↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
正義愛鬱編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
233/263

第233話 神の啓示を受けた男

ショウは会議の冒頭に切り出した。


「この国のため、民のため、逆賊アマンと魔王アビを討つ!」


その声に群臣がざわついた。


武官のフェイスフルやカイチは顔を見合わせ、ニヤリとわらった。


「お待ちください!」


トヨタが立ち上がった。


「我々の敵はアマンではありません。魔王を協力して討つならわかりますが、まずはアマンを討つのをお考え直しください!」


「私は、先日、神の啓示をうけた。」


ショウは昨日の夢を語り始めた。


群臣がショウの声を聞こうと静まり返る。


「今、魔王アビは自国民を虐殺している。」


群臣に緊張がはしった。


「魔人や、獣人たちもいたが、彼らもろとも人間を消し去った。なにが起こったかはわからなかった。しかし、魔王の前に数百人、いや、一〇〇〇人はいた者たちは塩になり、塵のように消え去った。」


「恐れながら、それは夢では?」


トヨタが恐る恐る尋ねた。


「これをみよ。」


そういって、ショウは袋から白い粉末を机にだした。


「これは?」


トヨタは粉末を眺めた。


「これは塩だ。」


ショウは静かにいった。


「塩、でございますか?」


トヨタはショウの言葉の真意を測りかねた。


「しかし、ただの塩ではない。おそらくは魔王に殺された者たちだ。夢の中でかれらは塩の柱になり消え去った。そして、朝起きると、枕元にこれが盛られていたのだ。」


「これが、人ですか。」


トヨタは思わずつばを飲み込んだ。


「私はなぜかつて勇者ヨウトが魔王を討つという決断をしたか、ようやく、実感としてわかった。魔王と人とは共生など不能なのだ。私はアビに会ったこともあるが、もはや彼女は人ではない。」


「しかし、では、アマンと戦う必要はないでしょう。ともに陛下を探し、そのあとともに魔王を討てばよろしいではありませんか。」


トヨタはなおも反対した。


「いや、キョウ殿下は陛下が見つからない場合、自らが王位につくと宣言した。これは簒奪であり、我らのハクア王とも相容れない。むろん、キョウ殿下の真意が別にあり、アマンに利用されているだけの可能性が大きいと私は考えている。そしてこの神器、美静弓・魔姫、これは討つべきあいてを教えてくれる。」


そういって、ショウは弓を一本引き絞った。


「この中に、先日の会議の内容を外部に漏らしたものがいる。誰だ!?」


その瞬間、ショウの感覚が研ぎ澄まされていく。


この距離であれば、人の鼓動、脈拍、呼吸、目の動揺までも、神器を通して、情報が流れ込んできた。


そして、ショウは静かに弓をおろした。


「トヨタ。残念だ。会議の内容をもらしたこと、わが妻の一人と密会したことは、許す理由にはならん。トヨタを拘束して、牢に入れておけ。トヨタへの処分は、アマンと決着をつけてから片付ける。」


ショウの命令で、警備の兵がトヨタの両脇を捕らえた。


「閣下!」


「つれていけ。」


ショウは一言命令した。


それ以上はいわなかった。


「さあ、戦の準備をしろ!今こそアマンと雌雄を決するのだ!」


ショウは右手をあげ、群臣たちは怒号をあげた。


  ◇


あーつかれた。


魔王となったワタシのもとには、連日のように挨拶に訪れるものが絶えなかった。


ほとんどのものにとっては、ワタシと敵対するよりは従属したほうがかしこいからだ。


先日きたデモ隊みたいなアホはめずらしい。


ワタシは休憩中、スーツのままソファーに寝転がる。


魔王衣装はやめた。


スーツにネクタイという異世界の魔王をアピールしている。


そこにアオがやってきた。


暇そうでうらやましい。


「アビ、あなた、浮気したでしょ。」


アオがニヤつきながら、ワタシのネクタイを引っ張る。


(こいつ、魔力感知で覗いていたのか。)


「う、あんた、こっそり、のぞいてたの、変態ね。」


ワタシはネクタイをとりあげる。


「魔力感知で見てただけだから、興奮もなにもないけどね。」


なるほど、魔力感知で人をみると、精度が低い者がやると、なんとなく、音だけが波紋のように見えるイメージだ。


人によってはサーモグラフィーのように見えたり、風や水の流れをイメージする人もいれば、嗅覚的に捉える人もいる。


あるいは、脈拍や呼吸がそこにいるように感じられる人もいるとか。


ワタシの場合、さらに特殊で、【翻訳者】により能力が言語化される。


なんにせよ、視覚的に見るのと少し違う。


エロさがない。


「別にいいわよ。でも、じゃあ、ワタシがヨクトに手をだしてもいいわよね。」


「あんた、普通の男に興味あったの?」


「冗談よ、冗談。私たちの中に混じらせたいなら呼んでもいいけど。」


そんなことより、言いたいことがあったのを思い出した。


「前にデモ隊を消し飛ばしたでしょ。ああいうのはちょっと遠慮してほしい。」


「あら、あいかわらずあなたは優しいね。」


彼女はワタシの隣に座り込んだ。


「いくらなんでも、卵をぶつけられましたの仕返しで、一〇〇〇人消しましたはまずい。」


ワタシはまじめな視線をむけるが。


「ちがうわよ。私とあなたとガリョウのまどろみの至福の時間を邪魔したからよ。」


そういいながら、ワタシの腰に手を回してくる。


「じゃあ、はじめから全員殺すつもりだったの?」


「そんなことないわよ。ちゃんと謝ってくれれば許したけど、そのつもりがない様だったからね。」


「でも、あなた、ワタシと初めてあったとき、あのチュウエイに刺されてもやり返さなかったでしょ。」


「あの程度ならね。あの時はまだアビと初めてあったし、それに究極があいつについてるのはわかったしね。でもまさか、アビが魔王になるとは予想はできなかったわ。人の可能性はすごいね。だからできるだけ、私の可能性の芽はつぶしたくはないのよ。」


「1000人消すなんて大虐殺よ。それだけじゃないわ。彼らにも家族がいるでしょう。恨まれるだけよ。」


まじめな話をしてるんだからと、ワタシは彼女と距離をとった。


「大丈夫よ。私はスカーレットと違いちゃんと考えてるから。」


「どう考えてるのよ。」


「だからね・・・・」


その後聞いた話に、ワタシは戦慄した。


ワタシはまだ、このアオの恐ろしさをわかっていなかったらしい。


  ◇


「すまん、みんな、みんな殺されてしもうた!」


キハムはアジトにもどるなり、ひざを折り、倒れこんで謝罪した。


共生党。


それが彼の本来所属するグループである。


どんな種族にも平等な権利を。


「平等な権利」、異世界人の概念を魔族や人間たちを中心に掲げた団体である。


構成員はおもに弱小種族や、年老いて戦闘力を失った老人の魔族である。


キハムの周りに、アジトにいた魔人や人間たちが駆け付けた。


その中にはホウスウもいた。


「もう大丈夫だ。なにがあったんだキハムさん。」


ホウスウがキハムの肩をだいた。


ホウスウはこの団体の本質をみるべく身を寄せていた。


「わしらは青竜様の怒りを買ってしまった。わし以外の全員は皆殺しになってしまった!全員じゃあ。」


魔人たちがざわつく。


「なんてことだ。みんなか!だれか、だれか生き残りはいないのか!?」


ラビット族のウーがキハムに問いかけた。


「すまん!ウー、お前の兄、サーもころされてしもうた。」


キハムのその言葉に、ウーは怪訝な表情をする。


「大丈夫か。キハム。おれにサーなんて兄はいないんだ。」


ウーの言葉にキハムは戸惑った。


「なにをいってる。サーはお前の兄じゃないか。」


「お前、記憶が混乱してるのか。落ち着いてから話をきこう。」


ウーはキハムに手をかそうとする。


「それだけじゃない。オーク族のトンも、わしの兄のキハクもみんな死んだ。」


まわりのものたちは顔を見合わせた。


「わかった。とにかくキハム。とりあえず、奥に行こう。」


キハムは支えられるように奥に連れていかれた。


そのようすをみて、ホウスウは違和感を覚えた。


「すいません。キハムさんはなにかおかしなことをおっしゃってたんですか?」


ホウスウは共生党の獣人にきいた。


「ああ、キハムには兄なんていないし、彼がいったようなものはいないんだ。」


「なんですって!?」


ホウスウは驚愕する。


「おそらく、よほどの恐怖で記憶がとんでしまったのだろう。」


そういいながら、獣人の男はキハムの後を追った。


ホウスウは胸の中の違和感をぬぐいきれなかった。


  ◇


「【因果切断】、あの場にいた連中に関する記憶はみんな消えるのよ。だから、恨みを買うことは少ないわ。」


アオは恐ろしいことをサラッといった。


「それって、初めからいなかったことになるの?それとも記憶が消えるの?」


「記憶が書き換えられるのよ。家族の記憶も消えて、都合よく、別のものにかわるのよ。」


ワタシはめまいがしそうになった。


「アオ、やっぱりアンタは絶対に手を出しちゃだめだわ。」


そういうのが精一杯だった。


「だったら、もどそうか。あなたのいうとおり恨まれるかもしれないけど。」


「もどして、お願い。恨まれるほうがまだましよ。」


ワタシはアオに頼んだ。


ワタシは彼らにも怒って、悲しむ権利くらいはあると思ったのだ。



ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


続きが気になった方は、

ぜひ応援クリック、ブックマークをお願いします!

SNSで拡散お願いします

やる気がでます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。