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冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
幻教操国編~第一部最終章~

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第66話 嵐の後 その2

「父上が王女殿下暗殺未遂犯だと!あり得るか!」


ハオは手にしていた文書を叩きつけた。


南方の屋敷の窓から、青い空が見えた。


のどかな空だった。それが腹立たしかった。


次々と悪い知らせが届いた。


父、レツオウが王女を暗殺しようとして討たれた。その黒幕としてコウロの名が挙がった。


コウロはその後、王都を逃げ出したらしい。


「コウキ!軍を出すぞ!」


「どこへ行くつもりだ!?」


コウキはハオの前に立った。


「知れたこと、コウロのところだ!真相を聞きに行く!」


「それで、もし本当だったら?」


「その時は、そのままコウロを殺してやる!」


コウキは何も言えなかった。


(まさかこんなことになるとは。)


(レツオウ様……。)


ハオとコウキは三千の軍を率いて、コウロのもとへ向かった。


◇


コウロの屋敷の大広間は、重苦しい空気に満ちていた。


窓の外には手入れされた庭が広がっているが、誰もそちらを見ていない。


「あの小娘が!この私に軍を向けているだと!」


コウロは立ち上がり、広間を歩き回った。


並ぶ武官たちは目を伏せたまま動かない。


「ふざけおって!討伐を――」


コウロは命令しかけて、止まった。


(待て。そうだ。あの小娘、使えるかもしれん。)


「よし、出るぞ。供をしろ。」


「閣下自らですか。では兵を。」


「いらん。私に考えがある。」


コウロはわずかな供だけを連れて、屋敷を出た。


◇


南方の街道は埃っぽかった。


三千の兵を率いたハオの軍が、街道を埋めていた。


「おい、見ろ。コウロだ。」


ハオがコウキに声をかけた。


街道の向こうから、馬に乗ったコウロが近づいてくる。


兵はいない。わずかな供だけだ。


(何を考えている。)


ハオは手綱を握りしめた。


「やあ、ハオ殿。」


コウロは友人にでも挨拶するように声をかけた。


「これはこれはコウロ様。わざわざのご足労、恐れ入ります。」


ハオは言葉だけは丁寧に、殺気を込めて答えた。


「誤解を解きにきたのだ。」


コウロは供を下がらせ、自ら下馬した。一歩、前に出た。


丸腰だった。


「ほう、誤解とは。」


ハオは指先に魔力を込めた。


妙なことを言ったら即座に殺す。


「私とレツオウ殿はあのチュウエイにはめられたのだ。実は私はハクエイというやつが王女殿下の命を狙っているという情報を得て、レツオウ殿に殿下をお守りするように命じたのだ。」


「そんな話を信じろと?」


「嘘ではない。ハオ殿。私とあなたにとって、チュウエイこそ本当の敵だ。どのみちあなたはいずれチュウエイを討つつもりだろう。信じられないなら、チュウエイを討った後に私を討てばいい。」


街道に風が吹いた。


埃が舞い上がり、ハオの赤い三つ編みを揺らした。


(九十九パーセントはったり。しかし、父上を直接殺したのはチュウエイに間違いない。こいつが父上を利用したという証拠もない。)


「いいのか、ハオ。こいつを信じるのか。ここで殺したほうがいいぞ。」


コウキが馬を寄せ、耳打ちをした。


「完全に信じるわけではない。だが証拠もなければ、父上を直接殺したのはチュウエイだ。丸腰で来た奴を殺すわけにはいかない。」


ハオはコウロをまっすぐ見た。


「わかった。アンタを全て信じるわけではないが、共通の敵がチュウエイだということは確かだ。一旦は剣を収める。」


(やった。ばかめ。しょせん小娘よ。)


コウロは内心で笑った。顔には出さなかった。


「さすがはレツオウ殿の娘よ。時が来たら、ともにチュウエイを討とうではないか。」


「どうだ、ハオ殿。こんな街道で立ち話もなんだ。私の屋敷に来ないか。」


(そこでお前は終わりだ。)


「いや、結構。命拾いしたと思え。」


ハオは馬首を返した。三千の兵がそれに続く。


砂埃が舞い上がり、コウロの視界を白く染めた。


「コウロ様、よいのですか。あのような無礼を。」


配下がコウロに近づいた。


「今は我慢するしかない。」


コウロは砂埃の向こうを見ながら言った。


「あの小娘はともかく、横にいたコウキというやつはレツオウの懐刀だ。敵にするより、おだてて使ったほうがいい。私の敵はあくまでチュウエイだ。陛下さえこの手に入れれば、まだ逆転の目はある。」


街道に、また風が吹いた。

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