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冒険者ギルドで死亡扱いされた私が、神と邪神に愛され最強で最高のダークヒロインになる。  作者: 黒木菫
正義愛鬱編

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第171話 謝罪と後悔

究姫の突然の暴露に、ショウ・エンは固まった。


民衆が、自分を見ている。


(どうする!?)


(何をいう!?)


思わず立ち上がり、叫んだ。


「ちがう! そうではない!」


「そうではない? ほう? 私が嘘をついていると? それとも、このクロが嘘をついていると?」


究姫の口元が歪む。


ショウは究姫の顔を見て、凍り付いた。


答え方を間違えれば、死ぬ!


そう思った。


ちらりとクロを見る。


やれやれという顔をしているが、助け舟を出してはくれなさそうだ。


すくなくとも、究姫は嘘を言っていないのだから。


「いや! そうではありません! 私はビエムに、そう、革命軍の首領格だったあの男に、騙されたのです!」


ショウは自分の正当性を主張した。


「なら、なぜそう言わなかった。それはお前自身が、問題があると認識していたからだろう? そのせいで私が疑われたんだ。だいたい、廃墟になった都市を修復したのは、このクロと青竜のアオだろう?」


そう言って、究姫はクロを親指でさした。


「え? あの奇跡を起こしたのは、クロ様なのか!?」


「なんてことだ!」


「クロ様万歳! クロ様万歳!」


「ありがとうございました!」


観衆の中から、クロをたたえる声があがる。


クロは気まずそうに頭をかいている。


その様子を、カクトは奥歯をかみしめて見ていた。


(なぜ、いつもいつも、こいつが称えられるのだ!)


「究姫! そんなことはどうでもいい! こいつはそんなやつじゃない! わしはこいつに、仲間をうばわれたんだ!」


カクトはクロに剣を突きつけて言った。


「どうでもいい? お前、いい度胸しているな。久しぶりに私に会って言うことはそれか。これは私の名誉にかかわることなんだ」


究姫がカクトをにらみつける。


(こいつら、知り合いなのか?)


クロは二人のやり取りを観察しながら、間にはいる。


「究姫、だからお前、何しに来たんだよ。試合の見届け人に来たんじゃないのか?」


話がどんどんそれていくのを見て、クロが冷静に究姫をとめる。


「ああ、そのつもりだったよ。だが、そうもいかなくなった。ショウ・エンよ。この私に無実の罪をきせたこと。クロの手柄を隠したこと。どうけじめをつけてくれる? おまえも、兄のコウロのところにいくか?」


「まってやってくれ、究姫。私が言ったんだよ。今、真実を言ってもみんな困るだけだ。そのなんとかってやつを捕らえてから発表すればいいじゃないか、と」


クロがショウに助け舟を出した。


「なんとおくゆかしい」


「クロ様……」


観衆が、さらにクロに感心した。


「だから、話をきけえ! こいつはわしの仲間を……!」


カクトは激高する。


「わかったわかった。だから、誤解なんだって。証人をつれてきたから、本人たちから話をきけ!」


クロが指をはじくと、地面に二つの魔法陣が現れた。


そして、二つの人影が現れる。


一人はエルフの女性、もう一人は桃色の髪で肌の白い、魔族の血がはいった女だった。


「お、お前たち、これはいったい……」


カクトは女性ふたりを見て固まった。


「シュカ、リリ、お前たち……生きていたのか」


カクトがよろよろと二人に近づく。


「よるな! この変態!」


シュカと呼ばれたエルフの女性が、カクトを蹴り飛ばした。


「ぐわ!」


カクトは蹴り飛ばされて、しりもちをついた。


観客はなにがおこっているのかわからず、見守る。


「あらら。あんたも、すっかりじいさんね」


リリと呼ばれた魔族の女が、カクトをわらった。


「どういうことだ? おまえたち……わかった! クロに、洗脳されたんだな!」


カクトは立ち上がりながら言った。


「ざけんな! 洗脳してたのはお前だろうが! 次から次へ女を!」


シュカはカクトにもう一度蹴りをいれた。


「ぐわ!」


カクトはふたたびしりもちをつく。


「サキュバスの私まで洗脳したのは、たいしたものだよ。私はそんなに気にしてなかったんだけどねえ」


リリはクロに抱き着きながら言った。


「どういうことだ?」


観客席がざわつく。


「お前は自覚なくやっていたのがたちが悪かったな。お前も運がなかったよ」


クロはリリを離して、カクトの前にすわり、目線をあわせる。


そして、カクトにだけ聞こえるように言った。


「お前のスキルは、自分がヤった女を、無自覚に洗脳していたんだ。しかも、強力なやつだ。なんせ魔族のサキュバスですら、お前の支配にはあらがえなかったんだからな」


「ばかな! わしはわかいころ!そいつらを本気で愛して、そして、そいつらも本気でわしを愛してくれていた!」


「だから、それはスキルの効果だったんだって。いやな、スキルで人の心を変えるのは、悪いことだと私はおもわないよ。でも、私がそのスキルをキャンセルしたから、みんな正気にもどったんだ。実は、それをずっとあやまりたかった。悪かった。このとおりだ。これは詫びの気持ちだ。うけとってくれ」


そう言って、クロは一枚の紙をカクトに握らせた。


「なんだ、これは?」


カクトはゆっくりと、それに目をやった。


「いや、これくらいで許されるとは思っていない。なにせ私は、お前の息子を不能にして、数年したら解除してやろうとおもって、そのまま五十年以上、忘れていたんだ。その封印も、いま解かせてもらった。これで、たっぷり遊んできてくれ」


それは、高級風俗の無料券だった。


「ほら、これで元気になっただろう? ほらほら」


クロはそう言うと、胸元をカクトに見せつける。


「なんなら、ちょっとくらい触らせてやってもいいんだぞ」


カクトは、何を言われているかわからなかった。


(お前は何をいっているんだ?)


しかし、一つだけ理解した。


こいつだけは、許しておくわけにはいかないと。


人と相いれる存在ではないのだと。


「邪神クロ! 覚悟しろ!」


カクトは叫び、黒刀を振りかざした。


クロは黙ってそれを見ていた。


止めることもしなかった。


「クロ様に、お前をとめるように依頼したのは、アシュナだぞ!」


シュカが叫んだ。


「な、なんだと……!?」


カクトの剣がとまった。


「アシュナ? だれだ?」


究姫がクロに近づき耳元でささやく。


「こいつの昔のパーティー仲間の女だよ」


「なぜ、アシュナが!? あいつはオレをすてていったじゃないか!」


「アシュナは、お前のことが好きだったんだよ。でも、お前が次々と女と関係をもつのが、いやだったんだよ!」


シュカが腕組みして言った。


「だから、そこのクロ様にたのんだんだよ。お前を止めてほしいと」


「ば、ばかな。そんな。あいつは、オレをすてて」


カクトは、剣を落とした。


「たしかにな。だが、クロ様にまけたあと、最後までお前のそばにいたのは、あいつだっただろ」


「あ、あいつは、今どこに?」


「死んだよ。あれから五十年以上たってるんだぞ。もっとも、いい旦那に出会って、孫に囲まれて、幸せそうに天寿を全うしたがな」


シュカのことばに、カクトはうなだれた。


「わ、わしは、いったい何のために」


カクトは天を仰いだ。


「まあまあ、元気だせよ。洗脳はごめんだけど、五十年ぶりに私が相手をしてやるからさあ」


リリがカクトに抱き着いた。


「ほら、私もてつだってやるから」


クロがそう言うと、カクトの眉間に指をやる。


すると、下半身がみなぎる。


「こ、これは! わしの、失ったとおもっていたものに、ちからが……うえ、うえはははははは」


カクトは笑い続けた。


そして膝をつき、頭をうなだれる。


観客は、何がおこったかわからなかった。


しかし、見たものをそのままうけとった。


カクトは剣をおとし、クロに土下座のような恰好で頭を下げて、笑い続けていた。


おそらく、なんらかの魔術でクロが勝利したに違いない、と。


そして、戦いの中で明らかになったクロとアオの奇跡を、人々はほめたたえた。


最後に、究姫はつぶやいた。


「チュウエイといい、カクトといい、私が力をあたえたやつは、なんで碌なことにならないんだろうな」


「いや、お前のせいだったのか!」


クロは究姫の尻に蹴りをいれた。



ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


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