↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
正義愛鬱編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
217/264

第217話 犠牲の上に

戦いは終わった。


あたりにはおびただしい数の死体が転がっている。


ワタシたちがやったものもあるが、半数以上は戦う前にすでに死んでいた。


これはあの姒鯀の能力だ。


「災王様!」


隠れていた呂鋼鬼が姿をあらわした。


彼女にはもう戦う力など無い。


ただの無力な魔族の女性だ。


「災王様ああああ!」


災王の亡骸にすがりついて泣いている。


災王はその威厳を保ったまま、座った姿で亡骸になっていた。


彼もすでに死んでいたのだろう。


ワタシも全ての力を使い果たした。


しかし、まだやることがある。


やつの死亡を確認しないと。


ワタシはレジェンドの亡骸をシリュウやテルとともに確認する。


「今度こそ死んでるな。」


シリュウがレジェンドの亡骸に手をやりながら言う。


ワタシも彼の亡骸に手を触れて解析する。


たしかに今度こそ死んでいる。


これで終わりだ。


そう思ったその時……


ドン!


ワタシの前に巨大な気配がした。


「おめでとう、アビ。最後に試練だ。今ここで、この私と戦ってもらうよ。」


少女の姿をした悪魔の王がそこにいた。


凍子だった。


嬉しそうに笑っている。


両手を広げ恍惚とした表情を見せる。


彼女の魔力は感知できない。


しかし、今までの敵とは比較にならないことは「凄み」だけでわかった。


ロフもチュウエイも、災王もついさっきまで戦っていたレジェンドも彼女に比べれば、虫けらに等しい。


「アビ!」


ワタシの前にビゼン、ヨクト、シリュウがたった。


「いいよ、いいよ。何人でかかって来ても、もちろんアオもようやく本気で相手してくれるよね!」


凍子は嬉しそうにわらった。


絶望的な戦力差だ。


しかし、アオがワタシたちの前に立った。


「そこまで、私と本気でやりたいならしかたないわね。望み通り殺してあげるわ。」


アオの冷たい声が背中から聞こえた。


空を見た。


空中で究姫は静観している。


いや、究姫はどっちにつくか迷っているようにも見える。


クロの姿は見えない。


「さあ、いくよ!」


凍子が指先から天に向かって魔力をはなった。


轟音とともに、雲が吹き飛んだ。


これが四凶か。


魔王決定戦の裏ボスというわけか。


ワタシは体に気合をいれなおす。


皆が凍子に視線を集中した。


「アビ!」


その時声がして、ワタシは突き飛ばされて、前のめりにころんだ。


テルの声か。


(なに?)


そうおもったとき、生暖かいものがワタシの体に降り注いだ。


剣が、テルの心臓あたりを貫いていた。


意味がわからなかった。


一瞬、凍子かとおもったが、彼女ではない。


目線を凍子にやると、彼女もなにがおこったかわからず、驚いた表情をしていた。


「テル!」


ワタシはたおれるテルを抱き起こした。


だれがやった。


すぐに分かった。


視線の先には返り血でまっかになったゴブオがいた。


ワタシを背中から刺そうとしていたというのはわかった。


「あんた・・・なんで!?」


ワタシは声を絞り出す。


「アビ! お、お前は! オレのご主人様の仇だ! よくもダンナをころしたなあ! なんでダンナをやったんだ!」


ゴブオが叫んだ。


ワタシはテルを抱き寄せながら、回復魔法をかけようとした。


解析しなくてもわかった。何の力も感じない。


剣が心臓を貫いている。


即死だった。


「うああああああ!」


ワタシは拳を握りしめて、ゴブオを殴り飛ばした。


「アオ! テルを助けて!」


ワタシはクロが呂鋼鬼にしたように、アオに助けをもとめた。


「人はもう無理だよ。死んでる。」


アオはポツリといった。


「くそお! だんな! だんな!」


ゴブオも天を見上げて、涙を流していた。


向こうでは呂鋼鬼も泣き崩れていた。


しかし、ワタシは悲しいのに涙一つでなかった。


◇


凍子は「なんか白けた」といって矛をおさめた。


ゴブオはレジェンドはすでに死んでいたこと、あいつの手によって、自分自身がトラップに変えられていたことを知ってほうけていた。


信じられないという顔をしていた。


しかし、一度、レジェンドに引導を渡したのはワタシだ。


彼から見ればワタシが仇なのは同じだろう。


聞いていた話ではゴブオはレジェンドから奴隷としてひどい扱いをうけていたらしい。


それでもゴブオなりにレジェンドのことを慕っていたとは思わなかった。


ワタシはその後、直ぐにゴブオの処刑を命じた。


テルをころし、この傭兵団のリーダーのワタシへの反逆だ。


生かされるわけがなかった。


しかし、ゴブオは最後まで、命乞いをした。


自分は悪気はなかった、ゆるしてほしい。


レジェンドに呪いをかけられていたとは知らなかった。


ワタシに忠誠を誓うと。


ほんとうにさっさと殺せばよかった。


ワタシのせいだ。


本当に、こんなことならアオの言う通り、ゴブオを処刑しておくべきだった。


そうすればテルは死なずにすんだ。


ワタシが一人部屋にいるとアオが現れた。


「あなたの言う通りだったよ。あいつは殺しておくべきだった。」


「そうかもね。」


アオはワタシの隣に座ってそっと手に触れてくれた。


「みんなは?」


「あなたを心配してるよ。」


「不思議なんだけど。悲しいのに涙もでない。」


「私たちや、純粋な悪魔族の究姫の脳はこれくらいじゃ揺れないからね。」


「テルは自分が責任をとるといって本当にとったね。」


「そうね。」


そういって、アオは手を絡めてきた。


「ワタシも彼を見習って、自分の仲間のために自分の国を作るよ。」


「大丈夫よ。私はずっとそばにいるから。」


そういって、彼女はワタシに唇をかさねる。


舌が絡まる。


このまま彼女と寝たい衝動に駆られるがそうもいかない。


「じゃあ、いこうか。」


ワタシはアオと離れて立ち上がった。


「もう大丈夫ね。」


アオは笑顔で言った。


◇


「みんな、心配かけたね。」


ワタシはみんなの前にたった。


「アビ、お疲れの所もうしわけないですが、すぐにやるべきことがあります。」


ガリョウがワタシに言った。


「災王の死、そして須玉の死を、この地に広め、あなたがこの地の魔王であると宣言するのです。」


「うん。それはわかった。でもあらためて魔王ってどうすればいいのかわからん。」


流れからこうなってしまったが、全く実感がわかない。


「深く考えなくていいよ。」


クロがいつのまにか、スカーレットを連れて戻ってきた。


「ここはお前が好きなようにすればいい。そして、お前に逆らうやつは、私たち、今回の立ち会い人に逆らうことになる。」


クロが笑みを浮かべながら言った。


「じゃあ、そういうやつとあなたたちが戦ってくれるの?」


「そういうわけでもないけど、私たちの顔に泥を塗るってことだよ。それとアビ、お前はこれから四霊や他国の魔王にも眼をつけられる。そうしたら勇者がおそってくるかもしれない。しっかりな。」


「ちょっとそれは初耳なんだけど。」


「近いうちに他の魔王にも紹介するよ。あるいは向こうから声がかかるかもしれない。」


「そんなこといわれてもあんまり関わりたくない。」


ワタシは正直にいった。


「とにかく、国造りだ。君の好きなようにすればいい。君は魔王、つまりは力の王だ。逆らうやつは滅ぼすんだよ。」


クロが邪悪な笑みを浮かべる。


「ん??」


クロが近づいてクンクンと鼻を鳴らす。


「なによ? 失礼ね。」


「なんだ。あの男が死んで落ち込んでるのかとおもったら、アオとやってたのか。心配して損した。」


クロが呆れたようにいった。


「やってないわよ! それと彼の名前はテルよ、テル=ミカモよ! 人の名前くらいちゃんと覚えなさい。」


「そういえば、おまえ、あの須玉とかいうやつの名前を一度も呼んでないじゃないか。」


「あー、そう言われればそうね。レジェンド以外の名前は覚えるつもりがなかったからね。」


ワタシは二度と仲間を失わない。


選択を間違わないと心に誓った。



ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


続きが気になった方は、

ぜひ応援クリック、ブックマークをお願いします!

SNSで拡散お願いします

やる気がでます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。