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冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
幻教操国編

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第91話 官軍の軍議

◇ 王都-


「反乱軍の陣容はどうか?」


チュウエイが机上に地図を広げ、現在の状況を整理する。


「東方よりショウ=エンを旗頭にした軍勢が10万展開しております。」


10万。その数に会議室が一瞬凍りついた。


「10万、それほどの数をどうやって……!?」


武官たちがざわめき、顔を見合わせる。


椅子を引く音、書類を握りしめる音。静かだった室内が一気に騒がしくなった。


「あわてるな。」


チュウエイは静かに、しかし一言だけ言った。


それだけで室内が静まり返る。


「おそらくは烏合の集よ。わが軍は20万はある。どうということはない。」


しかし、わかっているのだ。


この世界の戦いは数ではない。


20万全軍をもってしても、オアシスの守護獣フェンリルを倒せるかというとわからない。


あのハクエイのようなS級冒険者たちが一万人の兵に匹敵するといわれるのもあながち誇大表現でないこともわかる。


しかし、チュウエイは一方でこうも考えていた。


だれもやったことがないから試していないだけではないかと。


実際のところ、万単位の軍勢をもって魔獣と戦った記録などほぼないのだ。


なぜなら魔獣たちにとってもその規模の軍勢と戦うメリットなどないからだ。


トラとライオンどちらが強い、という話と同じだ。


実際には無駄な戦いなどしないし、お互い戦いを避けるのだ。


あの四神、四凶といわれる連中がこの10万の反乱軍以上の脅威だとは、異世界人のチュウエイにはどうしても思えなかった。


「それで、ショウ・エン軍の動向はどうだ?」


チュウエイは諜報部の責任者に確認する。


「軍はあつまってはいますが、大きな動きは見せていません。」


その報告に緊張が走る。


「何かをまっているのでしょうか?まさか、一気に攻め込む気では……」


武官の一人が声をあげる。


室内にまた不安の波が広がりかけた。


「いや、そうではない。」


チュウエイは短く答えた。


「では、どういうことでしょうか。閣下。」


「クククク。」


思わずチュウエイは失笑する。


「いや、軍議の場に失礼した。」


一瞬、室内の全員がチュウエイの顔色をうかがった。


「やつらどうやら連日酒盛りをしているらしい。」


沈黙。


「……酒盛り、でございますか?」


誰かが恐る恐る聞き返す。


「にわかには信じがたいかもしれんが、私は独自の複数の情報網で確認している。やつら集まったのはいいが、誰が先陣を切るかすらも決められず、連日酒を飲んでいるだけらしい。」


また沈黙。


信じられない、という顔をしている者。


(本当にそんなことがあるのか)


内心で疑いながらも、チュウエイの前では口に出せない者。


チュウエイが複数の情報網で確認済みと言った以上、否定できる者などいなかった。


「それよりもだ。問題は南部だ。」


チュウエイは机上の地図の南部を指さす。


「あの逆賊コウロ・エンがショウ・エンに呼応する形で勢力を伸ばしている。」


「あの逆賊が?」


「5万の兵をあつめ、各城を落としています。」


諜報部の将軍がコウロ軍の侵攻ルートを地図に記載する。


その線を目で追った武官たちの顔色が変わった。


「わずかの期間でこれほどまでに……」


「南部がこれほど荒らされていたとは……」


今度のざわめきは先ほどとは質が違った。


10万という数への恐怖ではなく、気づかぬうちに足元を掘られていた、という動揺だった。


「さっさと討伐すべきだったな。」


そういいながらもチュウエイは心の中で歯ぎしりをする。


本来であればロフを派遣したいところだった。


例の一件があっていらいロフは病気と称して、ほとんど公務にでてこない。


この会議にすら姿を見せなかった。


(しかし、コウロ軍を指揮しているものはなにものだ。)


(コウロについては小物とおもっていたので、ほとんど情報を追っていなかったのは失敗だった。)


(極端な話、コウロの全勢力よりアビのところにいるアオの動きを注視していた。)


(ロフが万全であれば、獣剣・蒼月をあずけ、アオの暗殺に向かわせるか、なんらかの理由でアビを呼び寄せてアオを暗殺をしているところだったものを。)


(なにか、監察官とトラブルになったらしいが――現在のところアビとアオが明確にオレに敵対する動きはない。)


(ならば……)


アビのことは告げずにコウロ軍への方針を話した。


「コウロ軍は実、ショウ軍は虚だ。優先すべきはコウロ軍よ。しかし……」


そういって、チュウエイは地図に目をやる。


「オアシス。」


武官の一人がその名をつぶやく。


「南方に兵をやるとなると、あの都市の近くを通らねばならん。」


室内の空気が変わった。


「私も話に聞いているだけだが、あそこには朱雀竜がでて、近くを通る軍勢を焼き尽くすとか。実際はどうなのか?」


「そういう言い伝えがあるので、実際のところ、嘗ての魔王軍も革命軍を称した反乱軍もあの地域には近づかなかったのです。」


諜報部の将軍が慎重に言葉を選びながら報告する。


「ということは実際のところはわからないわけだな。」


チュウエイは腕を組み直して言う。


「なにもオアシスを攻めるわけではない。近くを通るだけで、万単位の軍勢に四神などといっても何かができるだろうか。」


チュウエイは武官たちに問いかける。


たしかにチュウエイも目の前で華姫があっさりアオに倒されたのをみた。


しかし、かといって、彼女が万単位の軍勢をどうこうできるとも思えなかった。


自分はあの究姫をも殺した。


その事実がチュウエイの自信を後押ししていた。


しかし室内は沈黙したままだった。


朱雀竜。その名が出た瞬間から、誰も口を開こうとしない。


媚びへつらう者も、内心で反発している者も、この話題だけは黙って下を向いていた。


チュウエイは武官の反応を無視して進める。


「問題はコウロ軍5万に対し、10万を率いる将がいないということだな。」


「10万!?全軍の半数をあてるということですか!?」


群臣たちがざわつく。


「先ほどもいったが、ショウ軍はまず動かない。同数の兵を残せば牽制になる。コウロ軍に対しては倍の兵力を当てれば十分だ。だが、朱雀竜を恐れ、さらにその数を指揮できるものがここにはいないらしい。」


そういいながら、チュウエイはロフの顔を思い出す。


(最悪、またキョウ王女に陣頭に立ってもらうという手もあるが。)


しかし、王女の人気をこれ以上上げるのも避けたかった。


チュウエイにとってはキョウもいずれは排除すべき人間なのだ。


あくまで彼女は虚像としての傀儡でなくてはならないのだ。


「おまちください閣下!」


その時、一人の将軍が声をあげた。


沈み込んだ室内の空気を、その声が一気に破った。


「コゲツ。」


チュウエイは声を上げた将軍の名を呼ぶ。


「ここに人なしとは言い過ぎではありませんか。コウロなどこの私が討伐してみせましょう!」


コゲツは胸を張ってこたえた。


周囲の武官たちが、おどろいて、彼を見た。


「では、朱雀竜があらわれたらどうする?」


「朱雀竜といえど、10万の兵になにができましょうか!」


コゲツの力強い返事にチュウエイはうなづく。


(使えるかどうかはわからんが、今は使える駒が必要だ。)


「わかった。ならば南方の反乱軍はコゲツ将軍に任せよう。」


その決定に逆らうものはいなかった。


「では東方の反乱軍に対しては?」


「それはロフに対処させる。」


「しかし、ロフ殿は体調不良と聞いていますが。」


チュウエイは忌々しげにこたえる。


「詐病だろうよ。それに念のため、悪魔をつける。」


「悪魔を召喚されるのですか!?」


群臣たちがざわつく。


「生贄はオレに考えがある。」


チュウエイは眉間にしわを寄せながら笑って答えた。


誰も、その中身を聞こうとしなかった。


そして再び、地図上のコウロ軍が支配する地域に目をやった。


「まずは、南から潰す」


そう言い切った。

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