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冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
正義愛鬱編

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第220話 魔王の仕事

魔国に派遣している密偵から、無視できない情報が会議の途中でアマンのもとに届いたのである。


それは魔国が、四凶の究姫と凍子、さらに四神の玄武竜と青竜をあがめる宗教を国教にしたというのである。


さらに、究姫が魔王アビ、キョウ、宰相ガリョウを友と認め、三人と敵対するものは自分の敵とみなすと大々的に宣言したというのだ。


アビが青竜アオと親密であること、クロとも親交があることは把握していたが、彼らは一応は中立、人の争いには参加しないと言われていた。


にもかかわらず、究姫はそんな暗黙の了解を堂々と破棄したのである。


これでは、魔王アビ討伐など口にすれば究姫と敵対することになる。


国の運命をかけて戦っても勝てるかわからない。


アマンはアビ討伐を留保した。


「アマン、今すぐ、オレたちに討伐の命令をだせ。」


「そうだ、坊や。あんなものはただの噂だろう。」


アマンの私室で、ジユンとリユウが詰め寄った。


他のものもいないため、二人は普段の口調である。


「無茶を言うな。青竜様は中立を保つかもしれんが、究姫様はアビにつくと言っている。どうにもならん。」


「だったら、姫をさらわれて黙っていろというのか。」


ジユンが卓を叩いた。


「一つ方法がないわけじゃない。」


「それはなんだ?」


「勇者だな。」


「ふざけてるのか。」


「ふざけてなどいない。」


アマンは指を組んだ。


「勇者の神託を受けたものには神々は直接手をくださない、という神々の契約があるらしい。」


「そうなのか。」


ジユンが身を乗り出す。


「あくまで言い伝えだけどね。」


リユウが信じがたいと腕を組む。


「だから、勇者ヨウトが前の魔王をうったとき、神々はだれも手を下さなかった。いや、今までも伝説で勇者が魔王を倒したり、魔王が勇者を倒すとき、神々が手を下したという話がないのだ。」


「なぜ、そんなことを?」


「これは、あくまで私の仮説だが、魔王も勇者も霊教の神使(ミツカイ)も神の代行者にすぎず、彼ら同士が争うときは神は基本的に助ける程度で、直接、手をくださないのではなかろうか。アオ様やクロ様が本気で介入していれば、魔王ヴィクトリーなどとうに滅んでいただろうよ。」


「では、お前が勇者になるのか?」


ジユンは椅子に座りなおす。


「私はこの国はあくまで人が作るべきだと思っている。技術として利用することはあるが、神々とは距離をとるべきなのだ。そして、仮の話だが、王女が、いや、王家自体がこの国を捨てるというなら、この国は民が治めるべきなのだ。」


「おまえは殿下が自身の足で魔王のもとに向かい、陛下も自身で出ていったとおもっているのか。」


ジユンの手が、卓の上で止まった。


「現在はまだ仮説にすぎん。殿下も陛下もさらわれたのだからな。真意は戻られたら伺おう。それに今の優先順位は、居場所がはっきりしている殿下よりも陛下だ。陛下の御身を捜索しなければならん。魔王アビはそのあとだ。」


「神が中立というなら究姫の噂はなんだ。アビにたてついたら自分の敵だといってるじゃないか。」


ジユンはふたたび反論した。


「では、勇者をさがしてくるがいい。それで私の仮説がまちがっているかどうかわかる。もっとも私は勇者自体に否定的だがな。ヨウトをみればわかるだろう。魔王を討った英雄が、帰国すれば革命家となって自国を滅ぼそうとし、病で死んだあとも狂信者どもの旗印にされている。神に選ばれるというのは、そういうことだ。」


「ではどうするの?なにもしないのかい?」


リユウが目を細める。


「リユウ殿、あなたには陛下の捜索指揮をお願いする。これが最優先だ。1000人の兵をつかい、国中、さらに、西の砂漠を越えて、霊教国に向かっていただきたい。案内は大司教ジョイエルに依頼する。」


「霊教国にまで!?」


ジユンが腰を浮かせた。


「やれやれ、私に死ねっていうのかい?」


そう言いながらもリユウは笑った。


「今、歓楽都市オアシスにジョイエルが滞在しているという情報をつかんでいる。彼女に案内を依頼するのだ。」


「断られたら?」


「陛下誘拐犯の一味として逮捕して、拷問にかけろ。しかし、おそらくはそんなことをしなくても、条件として霊教徒への支援を約束すれば彼女は首を縦に振ってくれるだろう。それに表向きは霊教国への友好使節団として赴いてほしい。そして、あなたには霊教国で魔導の技術だけは持ち帰ってほしい。」


アマンは赤い目でリユウを見つめた。


「わかったよ、坊や。これはちょっと長い旅になりそうだ。」


「エルフのあなたにとっては大した時間でもないだろう。しかし、たのむ。」


アマンは立ち上がり、リユウに頭をさげた。


「やめてくれよ。私はあんたの部下なんだからさ。」


リユウはアマンの肩に手を置いて答えた。


◇


ワタシとて、何もアオやキョウといちゃついてるだけじゃない。


国づくりのルールとシステムづくりについて、ガリョウはじめ他の文官たちと話し合っていた。


まず国名は魔国と仮称することにした。


魔族のみなさんから「アビ」をそのまま国名にしようという案もあったが、丁寧にお断りした。


それで、ガリョウの案とスキルもつかい、二つのシステムをつくった。


国教として真教を立ち上げた。


ワタシの魔王就任の立会人となった、アオ、クロ、究姫、凍子を神としてあがめるのだ。


というか、神輿にかつぐのだ。


つまりワタシに逆らうものは、この四人に逆らうことになるのだ。


アオは二つ返事でOKしてくれた。


クロは、ガリョウの枕営業で説得するしかないかとおもっていたが、意外にもあっさり、勝手にやってくれとのことだった。


そもそも彼らをあがめている人たちもいるから今更だといってた。


もっとも、実際に彼らと会ったことのある人はめずらしいようではあるが。


いや、というより、自分から正体をなのらないから、彼らの正体を知らずに付き合ってる人も多いようだ。


問題は究姫と凍子だった。


嫌がるのが目に見えていた。


おまけに凍子はずっと自分と戦えといっていた。


ビゼンやヨクトたちが立ち向かったが、まるで相手にならなかった。


ビゼンの青竜冷艶鋸もヨクトの【蛇矛牙(スネークバイト)】も、凍子には傷ひとつつけることができなかった。


ちなみに四凶の中では凍子は武闘派らしく、研究肌の死翼などとは戦闘力は比べ物にならないらしい。


ただ、見た目が子供のためクロはかわいがり、アオもスカーレットもまともに相手にしていないのだ。


凍子の方も、ビゼンやヨクトを気に入ったらしく、稽古をつけてくれている。


しかし、ワタシは彼らとはちがい本来武闘派ではないので、戦いなどしたくないのだ。


いろいろと理由をつけて逃げていた。


そんなとき、ガリョウがスキルをつかって「スマホ」を再現してみせたのだ。


そしてこれを順次、魔国の住民たちに売りさばいたのだ。


まず、この「スマホ」、魔法が使えないものたちも、これを介することによってある程度魔法を使えるようになるのだ。


もちろん、やばい魔法はつかえないが、冒険や移動に役立つものはいっぱいある。


自分が行ったことのある場所を記録するマッピング機能や、魔獣のデータベースなど。


その魔力の源は使用者本人。


使用者の魔力が強いほど、機能が強くなる。


なお、このスマホの真の目的は戸籍とサブスクである。


魔法や便利機能の利用にはお金がかかるのである。


なお、金貨や銀貨を電子マネー化して、換金できることにしたのだ。


これにより、できるだけ税金をとらず、国民に還元するしくみにすることにした。


このあたりの権能はガリョウのスキルだ。


彼女が寿命で死んでしまったらどうしようという問題があるので、いずれは彼女のスキルによらない仕組みにする必要がある。


そして「スマホ」の目玉機能がSNS、エクスター。


これで、冒険者や魔族たちの動きをこちらがひそかに監視できるのだ。


こっちの世界の住民は、そんなことに感づくものも少ないだろう。


さらに、この機能は凍子が好きなカードゲーム、デュエル・ウィザーズで見知らぬものたちと対戦することもできるのだ。


凍子はかならず食いついてくるとふんでいたが、案の定食いついてくれた。


SNSと合わせて、ハマってくれた。


ワタシを倒したら、これが出来なくなるよといったら、ワタシにもっと強くなってから勝負してやると猶予をくれた。


なお、ワタシの国が滅びたら、これもなくなるからと釘を刺すのも忘れなかった。


そして、凍子がはまっているのをみて、究姫も自分もやらせろというので、アカウントをつくってあげたら、勝手に写真をとって、エクスターにあげていた。


それが人類圏にもひろがっていたというのを、ワタシは後日知ることになる。


なおガリョウはこの四人を創国の四神としようといったが、それはワタシがストップをかけた。いずれスカーレットも説得しようとおもっているし、強い神々は利用していきたいのだ。


そして、もう一つ、ワタシにとって鬱陶しいことがあった。


「アビ、また例のあれです。」


書類とにらめっこしていたガリョウが、顔も上げずに声をかけた。


「ビゼンとヨクトは?」


「また凍子様にいずこかに連れていかれました。」


この都市の防衛はどうなっているのか。


軍事最高責任者のふたりが、あがめている神にさらわれるとは。


「今はモスと華侯姫が相手をしていますが、二人がかりで互角というところです。」


「あの二人がかりで?」


この地域にはまだまだ猛者が隠れているのかもしれない。


そう、定期的に、ワタシを魔王とみとめないという猛者たちや自称勇者が殴り込みにくるのだ。


一応、ルールは決めているが、魔族たちにとってルールとは最終的には力なのだ。


人間の世界もそうと言われればそうだが、魔族たちの中には1体で1国と戦えるようなものたちもいる。


そういう連中を相手にするには力しかない。


ワタシはあえてそういう連中にもお触れをだした。


反乱、殴り込み、歓迎。


ただし、命の保証はしないと。


そのおかげで、命知らずたちが定期的に殴り込みにやってくるわけだ。



ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


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