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冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
正義愛鬱編

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第199話 新たな戦い

ワタシたちは刑将様の傭兵として、ワタシの昔の仲間、シリュウ、ミカモ・テルとともに、災王のテリトリーに偵察に行くことになった。


どうも、災王側の魔物たちが、次々とこちらに寝返りを希望しているということらしい。


それで、シリュウとテルとともに、裏どりをすることになった。


同行するのは、いつもの通りヨクトとビゼン。それに、アオにガリョウだ。


ほんとうはもう少し少人数で来たかったが、ワタシの護衛でビゼンが、ガリョウの護衛でヨクトがついている。


アオがいれば誰が相手でも大丈夫な気がするが、アオは先日のキョウの婚約の話以来、どうも機嫌が悪い。


連れていかないと、何をするかわからない。


というか、そのままショウのところにいって、うっかり国ごと消し飛ばした、とか言われてもこまる。


「ガリョウ、アンタが手をかしてくれるなら、心強い」


シリュウがガリョウに握手をもとめた。


「アビの力になれるならね」


ガリョウは短くいって、握手をした。


シリュウはこちらの世界の魔術師風のファッション、テルは冒険者風の定番ファッション。


それとは対照的に、ガリョウはヘッドフォンに、メガネタイプの端末をつけている。


「いや、なんだ、もう少し目立たない格好をしてきてほしかったんだが」


ガリョウのスタイルに、シリュウが突っ込む。


ごもっともだ。


「このまわりに、五人のガードがいますね」


ガリョウがボソッとつぶやき、その言葉にシリュウが目を見開く。


「さすがだな。すごい魔力感知だな」


ガリョウの魔力感知の精度に、シリュウがおどろいた。


というか、おそらく魔力感知だけじゃなく、実際に目視とスキルで見ているんだろう。


ガリョウのスキル【魔道衛星(サテライト)】は、はるか天空から地上をみている。


「まあ、ここは敵地だからな。念のためだよ」


シリュウはそういって、前を歩いていく。


「アビ、久しぶりだね。元気だった? なんか、ちょっとかわった?」


ワタシは、テルの言葉にドキッとした。


数日前にクロに、もう体が人間じゃなくなってると、とんでもないことを暴露されたせいだ。


いや、実際、そう言われると、思い当たるふしがいくつかあったわけだが。


◇


昨夜——


ワタシは改めて、鏡の前に立った。


身体がほぼ人間のそれではないと言われて、いくつか気が付いたこともある。


まず、傷の治りが異様に速い。


この世界では回復魔法があるので、ちょっとした擦り傷や切り傷は即座に回復する癖がついた。


だから、今まで気がつかなかった。


しかし、ワタシの場合、魔法を使わなくとも自然回復するのだ。


流石に、吸血鬼や悪魔族のように瞬時に回復するわけではないが、目視で回復の様子が見えるくらいには速い。


そして、ここ最近で十センチほど身長が伸び、胸が大きくなり、お腹がへっこみ、スタイルがよくなった。


これは【限界突破(オーバードライブ)】の副作用かと思っていたが、違った。


アオとクロによれば、こうなりたいというのが、魔族の肉体にはすぐ現れるらしい。


もっとも、ふたりによれば、魔族化というより超人化してるらしくて、まれに人の中にそういう個体が出るらしい。


ただ、ワタシの場合は究姫の血の影響が強いらしいので、悪魔よりらしい。


そして、嫉妬の感情と、性欲の感覚。


彼らは、嫉妬をすることがほぼないらしい。


嫉妬というのは、自分のパートナーを奪われるのではないか、という感情からおこるらしいが、悠久の寿命をもつ彼らには、その心配がほぼない。


人が他の生物に嫉妬の感情を持たないように、基本的に彼らは、あまり嫉妬しないらしい。


そして、彼らは性欲というのが、他の生物と違うらしい。


なお、この世界の文化では、絆を確認するために性的関係をもつ。


あっちの世界でいう、戦国時代の男色文化に近いらしい。


同性でも、あまり関係がない。


まあ、そういうのが嫌な人は、霊教徒になって、宗教上の理由でということで断っているみたいだが。


アオやクロは、それとも違うらしい。


趣味と性癖と暇つぶしと、自分の数少ない眷属を作ってるのかもしれない、と言っていた。


しかし、それも個体差があるらしくて、ハクなんかは、恋人はいるとしても一人らしい。


ワタシはどうかというと、仲間の女兵士たちがきたら、もうなんか、軽いキスの感覚でやってしまっている。


普通の男じゃだめなのかと、意を決してヨクトやリョーカをさそったら、断られてしまったが。


ヨクトは「私はそういうんじゃない」と、リョーカは恐れ多いというか、アオに殺されると怯えられてしまった。


残念ながら、今じゃあ、ワタシに声をかける勇者はいなくなってしまったとおもっていたが、今考えると、これも魔族化、超人化の影響かもしれない。


そして、悲しみ。


魔族は、怒りはあっても、悲しみの感情が薄いらしい。


それは、四神のアオたちもおなじらしい。


大切な人が死んでも、脳がストレスをあまり感じないそうだ。


それが、いいのか悪いのか。


ワタシも、大切な人が死んでも悲しくないのかは、まだわからない。


◇


「え? どうかした? ほんとに、なんかあった?」


テルが、一瞬無言になったワタシを気にしていった。


「ははは。なんでもないよ」


ワタシは笑ってごまかした。


なんでもあるに決まっている。


しかし、今は任務に集中しないといけない。


「ワタシとアオ様とヨクトは、このあたりで待ちましょう」


ガリョウが切り出した。


「あんた、ほんとにすごいな。ここから先は、ここ一帯を仕切っている災王の一味、鋼祖(コウソ)というやつのテリトリーだ。そいつが、こちらに寝返りたがっているという話だ。ここから先は、私とアビとテルでいく。アンタたちは、このあたりにいてほしい」


シリュウのいうとおり、ここでワタシたちは一旦分かれた。


とはいえ、ガリョウはこちらの様子をみているし、アオの魔力感知の範囲内でもあるが。


「なんか、こうやって俺たちで歩くのも、久しぶりだな」


テルが、ワタシとシリュウに話しかけた。


「そうだな。アビ、お前、こっちにもどってこないのか?」


シリュウはワタシのほうを向いて言った。


「あっちのほうでも、まだやることがあるからね」


この二人には、仲間たちがワタシを魔王にしようとしてる、とはちょっと言えなかったわけだが。


「えーっと、待ち合わせはここ?」


シリュウは、その入り口の前で戸惑う。


そこは、温泉だった。


◇


「おいテル、そんなに離れてちゃあ、ガードの意味がないだろ」


「むちゃいうな」


シリュウの声に、岩陰からテルの声が聞こえた。


たしかに、何の役にも立たない。


温泉は混浴ではあるが、貸し切りにされていた。


この湯船の中で待つように、とメモが置いてあった。


その時、足音が聞こえた。


「あんたたちが、刑将殿の使いか」


オーガの女戦士が現れた。


「とんでもないところを、まち合わせ場所にするわね」


シリュウがオーガと交渉する。


「私は鋼祖(コウソ)様の使い、呂鋼鬼(リョコウキ)だ。お互い裸で会うのが、安全だ」


そういう彼女の身体は、全身が鋼のようだ。


なるほど、普通の兵士では、正面から勝つことはできないだろう。


「さっそくだけど、刑将様の陣営に寝返りたいと聞いたけど?」


「ああ、そうだ」


彼女は湯船に入りながら、短く答えた。


「なんで、今さら?」


ワタシは、二人のやり取りを黙って観察する。


「やつだ。レジェンド勇者だ。やつが間もなく、災王様を殺そうとしている」


(ああ、ほんとに、あいつはどうしようもないな)


ワタシとシリュウは、目を合わせた。



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