裏をとったことを、誰がこのオアシスで前もって知っていたんだ。そしてなぜ、すでにここに伝わっているんだ。」


「そ、そういえば……」


ギャングたちは顔を見合わせる。


「誰かが意図的に流したということだ。おそらくはそれで得をする連中なんだろうが——神を利用しようとした報いは、誰が受けることになるのかな。」


ウルファーはフェンリスのほうを見てつぶやく。


フェンリスはオレに聞くな、とでもいうように、犬のフリを続けた。



とある娼館。


黒い髪の女が二人の娼婦を両手に抱いていた。


「クロ、聞いた?ここに官軍が攻めてくるって噂。」


「へー、そうなんだ。」


クロは興味なさそうに答える。


「ちょっと真面目な話よ。だから私たちもいったんここを離れようと思って。」


女たちは自分たちが話している相手がこの世の最強、四神の一柱、玄武竜クロであることなど知らない。


上半身が女性、下半身が男、さらに喧嘩がめっぽう強い用心棒の娼館に居候する遊び人程度にしか思っていない。


「だから、寂しいけど当分会えなくなる。私もこれから町を出るんだ。あんたも逃げなよ。」


女の一人が服を着ながら言う。


「あー、それは困るね。」


クロもそういってシャツを着る。


「クロ、ブラもつけなくて、その胸うらやましいよ。」


女がクロの胸を見ながら言う。


「豊胸はしてないよ。自前だよ自前。」


そう笑ってクロは自分の胸をもむ。


「でも、出発はちょっと待ったほうがいい。その問題はすぐに解決するから。」


そういいながらクロはジーンズとシャツだけ着て、ちょっとそこまで飲み物買ってくる、というそぶりで部屋を出た。


娼館を出るなり、クロは空高く舞い上がった。


不思議なことに、誰もそれに気がつくことができなかった。



クロは音速をはるかに超える速度で上空を移動した。


(なるほど、あれか。)


視界の先に10万の官軍の行列をとらえる。


地平線が、軍だった。


そして上空に、よく知った顔を見つける。


(アカ子。)


赤みがかった髪の美女、スカーレットが同じく空中に浮かんでいた。


奇妙なことに、メイドのコスプレをしていた。


「あら、クロ。考えることは同じね。」


「アカ子、なんだよ、その格好。コスプレだろ。」


クロはスカーレットの格好を見て笑う。


「今、メイド喫茶のバイトをしててね。休憩時間なのよ。すぐ終わらせて帰らないと、遅刻したら店長に怒られる。」


スカーレットはこれから大量虐殺をするものとは思えないのんきさで答える。


「じゃあ、とっとと終わらせましょ。」


そういうとスカーレットは霊力を込めようとする。


「まったまった!こういうのは一応、降伏勧告をしないと。」


クロはスカーレットに待ったをかける。


「そう言われても、どこに責任者がいるのかわからないんだけど。」


スカーレットは軍全体を見渡す。


「とりあえず聞いてみればいいんじゃない。」


そういうとクロは行軍の中に降りていった。


「めんどうくさいなあ。」


スカーレットはそういいながらクロの後についていった。



コウロ討伐軍の将の一人、オーホとその家来たちは目を疑っていた。


突如、上空から二人の女が降りてきて、今も自分たちの頭上に浮かんでいる。


一人は黒髪のシャツにジーンズという部屋着のような格好、もう一人は赤みがかった髪にメイドの格好をしていた。


(この軍には何重にも魔力感知がはられ、魔力結界も張られているのに、なぜ、こいつらはなんの反応もなく近づき、宙に浮いているのだ。)


その異様な光景に、攻撃命令も出せず、思わず固まる。


「一つ聞きたいんだけど、あんたがこの軍の責任者?」


メイド姿の女が話しかけた。


「お前たちこそ何者だ!コウロ一派のものか!」


将軍の声に弓兵たちが攻撃態勢に入り、魔術師たちが杖を構える。


「端的に言うけど、私は朱雀竜といって、こっちは玄武竜とよばれている。これだけ言えばわかるでしょ。今すぐ兵を返すなら今回は見逃してあげる。聞かないなら、全員死ぬことになるけど。」


「玄武竜に朱雀竜!?」


兵たちに衝撃が走る。


「フハハハハハ!」


オーホが笑う。


「貴様らがそうか!とんで火に入る夏の虫だ!何をしているお前たち、攻撃せよ!」


魔術師たちが杖や指輪に魔力を込め、魔法を唱える。


しかし、魔法は発動すらしなかった。


弓兵が弓を放つと、矢は空中でピタリと止まり、垂直に落ちた。


「ほらね、話しても無駄だったでしょ。」


スカーレットはそういうと左手に魔力を集めた。


それが、そこにいた兵士たちが最後に聞いた言葉だった。


次の瞬間、地獄がはじまった。


しかし、それは一瞬の出来事だった。


スカーレットの右手から放たれた光はスカーレットを中心にして全てを焼き尽くし、官軍10万は一瞬で蒸発した。


彼らは幸せだった。


痛みも苦しみもなかったのだから。


オアシスの空が一瞬明るくなり、道行く人は空を見上げた。


しかし、次の瞬間にはなにもなかった。


10万の命が消え去ったことすら、彼らはその時気づくことがなかった。



ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


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