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冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
幻教操国編~第一部最終章~

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第70話 決別の記憶

「なるほど、なかなか気に入った。」


ワタシはジークからもらったローブを試着してみた。


なんとこの装束、体の成長に合わせてサイズが変わるのだ。しかも防御力もなかなかのものらしい。


「装着者の魔力が強いほど丈夫になるのさ。」


ジークが人の姿に戻ってキセルをふかす。


「いいのこんなのもらっちゃって。」


そうはいいながらも、お言葉に甘えるつもりだが。


「借りはつくっておくのが好きじゃないんでね。」


そういいながらも、ジークの機嫌は良いようだ。


「しかし、アビ、お前こんなところで何をやってたんだ。」


「ええ、それなんだけど、実は……」


ワタシはこれまでの経緯を話した。


ジークはしばらく考え込む。


「アオ様、あなたはどう思います?というか、もうご存じでは?」


「勇者、いや、革命家ヨウトはまだ生きているのでしょうか?」


「さあ、どうだろうね。私は彼に嫌われてしまったからね。」


アオは寂しそうにいう。


「何があったの?言いたくないなら言わなくてもいいけど……」


ワタシはためらいながらも気になって聞いた。


「リョウコはヨウトのパーティーだったって話は知っているよね。」


「それは知ってる。」


「彼らは将来を誓い合った仲だったんだよ。」


胸が苦しくなる。亡くなる直前、リョウコさんがヨウトの名を呼んでいたな……


「あれは魔王を討伐する直前の夜、ヨウトがリョウコにプロポーズをしたあとのことよ。」


そういって、アオは昔話を始めた。遠い日を思い出すように。



「先生!オレ、リョウコにプロポーズしたんだ!」


黒髪で長髪の青年、ヨウトがアオに向かってうれしそうに話す。


「よかったわね。おめでとう。」


アオはヨウトの手をとり、祝福をする。


「あの魔王ヴィクトリーを倒したら、リョウコと冒険者でもするかな。レイのやつは王様にならなきゃならないしな。」


ヨウトは遠い目をする。


「ヨウト。じゃあ、私も最後に、まだ教えてないことを教えないとね。」


アオは目のバンダナを外しながら、ヨウトに話す。


「なんだよ先生。もしかして、魔王を倒すためのものすごい必殺技を教えてくれるのか!」


勇者ヨウトは目を輝かせる。


「違うわよ。」


そういって、アオは全裸になり、ヨウトを見つめ、絡みつく。


「せ、先生!な、なにを!」


「もちろん、最後の授業よ。ヨウト、あなた、女性にモテるのにリョウコ以外には目もくれないんですもの。こうなったら奥の手を使わせてもらうわ。さあ、私を抱いて。リョウコに恥をかかせちゃ駄目でしょ。練習のつもりで……」


アオはゆっくりとヨウトに唇を近づける。


自分の魅了チャームに抗えるものなどいない。たとえ、勇者でも——それは例外ではないはずだった。


その瞬間。


ドアが開く。


「先生、あなた、何をしてらっしゃるんですか……」


【限界突破】を発動させたリョウコがそこに立っていた。


「あら、こうなってはしかたないわね。あなたもいっしょにどう?」


アオは悪びれることなくいう。


【限界突破・最大出力フル・オーバードライブ


『四霊法術・麒麟コード・キリン・フルバースト!』


かつてない力がリョウコの拳に宿り、アオの結界すら突き破り、アオは宿の壁をぶち抜き、はるか彼方に吹き飛ばされた。



「それから、しばらくリョウコもヨウトも口を聞いてくれなくて、ヨウトにいたっては二度と二人で会ってくれなくなってね……」


聞いていた全員が沈黙した。


「アホかああああ!」


ワタシはスリッパでアオの頭を思い切り張り倒した。


「痛い!」


「何の話よ!それは単にアンタがセクハラして怒らせただけじゃないの!意味ありげに何の話を聞かされたんだ、私たちは!」


「そう、私の魅了チャームをはねのけたのはヨウトが最初で、あなたが二人目よ、アビ。」


アオは指を立てて、どうでもいいことをいう。


「つまり、ヨウトはあなたに会ってくれないだろうと。」


「まあ、まだ50年くらいしかたってないしね。」


(人間の尺度だと、50年は十分長いが。)


「何の話だったっけ、これ?」


ワタシはもう訳がわからなくて、そういうしかなかった。


「要するに、アオ様でもヨウトの今はわからないということですね。」


ジークが静かにまとめる。


「そうだね。」


アオはワタシに腕を絡ませながら呟く。


「ところで、ジークはどこに行くつもりだったの?」


「ああ、どうやらさっきのヒュドラな、意図的に集められてるみたいでな。官軍に調査と討伐を依頼したのさ。うちの商人も襲われてたからな。それで物資補給の依頼があって、その道中に襲われたのさ。」


「ワタシたちがいた官軍とは別の軍ってことね。」


「だろうな。どうだ?うちの護衛を頼めないか?あのヒュドラが今後も出るんじゃ、物資を守りながら移動するのは難しそうだ。」


(早くキョウと合流したいのは山々だけど、ジークにも世話になったしな。)


「わかったわ。物資を運ぶところまででいい?」


「ああ、それでいい。帰りはなんとかするさ。」


こうして、ジークと再会したワタシは少し寄り道することになった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


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