第77話 布教
「じゃあ、早速だけど、困ってることがあるんだけど。」
ワタシは究姫をレアカードでつって頼み事をする。
「ほう?私にできることなら、なんでもいってみな。例えば革命軍の皆殺しかい?」
「違うわ!」
ワタシは大いにツッコむ。
「むしろ逆で、あいつらに関わらないでほしいんだけど。」
「それは難しいなあ。」
究姫は嬉しそうに笑う。
「なんでよ。」
ワタシが不満を言うと。
「関わるわけないよ、神使がいるんだから。」
横で凍子がモスと組み手をしながら答える。
モスは四本の剣を振り回すが、凍子は両手を後ろに組んだまま、華麗にかわす。見た目は幼い黒髪の少女だが、達人の体捌きだ。
「アビ、君を困らせて喜んでるだけだよ。」
そういうと、凍子の拳がモスの岩のようなハラにめり込む。
このモスも小国なら滅ぼすくらいの力はあるらしいが、四凶の凍子の前では手も足も出ないようだ。
しかし、面倒くさいのが究姫だ。
思わずため息が出る。
「なんだよ、ため息なんかついて。」
究姫が他人事みたいにいう。
「あんた友達いないでしょ。その凍子くらいじゃないの、相手してくれるの。」
思わず本音が出た。
「……!?」
究姫が真顔になる。
やばい。ちょっと言い過ぎたか。
思わずアオの方に寄ってしまう。
「いるわけないでしょ。友達いない歴、数万年だよ、この子は。」
アオが追撃する。
しれっといってるが、こいつらそんなに生きてたのか。
「しれっといったけど、あんたら数万年も生きてるの?」
思わずツッコミ。
「覚えてる範囲でね。言葉ができる前の記憶はあやふやでね。」
究姫がなにやら落ち込んでいるのがわかる。
「わかったわよ。ワタシが友達になってあげるわよ!それでどう!?友達の頼みくらい聞いてくれてもいいでしょう!」
その瞬間。究姫の後ろの木に雷が落ちた。
(やばい、怒ったか。)
「いや、ごめん、調子にのった。ワタシなんかがあんたと友達だなんていったら嫌よね。」
「フフフフフ、友達か。聞いたか、凍子!ついにワタシにも友達が!」
(あ、喜んでたのか。)
「はいはい、良かったね。」
凍子はどこからかテーブルと椅子を出してお茶を飲んでいる。興味なさそうに。
「では、我が友、アビにいいことを教えてやろう。」
そういいながら、究姫はワタシに顔を近づけてくる。
美しい金髪に金色の瞳。ほんとうに残念な美人だ。
「あの革命軍には神使がいる。もう、ヨウトは死んでいるかもしれない。」
とんでもないことを言い出した。
「ヨウトが死んでる?」
「ああ、ヨウトは神嫌いだからね。神使なんかといっしょにいるわけがない。特に四霊のことはね。」
「じゃあ、神使とやらの目的はなによ。」
「そんなもの、布教に決まってる。」
究姫はワタシに後ろから抱きついてきた。
「あの、普通は友達はそんなことしないんだけど。」
「アオにはやらせてるじゃないか。」
「ちょっとアオ、止めてよ。」
「いいじゃない。減るもんじゃないし、それくらいは。」
どうもアオには嫉妬心というものが薄いらしい。
「いいか、これは出来レースだよ。官軍が革命軍と戦う。泥沼になる。そこに霊教の使いがやってきて仲裁を申し出る。そのかわりに、この国での布教を正式に認めさせる、または政府のお墨付きをもらう。そんなとこじゃないか。」
「なんでそんなことがいえるのよ。」
ワタシは究姫を払い除けながらいう。
「なぜって、チュウエイとコウロがそんなことを言ってたからね。コウロは失脚したけど、チュウエイはむしろ霊教に近づきやすくなったろ?」
「あいつら、この国を霊教に売るつもりだったの?」
「少なくとも、霊教の力は利用する気だったみたいだけどね。」
「だったら、こうしてられない。キョウに早く知らせないと。アオ、キョウのところに転移できない?」
「キョウがどこにいるかわからないからね。」
「妲姫がいる場所ならわかるでしょ。」
「ああ、それならわかるね。でも急に転移したら神使にばれるよ。」
「なに言ってんだ。飛んでいけばすぐだろう?」
究姫が提案してくれる。
「でも、慣れてないアビがきついかも。」
「そうもいってられない。アオ、お願い。」
「わかったよ、そこまでいうなら。」
「ビゼン、あんたはあとから来て!ジーク、世話になったわね、ありがとう!」
アオがそういうと、ワタシとアオは光の珠に包まれた。
あっというまに地上から離れる。
しかし——
アオがためらった理由がわかった。
猛烈なスピードで目が回る。景色が、光が、全部混ざる。
「ごめん、吐きそう。」
「吐いてもいいけど、地上の人に迷惑をかけるよ。」
数分後。
ワタシたちは官軍と革命軍が睨み合う上空についた。
◇
「これ、誰かにばれない?」
「隠形の術を使っているからばれないよ。」
ワタシとアオは上空から様子を伺う。
キョウも見える。当然だが、群臣たちに厚くガードされている。
「どうやら、会談をするみたいね。」
(究姫がいったように、早くも霊教が動いたのか。)
「それなら、こんな戦場の真ん中で会談はしないと思うけど。」
アオが全体を見回しながらいう。
「平和的に話し合ってくれるならいいけど、キョウがヤバそうなら直ぐ助けに入るよ。」
そんなわけで、ワタシは上空から会談の行方を見ていた。
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