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冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
幻教操国編

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第73話 対談

革命軍と官軍が睨み合う中、革命軍のリーダー、ヨウトと王女キョウが相まみえた。


ヨウトは手押し車に座り、キョウは馬上から下りる。


草原の風が、両軍の旗をはためかせた。どちらの陣も、息を呑んで見守っている。


革命軍から官軍に向けて、ひとりの男が近づいてくる。


武装はしていない。


「私は革命軍の副将ビエムというものです。キョウ王女との対談、同志ヨウトも心から楽しみにしていました。」


ビエムはよく通る声でキョウ王女ならびにコウ将軍に伝える。


「残念ながら、ヨウトは高齢なため、耳も遠く、大きな声を出すこともできません。ささやかではありますが、対談の席を設けています。ご足労ではありますが、お願いできませんか。」


「いいだろう。望むところだ。」


キョウは静かに答えた。


並ぶ群臣たちは油断なくその様子を見ている。おかしなことをすれば、すぐにでもビエムの首を飛ばせるよう準備もできていた。


「ありがとうございます。それでは早速参りましょうか。」


群臣たちの殺気を受け流すかのように、ビエムは微笑み、背中を向け、キョウを案内する。


(不審なことがあればいつでも殺せということか。)


コウ将軍はそのように解釈しながらも、決して油断しなかった。



会談の場は開けていた。


天幕の中央に卓が置かれ、ヨウトとキョウが対面に座るようになっている。その後ろに、それぞれの群臣が控える。外からは風の音だけが聞こえた。


(あれがヨウトか。)


キョウが対面に座るヨウトを観察する。


顔は覆面に覆われ、表情はうかがえない。周りの部下への指示はビエムが行い、ヨウトは一言も発することはなかった。


係の者が毒見をする。そしてその上で、飲み物を注ぐ。


ごく自然な様子で。


誰も、なぜか警戒すらしなかった。


キョウの後ろに控える妲姫ですら、気がつかなかった。


誰も、動かなかった。

いや――動こうという発想すら、なかった。


ごく自然に、係の者がピタリとキョウの喉元に短刀を突きつける。


突きつけられたキョウですら、その自然な動きに違和感すら覚えなかった。


その瞬間。


光の速さで刺客に雷が落ちた。


轟音とともに刺客は刃を落とし、倒れる。


「なんだ!?何が起こった!」


「殿下、ご無事ですか!?」


正気に戻った群臣がとっさにキョウをかばい、そのまま後ろに連れていく。


「ビエム!ヨウト!これはどういうことだ!」


コウ将軍はビエムを睨みつける。


睨みつけられたビエムは、上空を見上げた。


キョウも思わず上空を見上げる。


そこにいたのは——


「アビ!」



ワタシとアオは宙から降りた。


草原に着地する。足元の草が、風圧で揺れた。


その場の全員が、一瞬だけ動きを止めた。


「平和的な会談になったなら、黙って見ているつもりだったけどね。」


ワタシは剣を構えながらいう。


そんなワタシを無視するようにビエムが叫ぶ。


「おのれ!民を惑わす邪神とその使徒め!ようやく正体を現したか! 我々とキョウ殿下の平和的な会談を台無しにするとは!」


「なにいってるの、こいつ?」


そういう筋書きでいくつもりか。


「これが神使というものだよ。話が通じないでしょ。」


アオが静かにつぶやく。


「見たか、同志たちよ!これが王家の手先、邪神の使徒たちだ!対話など不可能だ!今こそ我らの絆を見せるときだ!」


その声を合図に、革命軍が官軍に一斉に襲いかかった。


その瞬間、とんでもないことが起こった。


官軍の兵たちが全員、キョウの姿になった。


「どれが本物だ!?」


一瞬で革命軍の統制がくずれる


(これは妲姫の幻影か!?)


思わず吹きそうになる。しかし、妲姫と右目でつながっているワタシには妲姫の位置がわかった。もうすでにかなり遠くに逃されている。あれでは追いつけない。


「これは前もって用意していたね。」


感心するようにアオがいう。


しかし——


「悪魔め!こんなまやかしが我々に通じるか!」


ビエムがそう叫ぶと、凄まじいスピードで兵たちをかいくぐり、キョウに迫る。革命軍の兵士たちもビエムをかばうように壁になった。


「あいつ!」


ワタシもビエムを追おうとするが、革命軍の兵士たちに阻まれる。


(しかも、こいつら強い!本当に民兵か。)


しかしワタシは、よく知った魔力を感知していた。心配はいらない。


遠くでは、革命軍の兵士たちがヨウトを奥へ連れていくのが見える。


「私はちょっとヨウトと話をしてみるよ。」


そういうとアオはヨウトの前に瞬間移動した。


その瞬間、周りの兵がバタバタと倒れるのだけが見えた。



ビエムは凄まじい速度で、キョウに迫った。


しかしビエムの前に、一人の槍使いの戦士が立ちふさがった。


「おっと、ここは通さねえよ!」


ヨクトはそういうとビエムに向けて槍を突き出す。


ビエムはそれを剣で受け止めた。


「やはり君は裏切りますか。」


ビエムは微笑みながらヨクトに対峙する。


「ヨウトさんはやっぱり変わっちまったのかな。」


ヨクトは構え直しながら答える。


「何も変わっていませんよ。しかし、これまでですね。」


それだけいうと、ビエムは再び自陣に向かって引き返した。



「久しぶりだね、ヨウト。」


アオはヨウトに向かってつぶやいた。


ワタシはアオに向かって近づく。アオとヨウトを中心に結界が張られているのか、革命軍も官軍も、近づいただけで気を失っていた。


ワタシはアオとヨウトの様子を伺う。


「アビ、やっぱりだよ。」


アオはヨウトの肩に手を置きながら、寂しそうに呟いた。


「ヨウトはもう、死んでいるよ。」


草原の風だけが、静かに吹いていた。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


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