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冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
幻教操国編

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第72話 ビエム

「止まれ!何者だ!」


ヨクトは革命軍の陣の前で呼び止められた。


供はリョーカと華侯姫だけだ。仲間は近くに待たせてきた。ヨクトとリョーカは丸腰。華侯姫カコウキは魔導士姿に化けている。


「オレは王都近隣のゲリラ隊、一番隊隊長のヨクト。こっちは二番隊のリョーカだ。」


「そこで待て。」


「ご主人様。」


華侯姫が心配そうに声をかける。


「大丈夫だ。オレの顔を知っているやつを探しているんだろう。」


しばらくして。


「入れ。」



陣の中は、ヨクトが想像していたものとは少し違った。


十万の軍勢というから、もっと雑然とした空気を想像していた。


しかし、実際は違う。


整然としていた。


炊き出しの列は乱れない。


見張りの交代は寸分違わず行われる。


武器の手入れも、休憩も、すべてが決められた通りに動いている。


(まるで訓練された官軍だ。)


(俺たちの部隊とずいぶん違うな。)


(革命軍は基本的には民兵の集まりだ)。


(どうやればここまで規律をだせるんだ。)


そして、兵たちの装備に気になる印を見つける。


十字と四つの星の紋章。


(霊教の紋章だ。)


(霊教の信徒。いつの間に増えたんだ。)


革命軍に宗教の背景はなかった。


どの神を信じようが自由だ、というのがヨウトの方針だったはずだ。


(それにしろ、これではまるで霊教の軍だ。)


そんなことを考えていると声をかけられる


「同志ビエムがお会いになるそうだ。」


「オレはビエムよりヨウトさんに会いたいんだがな。」


そうつぶやきながらも、ヨクトはビエムのもとへ案内された。



「やあ、ヨクト君、久しぶりだね。王都でいろいろあったみたいだから心配していたよ。」


ビエムはヨクトを笑顔で迎え入れた。


「任務をほったらかしにしたことは悪かったと思ってる。」


「申し訳ありませんでした、ビエムさん。」


ヨクトとリョーカは開口一番、頭を下げた。


「うん、君たちだけじゃなく、部隊全員が消えたからね。何があったか話してくれるか。」


「ああ、そのつもりで来た。」


ヨクトはアビとの出会いや王都での出来事を話した。ビエムは黙って聞いていた。


「アビさんね。私も名前は聞いたよ。キョウ王女を暗殺犯から救出した英雄。まさかアオ様とも行動していたとはね。」


ビエムは顎に手をやり、興味深そうに続ける。


「私たち革命軍は脱退は自由だ。連絡はほしかったが、抜けたこと自体は構わないよ。わざわざ報告に来てくれたのかい?」


「それもあるが、ヨウトさんと話がしたい。」


「なぜ?君は別の守りたいものを見つけたんだろう。」


「ヨウトさんが何をめざしているか聞きたい。」


「平等で自由な社会だろ。知ってるだろう。そのために王室を倒さないといけない。正確にいうと、体制だけどね。」


「ああ、それはわかる。しかし、レイ王の死に乗じて攻めるのはあの人らしくねえ。それに今のキョウ王女、それにチュウエイってやつ。どちらも交渉が利かない奴には見えなかった。一度、話し合ってもいいんじゃねえか。」


「君から見て、二人はどんな人たちだった?」


ビエムは笑みを崩さない。


その瞬間。


(ご主人様……)


華侯姫がさりげなくヨクトの身体に触れ、念話を送ってきた。


(なんだ、華侯姫。)


(このもの、精神干渉を行っているかもしれません。)


(なんだと。)


(かなり高度なものです。私でも解析は不能です。)


(わかった。ならかかった振りをしようじゃねえか。)


「キョウ王女はまっすぐな人だった。ヨウトさんやアビとは違うタイプだな。ヨウトさんがいってたな、レイ王も若いころは理想に燃えるやつだったと。あんな人だったのかもしれない。」


「ではチュウエイは。」


「やつは自分のことしか頭にない。民のためとか国のためとか、そういう話じゃない。ただ、だからこそ損得の話は通じる気がした。」


「なるほどね。」


ビエムは少し間を置いた。


「実はね、そのキョウ王女から話し合いの提案があった。」


「なんだって!」


「ああ。戦いを終わらせることができるかもしれない。」


「それで、受けるのか。」


「そうか、さすがヨウトさんだ。話し合いで終わるならそれに越したことはない。」


リョーカの目が輝く。


「ところで、君らの仲間はどこにいる?」


「半数はこの陣の近くで待機している。残りはアビたちと一緒だ。故郷に帰った連中もいる。」


「元気ならそれでいいよ。それで、君はこれからどうするんだ?」


「ヨウトさんに会わせてくれるか。直接話を聞きたい。」


「それは難しいね。」


「なぜだ?」


「王女との会談準備もある。ただ、毎日のように陣中を見舞っておいでだ。その時に挨拶くらいはできるかもしれない。」


「わかった。じゃあここに滞在させてもらう。明日にでも話をしてみるさ。」


「ああ、構わないよ。」



三人がビエムのテントを出ると、華侯姫がヨクトに耳打ちした。


「ご主人様、彼は本当に人間なのですか。」


「どういうことだ。オレたちは昔からビエムさんを知ってる。いい人だぞ。」


「精神干渉をしている人がいい人ですか?」


「……精神干渉?」


リョーカが目を丸くする。


「あいつは話している間、ずっとお二人に精神干渉をしていました。」


「ということらしい。」ヨクトが続ける。


「うそだろ!?信じられない。」


「オレは昔から、ビエムには違和感を感じていた。あいつが話すと、どんな屁理屈でも周りは納得してしまう。オレはずっと自分がおかしいのかと思っていたが、そうじゃなかったようだ。今日、華侯姫にいわれてわかったよ。ありがとよ。」


「ありがとうなんて、ご主人様、そんなあ♡ おそらく【豪傑覇気】がはじいていたんですよ。」


華侯姫は身体をくねらせ、黒い翼をパタパタと羽ばたかせる。


「おい!翼が出てるぞ!」


ヨクトは思わず周りを見渡した。



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