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冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
幻教操国編

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第74話 狂信

アオの結界を越えて、一人の男が近づいてくる。


「お前が神使か。」


アオが人間相手に珍しく冷たくいう。


「ええ、そうです。アオ様。ビエムと申します。」


「お前、どういうつもりだ。ヨウトはすでに死んでいる。」


「なにをおっしゃいます。同志ヨウトはまだ生きている。」


ビエムはそういいながら近づく。


ワタシはヨウトの手をとる。


(あたたかい。)


まるで生きているようだ。


「ね?生きてるでしょう?」


ビエムは笑顔でワタシにいう。


「これは、脳死状態なの?」


「そんなんじゃないよ。無理やり生きているように人形扱いしているだけだよ。」


「だから、なにをおっしゃいます。アオ様。同志ヨウトの魂も常世にいっておられないことはあなたならおわかりでしょう。」


(さっき邪神とかいってたくせに、なにをいうんだこいつは。)


「魂の牢獄だね。よくもヨウトをこうもしてくれたな。」


アオの目が細くなる。


空気が、冷たくなった。


「見解の相違ですね。さあ、ヨウト様をこちらに。同志ヨウトもまた神使ですよ。」


「その前に、このふざけた空間だけは破壊させてもらうよ。」


「霊神と戦うおつもりですか。」


ビエムは微笑む。


「上等だよ。」


アオはそういうと空に向けて手をやる。


その瞬間、彼女の掌から光が放たれ、革命軍を覆う何かの結界が砕かれたのを感じた。


「やってくれましたね。」


ビエムの笑みが引きつる。


「何をしたの?」


「神使の思考誘導を消した。ヨウトを信じる者がビエムも信じるように、こいつは思考誘導していたんだ。警戒心を解く術といってもいいかもしれない。」


「ああ、だからさっきキョウが難なく近づかれたのか。」


「一言でいうと精神操作だよ。しかも神使のスキルは神の力の代行だからね。並の人間では感知すらできない。でも、それも終わりだ。」


周りを見ると、革命軍の様子がおかしい。


「アビ、みんなに真実を告げてやれ。」


アオにいわれて、ワタシは声を張り上げた。


「勇者にして偉大なリーダー、ヨウトはすでに亡くなっている!このビエムはヨウトの名を使いみんなを騙していたのよ!それが証拠に、もうヨウトは声を出すこともないわ!」


ワタシはヨウトの姿を指して皆に真実を告げる。


「皆のもの、騙されるな!同志ヨウトはまだ生きている!この邪神とその使徒に邪悪な術をかけられたのだ!」


むちゃくちゃなことを言い出すが——


「そうだ!同志ヨウトが死ぬはずがない!」


「戦え!」


一部の兵は止まらなかった。


(これは……)


見ると彼らの鎧や剣には十字に星の紋章が入っている。


「これは思考誘導とかじゃないね。本気で彼らはそう思っている。」


アオが周りを見ながらいう。


「まあ、ここでアンタを倒せば終わりだけどね!」


ワタシはビエムに向けて剣を構える。


「邪教徒め、我らの力をみよ!」


ビエムがそういうと、戦場に閃光が走った。


「なに!?」


あちこちで光の玉が現れ、戦場を焼き尽くしていく。


「アビ!」


アオがすかさず周囲に結界を張る。


結界の外では、革命軍の兵士たちが次々に自爆していた。周りを巻き込んで。一人が爆ぜると、隣の兵士も爆ぜる。


炎が炎を呼び、悲鳴が悲鳴を塗り替える。


革命軍も官軍も、見境なく火の海に飲まれていった。


「アオ、上に飛んで。」


「わかった。」


上空から見下ろすと、さらによくわかった。


戦場は地獄だった。


あちこちで炎が上がり、黒煙が空を覆っている。


倒れた兵士たちが折り重なり、まだ動いている者も炎の中でもがいている。


革命軍も官軍も関係ない。


ただ焼けていく。


ただ叫んでいる。


「アオ、今更だけど、救えるだけ救えない?」


「いいけど、事態は悪化するかもしれないよ。」


「それでも、助かる人もいるかもしれない。」


「わかった。」


アオが上空に魔力を放つと、空から雨が降り注いだ。


聖なる雨の力で、焼けただれた人が見る見る回復していく。


炎が消え、黒煙が薄れ、一瞬だけ戦場に静寂が訪れた。


一瞬だけ、誰もが動きを止めた。

剣を握ったまま、兵たちは互いを見ていた。

戦いが、終わったかのように。


しかし。


「これこそ、ヨウト様のお力だ!」


「戦え!同志のために!」


命が助かったというのに、革命軍は止まらなかった。


立ち上がった兵士たちが、また剣を取る。また叫ぶ。また突っ込んでいく。


(なんなんだ、これは。)


助けた人間が、また死にに行こうとしている。


クソ


それしか言葉が出ない・



「ヨクトは無事?」


「ええ、リョーカと合流したみたい。」


「じゃあ、先にヨクトたちと合流してキョウのところへいこう。」


ワタシとアオはヨクトたちと合流するために再び戦場へ降り立った。



「なんだってのよ!」


「これこそ、ヨウト様のお力だ!」


そんな声を上げながら、なおも戦いをやめる気配がない。


「アオ、全くアンタの言った通りね。残念ながら。」


そう言いながら、ワタシは襲いかかってくる兵士を切り伏せる。


戦場はまだ燃えていた。


雨で消えたはずの炎が、また点いている。


「これは泥沼だな。」


そうつぶやきながらヨクトの姿を探す。


(いた。)


「ヨクト!」


「おお!姉貴!」


(この姉貴ってのはどうも慣れない。)


「どうする。泥沼だぞ、これ。」


「ワタシたちは一旦キョウのところに集まろう。ここでワタシたちにできることはなさそうだ。」


そう言いながら、戦場を見渡す。


もはや統制が取れていない。兵士たちは思い思いに戦っている。


いや、殺し合っているというべきか。


「殿下は無事なのか。」


「早期に退却したみたいだからね。」


「じゃあ、移動するわね。」


アオがそうつぶやくと、ワタシたちは丸い球体に包まれ、一気に高速移動した。


外の風景が猛スピードで流れていく。


これは向こうの世界のジェットコースターか!


そして、急に止まる。


(気持ち悪い……)


さっきの戦闘での血の匂いと合わさって、思わず吐きそうになる。


「なにものだ!」


急に現れたワタシたちに、兵たちが取り囲む。


「アビ!無事だったか!」


キョウが駆け寄ってくる。


「ええ、おかげさまでね。」


(だめだ、吐く。)


そう思ったとき、キョウがまたキスをしようとしてくるが——


(う……だめだ。)


「ぎゃああああああ!」


ワタシは王女殿下の胸元にゲロをぶちまけた。



「ごめん、まじでごめん。」


「ハハハ、気にするな。私とお前の仲だ!」


そういいながらも、ワタシはまだ気分が悪く、キョウは笑顔がひきつっている。


「なにがあったか話してくれるか。」


ワタシは見たものをキョウに伝えた。


ヨウトはすでに亡くなっていたこと。ビエムというやつが傀儡人形にしていたこと。狂信者たちが自爆を始めたこと。アオが消火し回復させたにもかかわらず、戦闘は終わらないことを。


「それで、ヨウトは行方知れず。」


「そうか。軍もコウ将軍も行方知らずのようだ。私を守るために前線に出た将はみな死んだかもしれぬ。私がヨウトと対話をしたいとさえ言わなければ……」


キョウが心痛な顔をする。


「何をおっしゃいます!殿下になんの非もございません。反乱軍が卑劣な策を講じたことが原因です!」


将軍がキョウをかばった。


「しかし、アビはあのタイミングでよく間に合ったな。」


「ええ、実はちょっとあってね。」


ワタシはここまでの話を改めて話すことにした。



ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


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