第230話 痴女魔王
城のカフェにワタシはシリュウとヨクトとビゼンに来てもらった。
ガリョウとアオには席を外してもらっている。
とくに意見をもらいたかったのはシリュウだ。
「正直いうと、ちょっとやりすぎた気はしている。」
ワタシは3人にいった。
まあ、実際にやったのはアオなわけだが、デモ隊を1000人消し飛ばした。
「あの場合、仕方がないでしょう。アオ様がやってくださったおかげで手間が省けた。」
ビゼンはアイスコーヒーを口にしながらいった。
「まあ、皆殺しってのはたしかに気分がわるいが……、そのアオ様にあれはアホだろ。」
ヨクトは苦い顔をした。
「シリュウはどう思った?」
ワタシは彼女に聞いた。
「まあ、ホウスウにやろうとしてることは無理筋だよ。味方にしても足をひっぱるだけだからほっとけばいい。いうことをきかせる策がないわけじゃないが……」
「そんな方法があるの?」
ワタシは意外な答えに驚いた。
彼女に相談して正解だったかもしれない。
「ホウスウな、あいつきっとお前のことが好きなんだよ。」
「プ」
思わず、ワタシはコーヒーを噴き出した。
「まあわかるよ。昔のお前はともかく、今のお前のきれいさは異常だよ。」
「昔のワタシはともかくというのはわからんが‥‥」
「いや、実際、私もお前を見ておどろいてる。」
ビゼンもワタシの手をとっていった。
「強くなっているのにまったく筋肉がついてない。手にも豆ひとつできてない。胸は大きくなり、腰はくびれて、背ものびている。というか、私もそうなんだが、手の豆が消えて、傷の回復も早い。これはアオ様の加護か。」
「そんな加護があるのか!?」
シリュウが興味深そうにきく。
「いや、たぶんそれは彼女が自分の好みの身体にワタシやビゼンの身体をいじってるだけだと思うけど。」
たぶん、ビゼンも普通のダークエルフというか、エルフの身体ではなくなっているのかもしれない。
自分はわからないが、彼女の唾液や汗などは乾燥しても匂いがないのだ。
クロが言っていた。
自分たちの身体には雑菌がいない。
よって唾液も汗もほぼ無臭だと。
ワタシだけでなく、たぶんアオは気に入ったやつの身体をいじってる。
おそらく、キョウもそうだろう。
あの子もどんどん綺麗になってる。
考えてみればなんてやつだ。
まあ、ワタシも気に入ってるからいいんだけど。
ワタシの場合はさらに究極の血まではいっているから、さらに魔族化が進んでいるらしい。
つまり肉体的には究極の眷属といえるかもしれない。
「で、ホウスウがワタシに惚れてるかもしれないからって、なんなの?まさかハニートラップにでもかけろと?」
「わかってるじゃないか。色仕掛けだよ、色仕掛け。」
あきれた。
「ばかじゃない?そんなの効くわけないじゃない。」
「いやいや、ああいうまじめな奴だからこそ、効果は覿面だよ。一晩抱かせてやって。アレをしゃぶって、スキよ、愛してるわ!といえば一発だよ。」
シリュウは身振り手振りで一人芝居をしながら熱弁した。
「なるほど、あんたはそうやって男を操ってるわけだ。」
ワタシはジト目で彼女をみた。
「何いってんだ。お前なんか、男だけじゃなくて、自分の部隊の女も何人やったよ。いちいち食べたパンの枚数は覚えてないか?」
彼女は笑いながらいった。
うちの女兵士らが隙あれば、よばいにやってくるのだ。
この世界には男女とわず強いものに抱かれるのが光栄という文化がある。
しかし、私の場合、なぜか来るのは女ばかりだ。
いや、ワタシは実際のところ、その気で男と寝たことはないのだ。
クロはノーカンだ。
そういう意味ではワタシはいまだに心は処女だ。
素人童貞ならぬ素人処女といってもいいだろう。
アイツを誘えと言われてもピンとこない。
「そんなこといわれても……」
ワタシはごにょごにょとつぶやいてしまった。
「は?なんだお前、痴女魔王のお前がなにを今更、照れてるんだ?」
シリュウが馬鹿にしたようにわらう。
とおもって、前をみるとヨクトと目が合った。
プイっと目をそらしやがった。
この野郎。
「ヨクト、前もいったけど、ワタシと寝ろ。お前となら大丈夫だ。」
ワタシは彼をじっとみる。
流石に少し照れる。
「いや、おれはそういうのはちゃんと好きなもの同士がするべきだとおもっているんだ!というか、そういうのが嫌で革命軍にいたとお前も知ってるだろう?」
ヨクトはこちらを見ずにいった。
「大丈夫よ。天井のシミを数えてるあいだにおわるから。」
ワタシは彼の手を取ろうとするが、彼は手を遠ざけた。
「なんだ、お前。まだ、姉上の相手をしてなかったのか。それは不敬というものだ。ましてやいまのアビは魔王様だぞ!男をみせろ!なんなら私も手伝ってやる。」
ビゼンがそう言って彼の手をつかんだ。
「まてまて、子供ができたらどうするんだ!」
ヨクトが顔を赤くしながら抵抗した。
「大丈夫よ。ワタシはどうやら生殖はとまってるみたいだから、最悪アンタの子なら産んであげるから!」
「いや、まて!」
なおも抵抗しようとするヨクトをビゼンが後ろから羽交い絞めにした。
がやがや。
まずい、まわりの人間がこちらをみている。
「ええい!覚悟を決めなさい『脳眠』!」
ワタシは額からヨクトの頭に直接、催眠魔力を叩き込んだ。
ヨクトはそのまま意識をうしなった。
まずい。
女と違ってこのままではなにもできない。
「ビゼン、とりあえずこいつをあなたの部屋に運ぶわよ。ワタシの部屋だとガリョウとアオに気づかれるかもしれない。それで酒でも飲ませたあと、事を運びましょう。」
「わかった。」
そういうと、ワタシとビゼンは二人でヨクトを担ぎ、ことに及ぶ準備をすることにした。
ワタシは魔王なのだ。
そんなものは気にしない気にしない。
シリュウが何やら固まっていた気がするが気のせいと思うことにした。
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